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「UFOがありえるかどうかはアンタが決めなよ」〜矢追純一氏が伝えたいこと

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前回、UFO特集を始めた経緯を我々に語ってくれた矢追純一氏。後半は、今のテレビをめぐる状況に、どのような思いを抱いているのか、聞いてみた。(前編はこちらから)【大谷広太/永田正行、撮影:野原誠治】

■視聴率というのは「ある特殊な分野を見たい」人たちを捕まえること

ー私も「矢追純一スペシャル」を見て育った世代ですが、90年代半ばごろを境に、やはり不確かなものや科学的な説明が難しいものを扱う機会が減っていったような気がしています。

難しい質問ですね。難しい質問というのは、いい質問という意味です。これには、ものすごく色々なことが絡んでいると思うんですが、人々に精神的な余裕が無くなっているということは間違いないと思います。その要因としては、大災害の発生や、経済の逼迫があるし、テロの流行もあるでしょう。

仕組み上、テレビという産業にはあまり先がないんですよ。売っているものが時間だから、言ってみれば1日24時間しか売るものがない、他の産業はどんどん拡大再生産することができるけど、テレビにはそれができない。

そういう中でマスコミが果たす役割の中には、"人々を元気づけ、明日に希望を持たせる"ということも含まれているんだと思うんです。「社会の木鐸」であるということには、そういう使命もあると思っているんですが、そこが抜けていますね。

一般大衆は、どうしてもマスコミに左右されてしまう部分があるんですから、マスコミは世の中を引っ張って行かねばならない。それがどっちかというと迎合して、視聴率を稼げばいいや、というところに行っている気がしますね。問題は何が面白いか。そこが迎合的になってしまうと、お互いレベルが下がって行っちゃうんですよ。

「いい番組を作りたい」とみんな言うけれど、何がいい番組なのかがわかっていない。みんなの「つまらねえからテレビ見ねえ」、という声を、作り手の側が汲んでいるかというとそうでもない。今はそういう状況ですね。

テレビ業界は、まだオールラウンドなものを好みますが、今や個人の趣味に合わせていく、というものが社会の風潮でしょう。みなオートクチュールで同じ格好をするというのではなく、個性的で、高くても好きなものを買う、「みんなと同じものじゃ嫌」という時代。そこにマスコミは追いついていないと思う。だから依然として、オールラウンドに受けるものを作ろうとしているんだろうね。

そんな中で、視聴率は稼がないといけないし、2〜3歳から100歳まで、みんなに見てもらわないといけないと思うと、常識的な、当たり障りのないものが出来るんですよ。でもそれは逆で、視聴率というのは、ある特殊な分野を見たい、と思う人たちを捕まえることだと思うんです。

■いざ目の前に宇宙人がきたら、気絶しますって

—そう考えると、矢追さんの番組は、ニッチといえばニッチだったかもしれません。

矢追純一のUFO特番って、エキセントリックなんだよ。常識的でない、みんなに受けようとも思っていない。好きな人だけが見た。でも、好きな人がめちゃくちゃ多かったんだね。

ああいうことをなぜやっていたかというと、世の中には非常識なことの方が常識的なことよりも多いし、まだ科学で解明出来ていないことのほうが多いわけでしょう。でも、マスコミというのは、そういうものは存在しないと最初から決めつけているから、もっと常識的でない分野をお届けするのも、マスメディアの使命じゃないかなと思ったんだよ。だから、オカルトチックなことばかりやってきた。

オカルト的ということは、"反常識"ではなく、"非常識"だということ。ユリ・ゲラーやネッシーも含めて、こういう世界もあるんだよと知ってもらいたいと。

確かに、みんなが同じ方向に行くってのも、社会的には悪くない。でも、個性がなくなったらまずいでしょう。

空を見ると、いままでの自分の閉じ籠っている狭い世界がちょっと開けるんじゃないかと。空は広いでしょう。星を見上げると、すごい世界があるんだな、自分はくだらないことに悩んでいるな、と気がついてほしいなと。そういうコンセプトは今も変わっていない。

色んな人に、自分が思っているのとは違う世界があるんだと。言い換えれば、自分の選択肢は無限にあるということを忘れて、視野狭窄になりやすいから。恋愛なんてその最たるものでしょう。思いつめると集中しちゃって、「他に女は居ない」と思っちゃうんだよ。端から見れば「そんなことありえないでしょ」って(笑)。

僕だって、UFOで生きてるわけではない。生きていく上でのちょっとした些細な出来事なんですよ。"矢追=UFO"って思われてるけど、俺は人間なんだよって(笑)。

だから実はUFOにも、そんなに重きを置いていないんです。「あっても無くてもいいじゃん、そんなものは」と。それに囚われることが、まさに狭い世界に閉じこもることになるんだから。「世の中、いろんなことがあるんだよね」、それを伝えるというのが、僕のコンセプトですよね。

実際問題、宇宙人を見たいとかみんな言うけれど、見たら嬉しいかもしれないけれど、他にもいくらでも面白いことはあるでしょうと。いざ目の前に宇宙人がきたら、気絶しますって。本当に来たら嫌なんだよ。遠くからチラチラしててほしい。「あれは飛行機かな?UFOかな?」って言ってるときが一番楽しい。第一、UFOが生活に影響があるかもしれない、と考えている奴はいないんだよね(笑)

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