記事

【会見全文】安倍首相「アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。この道を力強く前に進んでいこうではありませんか」

1/2
niconico
通常国会が会期末を迎えた6月1日、安倍総理大臣が会見を開き、この秋に「総合的かつ大胆な経済対策」を講じる考えを明らかにするとともに、消費税の増税を2019年10月まで2年半先送りすることを正式に表明した。

また「アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが、来る参議院選挙の最大の争点であります。」と述べ、来月の参院選では自民・公明両党で過半数の議席獲得を目指す考えも明らかにした。

冒頭発言全文

本日、通常国会が閉会いたしました。この国会で成立した法律や予算によって、介護休業給付の拡充、介護や保育の受け皿整備、不妊治療への100%助成、一人親家庭への児童扶養手当の増額など、一億総活躍社会の実現に向け、新たな取り組みが次々とスタートいたします。少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが生き甲斐を感じられる社会をつくる。一億総活躍の未来を切り開くため、大きな一歩を踏み出す、未来へと挑戦する国会になったと考えています。

他方、足下では、新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を、先般伊勢志摩サミットに集まった世界のリーダーたちと共有しました。

先般の熊本地震では、熊本や大分の観光業や農業、製造業など、九州の広い範囲にわたって、経済や暮らしが打撃を受けています。これらが日本経済にとって、新たな下ぶれリスクとなっている。最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがあります。

今こそ、アベノミクスのエンジンを最大に噴かし、こうしたリスクを振り払う、一気呵成に抜け出すためには脱出速度を最大限まで上げなければなりません。アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが、来る参議院選挙の最大の争点であります。

伊勢志摩で取りまとめた合意を議長国として、率先して実行に移す決意であります。アベノミクスの3本の矢をもう一度力いっぱい放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講じる考えです。

もっとも重要なことは構造改革を断行し、将来の成長を生み出す民間投資を喚起することであります。
TPPの早期発効を目指します。さらには、日EUEPAなど、良い物が良いと評価される自由で公正な経済圏を世界に拡大することで、新しい投資機会をつくり出します。
現下のゼロ金利環境を最大限に活かし、未来を見据えて民間投資を大胆に喚起します。新たな低利貸し付け制度によって、21世紀型のインフラを整備します。
リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設加速によって、全国をひとつの経済圏に統合する。地方創世街道をできるだけ早くつくり上げます。
保育所や介護施設の整備など未来の一億総活躍社会を見据えた投資を力強く進めます。


最大のチャレンジは、多様な働き方を可能とする労働制度改革です。
長時間労働の慣行を断ち切る。雇用形態に関わらない均等待遇を確保する。そして同一労働同一賃金を実現します。
非正規という言葉を日本国内から一掃する、その決意で、全体の所得の底上げを図り、内需をしっかりと拡大していきます。

こうした諸改革と合わせて、今なお地震が続く、熊本地震の被災者の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら、被災地のニーズをしっかりと踏まえつつ、本格的な復興対策を実施致します。

G7で協力し、世界的な需要を強化するため、将来の成長に資する分野で大胆に投資を進める。人工知能、ロボット、世界に先駆けた技術革新を日本から起こす。 しっかりと内需支える経済対策を行う考えであります。

その上で、来年4月に予定される、消費税率10%への引き上げについてお話いたします。
1年半前の総選挙で、私は「来年4月からの消費税率引き上げに向けて必要な状況を作り上げる」と、お約束しました。そしてアベノミクスを強力に押し進めて参りました。

現在、有効求人倍率は24年ぶりの高い水準となっています。それも都会だけの現象ではありません。就業地別で見れば、北海道から沖縄まで47の都道府県すべてで一倍を超えました。これは史上はじめての出来事であります。一人の求職者に対して一つ以上の仕事があるという状況を作り出すことができたんです。
リーマンショック以来、減少の一途を辿っていた正規雇用は、昨年8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。この春の高校生の就職率は、24年ぶりの高さであります。大学生の就職率は過去最高となりました。

中小企業の倒産も、政権交代前から3割減少しています。ここまで倒産が減ったのは、25年ぶりのことであります。

所得アップについて、連合の調査によれば、中小企業も含めて、一昨年、昨年に続き、今年の春も3年連続で、今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現することができました。今世紀に入って最も高い水準であります。それを実現することができたんです。そして、パートの皆さんの賃金も過去最高を記録しています。一部の大企業で働いている方の給料が上がっただけでは決してありません。パートで働いている皆さんの時給も過去最高となっているんです。どうかここも見ていただきたいと思います。

雇用をつくり、そして所得を増やす。
まだまだ道半ばではありますが、アベノミクスは順調にその結果を出しています。しかし、世界経済はこの1年あまりの間に想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増しています。最大の懸念は中国など、新興国経済に陰りが見えることです。

リーマンショックに匹敵するレベルで原油などの商品価格が下落し、さらに投資が落ち込んだことで、進行国や途上国の経済が大きく傷付いています。これは、世界経済が成長のエンジンを失いかねないということであり、世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念されます。世界の経済の専門家が今、警鐘を鳴らしているのは、まさにこの点であります。

これまで7回にわたって、国際金融経済分析会合を開催し、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授やクルーグマン教授をはじめ、米国や欧州、アジアの経済の専門家から直接意見を伺ってまいりました。その専門家の多くが、世界的な需要の低迷によって、今年、そして来年と、さらなる景気悪化を見込んでいます。

こうした世界経済が直面するリスクについて、G7のリーダーたちと伊勢志摩サミットで率直に話し合いました。その結果、新たに危機に陥ることを回避するため、適宜にすべての政策対応を行うことで合意し、首脳宣言に明記されました。

