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女の子は「頭からっぽ」でいいから勉強は不要か

「女の子は頭からっぽでいい」という歌詞が、少し前に炎上していた。
今日は「女の子には勉強は必要なのか」という観点から考えたことを書きたい。

女性の学歴と収入は比例するのか

「何のために勉強をするのか」と聞かれたら、大抵の人が「いい学校に行き、いい就職をするため」と答えるだろう。

では、女性の学歴と収入は比例しているのか。

最も受験競争が熾烈だった団塊ジュニア世代が含まれる35~44歳で、仕事を持つ女性の年収分布図を見てみる。

35~44歳女性有職者の学歴別年収分布 35~44歳男性有職者の学歴別年収分布
総務省「平成24年就業構造基本調査」のデータから筆者がグラフ作成

男性(下の図)は、学歴が高くなるにつれ、グラフの頂点での年収は高くなっており、学歴と年収はある程度比例することが分かる。

対して女性は、男性ほどのはっきりした相関は見られない。
大卒男性で最も多いのは「500~599万円」だが、大卒女性で最も多いのは「100万円未満」になってしまう(おそらく「103万円の壁」が影響)。

さらに、いわゆる「高収入」である1000万円以上の割合は、大卒男性は6.9%、院卒男性は13.6%に対し、大卒女性は1.1%、院卒女性でも1.9%である。

まず、年収1000万円以上の女性の割合自体が1%台と非常に小さい。
さらに、院卒女性と院卒男性の格差たるや、約7倍である。
加えて、院卒男性の割合は大卒男性の約2倍となり、学歴との相関が見られるが、大卒女性と院卒女性の割合はほぼ同じである。

また、学歴問わず、女性の年収自体が非常に低い。

35~44歳女性有職者の年収分布(円グラフ)
総務省「平成24年就業構造基本調査」のデータから筆者がグラフ作成

35~44歳という働き盛りの年齢なのに、年収300万円未満が女性全体の72.9%(大卒女性では48.8%)と、ほとんどが低収入層なのだ。

この原因の一つとして、パートの給料が安いことが挙げられる。

フルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準
労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2015」のデータから筆者がグラフ作成

日本のパートの賃金は、フルタイムの賃金に比べて56.8%。約半分と言っていいだろう。
対してヨーロッパでは、7~9割となっている。

パートタイマーの定義は「短時間労働者」となっているが、立場だけパートで、実際には正社員と同じ時間で同じ労働をしている人も多い。
家事に時間を割きたい主婦向けの労働形態だったのが、その賃金水準が独身女性にも影響し、ますます女性の賃金を下げる結果になっている。

高い教育費をかけて大学を出ても、働き盛りの年代で、2人に1人が年収300万円未満。
親が女の子に施す教育を一つの「投資」と考えるならば、ハイコストローリターンな投資と言わざるを得ない、残念な社会構造となっている。
(上記の観点については、今後も継続的に書いていきます。今日はこのくらいで)

女の子が「視野を広げる」ことの大切さ

だが、教育は「投資」ではなく、勉強は、進学と就職のためだけのものではない。

勉強には、多くのメリットがある。その中の一つに、進学により「生きるための選択肢を広げること」がある。
そして、女の子が「生きるための視野を広げること」もあると思う。

女の子は「頭からっぽでいい」という歌詞を見て思い出したのは、漫画家の西原理恵子氏が故郷を語ったインタビューだ。

周りの先輩たちもみんな16ぐらいでいきなり子供生まされちゃって、18ぐらいで次の男になって、また生まされちゃって。もうもうみんな殴られて20歳でボロボロなのね。初恋もクソもないんだ。

私、絶対将来男に殴られる、すごい怖い人生送って、しかも自分の子供を殴る女になるんだと思って。だって素敵な女性はいないし、優しい男性もいなかったから、そんなになっちゃうのが怖くて仕方なかった。

「おま……殺すぞ!」西原理恵子&高須院長のホテルでの出来事
※一部、不適切な単語を省略

10代後半で、自分の人生を深く考える前に妊娠してしまう女の子たち。
田舎では「みんな」がそうで、モデルとなる女性もなくどうしていいか分からない、だから自分も同じ人生を送るという「あきらめ」の気持ち。

西原氏は今50代なので、現代にはそぐわない話かもしれない。
だが今でも、閉じた世界しか知らないために、人生をあきらめたまま生きている女の子は、それなりにいると思う。
その一つとして、はてなブロガーのひきこもり女子いろいろえっちさんの記事を引用する。

アイスケースにはいるな、って教える親は、どんな世界にもいるわけじゃない。

それを知らないまま育ったDQNが、社会でDQNなことして、炎上してすぐきびしい制裁受けるけど、常識をおしえてくれない大人たちの世界がそのままなくならないんなら、その世界でこれからもDQNが次々育つと思う。

「低学歴の世界」って言葉は、すごいうまくいいあらわした言葉だと思った。

でもそこに属してるのは、低学歴の子供たちだけじゃないから。

「低学歴の大人」や「子供を低学歴にする大人」が作ってる世界に育った子供たちが低学歴になる。

常識をおしえてもらえなかった子供たちが、その子供たちだけの常識作る。

それで、この「低学歴の世界」を、そうじゃない違う世界と切り離さないで、って思った。

(特定のブログの人にじゃなくて、不特定多数に向けて、です)

どこかでパイプ繋げて。

それじゃないと、いつまでも、ちゃんとした世界に入れなくて、この世界に取り残される人がたくさんいる気がした。

私のいる世界

女の子が人生をあきらめず、「低学歴の世界」に閉じこもらないためには、何が必要なのか。

それは、勉強で得られる「広い視野」だと思う。
勉強とは、受験勉強や机上の学習に留まらない。
情報収集や経験から、自分が住む世界の「常識」が全てではない、その常識が逆に「非常識」と受けとめられる世界もある、と知ることだ。

これは「低学歴の世界」に限らず、どこでも応用できる。
例えば、日本ではパートの賃金が安いのが「常識」である。だが、ヨーロッパではそれは「常識」ではない。

日本では、若くて可愛い女の子が、プロデューサーの操り人形として、自ら「女の子は頭からっぽでいいのだ」とアピールしている。
その歌を、素直に受けとめてはいけない。

女の子が「頭からっぽ」だと、だれが得をするのか。
10代後半の女の子を妊娠させる田舎のヤンキーや、頭からっぽの女の子で巨額の富を稼ぐプロデューサーや、女性の労働力をダンピングする国家じゃないのか。

自分が「偶然」生まれついた世界の「常識」を疑うこと。
そこから勉強は始まり、しばし「常識」に食い物にされがちな女の子が「あきらめずに」生きていくためにこそ、勉強は必要だと思う。

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