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主婦労働による年収は0円が正しい

 TBSの情報番組で「専業主婦の妥当な年収」という話題があったようだ。
 アンケートによると、専業主婦の妥当な年収は、女性が200万円程度と考えているのに対して、男性は0円と考えているという結果となったという。(*1)

 実際に専業主婦をしている女性からすれば、24時間家庭のことをこなしているのだから、自分の仕事に金銭的価値があって当たり前だと思っているのだろう。一方で、男性からすれば、約束通りに動いたり、失敗も許されないようなレベルでの責任を負っているわけではないのだから、それは金銭を得られるような仕事ではないといったところなのだろう。

 さて、この件においては、僕は「専業主婦の労働の金銭的価値は0円」だと思っている。
 ただし「会社で働くような責任を負っていない」という理由ではない。

 そもそも、専業主婦が行うような労働は「必ず誰かがやらなければならないこと」だ。食事を作ったり掃除や洗濯をするのは決して専業主婦だけではなく、兼業主婦もやっているし、一人暮らしの男性もやっている。

 子育てという最も大変であろうことだけを取り出しても、シングルマザーやシングルファザーもやっていることである。これらは決して専業主婦だけに与えられた仕事ではない。

 では一方で、労働者が行う賃金を与えられる「賃労働」とはなにか。それは「その人が決してする必要がないことを、お金という代償と引き換えに行っている」という仕事ということである。

 その上で、僕があえて「専業主婦の労働の金銭的価値は0円」と主張するのは、それが「人々が生活する上で必須のことである」と考えるからだ。一方で賃労働は必須ではない。重要度で言えば賃労働よりも、家事労働の方がはるかに重要なのである。重要であるからこそ、みんなが自発的に行う。故に金銭的価値が発生しないのである。

 このアンケートに対して答えている女性の大半は「主婦労働は重要であるからこそ賃金が発生するべき」と考えているだろうし、大半の男性は「主婦労働は重要でないから賃金が発生しない」と考えているのだろうと思う。そして女性は主婦の労働価値を0円とする男性たちに対して「主婦労働は重要ではないのか!」と怒っている。

 しかし、単純に考えて、自分たちの身の回りの、本当に私達が生活する上で必要なことであればあるほど、人間はお金を貰わずとも、自ずとそれを行うのである。ならば間違えているのは「仕事の重要度と賃金の高い安いは正比例する」という考え方そのものなのである。

 主婦労働は仕事は重要であっても、賃金が発生しない。賃労働でも、現場に立って必死に働いている人の給料が安くて、本社でふんぞり返っているだけの人たちの給料が高いなんてのは、よくある話である。つまり「仕事の重要度と賃金の高い安いは無関係」なのである。

 そう考えると「主婦の労働に金銭的価値を付ける」という行為そのものが、実は「給料が高いほど重要な人間である」という前提を包有した「罠」であることに気づくことができるはずだ。この罠に引っかかる限り、男は主婦を見下すし、主婦自身の自虐も無くなることはない。

 問題は賃金ではなく、その人がその労働を行うことの重要性そのものだ。私たちは金銭の大小に惑わされることなく、重要な仕事を重要だと称えるべきなのである。

*1:国分太一、"専業主婦の妥当な年収0円"との男性意見に驚き「感謝なさすぎ」(エキサイトニュース)

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