私たちが現在直面しているリスクはリーマンショックのような金融不安とは全く異なります。しかし私たちは、あの経験から学ばなければなりません。2009年、日本経済はマイナス成長となりましたが、その前年の2008年時点では、IMFも4%近いプラス成長を予測するなど、そのリスクは十分には認識されていませんでした。直前まで認識することが難しい、プラス4%の成長予測が一気にマイナスになってしまう、これがリスクが現実のものとなったときの危機の恐ろしさです。

私は、世界経済の将来を決して悲観している訳ではありません。しかしリスクには備えなければならない。今、そこにあるリスクを正しく認識し、危機に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだと考えます。今般のG7による合意、共通のリスク認識のもとに、日本として構造改革の加速や財政出動などあらゆる政うを総動員してまいります。

そうした中で、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきである、そう判断いたしました。

いつまで延期するか、についてお話しいたします。

中国などにおいては、過剰設備や不良債権の問題など、構造的課題への対応の遅れが指摘されており、新興国経済の回復には時間がかかる可能性があります。そうした中で、世界的な需要の低迷が長期化することも懸念されることから、できる限り長く延期すべきとも考えました。

しかし、私は財政再建の旗を降ろしません。わが国への国際的な信任を確保しなければならない。そして社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。安倍内閣のこうした立場は揺るぎないものであります。2020年度の財政健全化目標はしっかり堅持します。そのため、ぎりぎりのタイミングである2019円10月には消費税率を10%に引き上げることとし、30ヶ月延期することとします。その際に、軽減税率を導入いたします。

3年間のアベノミクスによって、国・地方を合わせて税収は21兆円増えました。その2年半の延期によってその間にアベノミクスをもう一段加速する。その事で、さらなる税収アップを確保し、2020年度のプライマリーバランスの黒字化を目指す考えであります。

1年半前、衆議院を解散するに当たって、まさにこの場所で、私は消費税率の10%への引き上げについて「再び延期することはない」とはっきりと断言いたしました。「リーマンショック級や、大震災級の事態が発生しない限り、来年4月から10%に引き上げる」と、繰り返し、お約束してまいりました。

世界経済は今大きなリスクに直面しています。しかし率直に申し上げて、現時点でリーマンショック級の事態は発生していない。それが事実であります。熊本地震を大震災級だとして、再延期の理由にするつもりももちろんありません。そうした政治利用は、ひたすら復興に向かって頑張っておられる皆さんに、大変失礼だと思います。

ですから、今回再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります。「公約違反ではないか」とのご批判があることも真摯に受け止めています。

国民生活に大きく影響を与える税制において、これまでお約束してきたことと異なる判断を行うのであれば、まさに税制こそ民主主義であります、であるからこそ、まず国民の皆さまの審判を仰いでから実行すべきであります。「信なくば立たず」。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。新しい判断について、国政選挙であるこの参議院選挙を通して国民の信を問いたいと思います。

国民の信を問う以上、目指すのは、連立与党で改選議席の過半数の獲得であります。これは改選前の現有議席を上回る高い目標でもあります。さらに野党は、政策の違いを棚上げしてまで、選挙目当てで候補の一本化を進めています。大変厳しい選挙戦となる。それは覚悟の上であります。しかしこの選挙で、しっかりと自民党、公明党の与党で過半数という国民の信任を得た上で、関連法案を秋の臨時国会に提出し、アベノミクスを一層加速させていく、その決意であります。

9年前、私は総理大臣として、あの夏の参院選で大敗を喫し、その後、総理の職を辞することとなりました。あの時の挫折は今も私の胸に深く刻み込まれています。困難な政策であればあるほど、国民的な理解を得て、国民と共に前に進むほかに道はない。これがあのときの反省であります。その反省の上に、この3年あまり、国政に邁進して参りました。

4年前の総選挙、3年前の参議院選挙、1年半前の総選挙。国民の皆さんから大きな力を頂いて、アベノミクスを加速することができました。その結果、世の中の雰囲気は、確かに、皆さん、大きく変わった。大きく変わったことは事実であります。

まだまだ道半ばでありますが、雇用は確実に増え、所得も確実に上がっています。この道を力強く前に進んでいこうではありませんか。4年前の、あの低迷した時代に後戻りさせてはなりません。

世界経済がリスクに直面する今、ロケットが大気圏から脱出するときのように、アベノミクスのエンジンを最大限に噴かさなければなりません。デフレからの脱出速度をさらに上げていかなかればなりません。そのためにもはもう一度、国民の皆さまの力が必要であります。国民の皆さまのご理解とご支持をお願いいたします。

あわせて読みたい

「消費増税」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    クロ現「日本の防衛」報道に驚き

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    テレビの報道が信頼されないワケ

    メディアゴン

  3. 3

    笹子トンネル事故に"新事実"判明

    週刊金曜日編集部

  4. 4

    加計で総理批判する国民に疑問

    青山社中筆頭代表 朝比奈一郎

  5. 5

    田原氏語る共謀罪強行採決の理由

    田原総一朗

  6. 6

    共産党と公明党「因縁」の歴史

    蓬莱藤乃

  7. 7

    石破氏「暴言は人間性の問題」

    石破茂

  8. 8

    小林麻央 2年8ヶ月ガンとの戦い

    渡邉裕二

  9. 9

    石破氏 自民党は議論の自由ない

    『月刊日本』編集部

  10. 10

    麻央さん死去 報道の姿勢に苦言

    中村ゆきつぐ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。