記事

販売台数40%減の衝撃予測 自動車産業の脅威「次世代カーシェア」 - 宮田拓弥 (Scrum Venturesゼネラルパートナー)

1/2

 自動運転と並び、既存の自動車業界を揺さぶっているのが「カーシェア」だ。

 2025年までには、自動車全体の20%がシェア利用されると言われている。自動車メーカーは、自動車ビジネスの新しいあり方を模索することを迫られているのだ。

 今年2月にバルセロナで開催された、世界最大級のモバイル見本市「モバイルワールドコングレス」で、フォードのマーク・フィールズCEOは「フォードは、自動車メーカーから、自動車サービス企業に変わる」と宣言した。

 かつて自動車は憧れの対象であり、若者にとっては所有する車がそのアイデンティティーとなっていた。今や若者にとってのアイデンティティーはスマホなどの電子機器にとって代わられ、自動車は「持つ」ものから「使う」ものへと急速に変化を遂げている。

 そうした現状に危機感を抱き、最近BMW、GM、フォードなどの欧米の大手自動車メーカーが、相次いで「カーシェア」事業に参入している。

 日本においても、1960年代からトヨタや日産などのメーカーが、自社の車をレンタルする「レンタカー」ビジネスを展開したが、それらのサービスとは内容も狙いも大きく異なる。

 BMWは、今年4月に米国シアトルで「ReachNow」というカーシェアサービスをスタートした。ReachNowは、BMWおよび傘下のMINIの自動車を「1分単位」で、「どこからどこへでも」簡単に借りることができるサービスだ。


BMWのReachNowで借りることができる自動車(写真・REACHNOW)

 まずは無料のスマホアプリをダウンロード。免許の表裏両面と、自分の顔写真を送ると、免許の写真と自動でマッチングを行い、本人認証を行う。あとは、支払い用のクレジットカードを登録すれば登録が完了する。


BMWカーシェアサービス「ReachNow」のスマホ画面。今年4月にシアトルでサービスを開始した

従来のレンタカーとは異なり、街中に駐車してある車を直接借りることができる(上のスマホ画面参照)。借りたい車が見つかったら、スマホから無料で予約ができる。そして駐車場所で車を見つけると、鍵の代わりとなるのは「スマホ」だ。

 スマホアプリから車の鍵を開け、車に乗り込む。車に乗ってから1分単位での課金となり、サービスエリア内であれば「どこでも」降車が可能というのも特徴だ。ガソリン代、保険、パーキングメーターなどは料金に含まれており、気軽に利用できる。現在は登録無料、1分あたり41セント(約45円)で利用ができる。12時間使って最大80ドル(約8800円)となっている。

 最近大手自動車メーカーが展開しているカーシェアサービスは、このように、自分の好きなメーカーの車を、1分単位から借りられて、しかも、どこでも乗り捨て可能という便利なサービスだ。

 しかし、こうしたサービスの提供は、自らの本業である自動車の販売にマイナスの影響を与える可能性もある。なぜ自動車メーカーは、自らこうしたサービスを提供するのであろうか。

[ 画像はこちらから ]
米国では2015年のビジネスにおける出張時の交通手段として、Uberがタクシーを上回った
(写真・MASATAKA NAMAZU)


 その背景には、欧米を中心に急速に進む「シェアリング系」サービスの普及がある。まずは、Uber、Lyftなどの「ライドシェアリング(以下、ライドシェア)」が挙げられる。日本では規制の問題があり、まだサービス自体もスタートしていない状況だが、米国ではすでにタクシーなど既存のサービスを脅かすほどに普及を始めている。

経費精算ソフトのCertifyが公開したデータによれば、15年のビジネスにおける出張時の交通手段として、Uber(41%)が、タクシー(20%)とレンタカー(39%)を上回った。最近では全米ほとんどの空港でライドシェアの乗り入れが可能となっている。

 そしてもう一つが、GetaroundやRelayRidesなどに代表される「C2Cカーシェアリング(Consumer to Consumer、以下、C2Cシェア)」というカテゴリーのシェアリングサービスである。

 ライドシェアは、自家用車を持つ消費者が、空き時間などを利用して「ドライバーとなる」サービスだが、C2Cシェアは、自分が車を使わない時間に、「他の消費者に車を貸す」というサービスだ。

 C2Cシェアの代表的なサービスであるGetaroundは、10年の創業で現在会員20万人。利用方法はBMWのReachNowと似ており、アプリから近くの車を探し、スマホから予約、すぐに利用できる(下のスマホ画面参照)。利用は1時間単位で、1時間5ドル(約550円)となっている。

 ほとんどの自家用車は、1日あたり22時間は駐車場に止まったまま使用されていない。C2Cシェアを使うことで、自分が車を使わない時間でお金を稼ぐことができ、毎月のローンや保険にかかる費用を全てまかなってしまうという自動車オーナーも多く出ているという。


Getaroundのスマホ画面

あわせて読みたい

「カーシェアリング」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ドラッグストアがセブンを淘汰か

    MAG2 NEWS

  2. 2

    野田前首相 愛媛知事を招致せよ

    野田佳彦

  3. 3

    若く見せたい男が注意すべき3点

    内藤忍

  4. 4

    なぜ民放コント番組は消滅したか

    メディアゴン

  5. 5

    老舗かまぼこ店が起こした大改革

    MAG2 NEWS

  6. 6

    教養教育を軽視する日本の問題点

    SeaSkyWind

  7. 7

    日銀が敗北宣言 貧乏になる日本

    MONEY VOICE

  8. 8

    自民議員「行政歪められてない」

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  9. 9

    NHK記者左遷が事実なら抗議する

    阪口徳雄

  10. 10

    公明・山口氏 内閣支持率は脆弱

    ロイター

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。