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「優しさが無ければ取材は成功しない」〜東海林のり子さんに聞く(後編)

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”元祖事件レポーター”・東海林のり子さんのインタビュー、今回は、長年の取材の中で感じた”報道”とはどうあるべきなのか、そのことについて話を聞いた。(前編はこちらから)【大谷広太、写真:野原誠治】

■「取材ノート」が支えになった

-膨大な「取材ノート」をつけていらっしゃったそうですね。

東海林さんの「取材ノート」
私は「取材ノート」を作って、取材に行った事件について、新聞の切り抜きを貼り付け、必ず書き留めていました。レポートする前に目を通すと、自分でも何を書いているのかわからないこともあるんですけど(笑)。

でも、そうすると忘れることがないですよね。今でもノートを開くと、「ああ、この事件も行ったな」と。ですから、自分で取材したものについては、ちょっとしたメモでもなんでもいいから何か残しておけ、と思いますね。

他のレポーターの方たちにも「こういうのを作っておくと、事件が裁判になったり、新たに展開した時に、必ず役に立つから。」「名刺をもらったら、そこに貼っておけばまた取材するときに便利だから」と勧めていましたが、実践した人はいませんでした(笑)。

私にとっては、結局このノートが支えになったと思うんです。「取材をして、テレビで流れたらおしまい」ではなくて、ちょっとしたことでも残しておくと、次の取材が楽になります。インタビューの手法でも、「こう言ったら拒否されたけど、こうやったらできた」とか。

■取材に行ってみたら、報道とは異なる現実があった

事件レポーターをしていた頃は、大きな事件だけでなく、新聞の片隅に載っているような、あまり報じられない小さな事件を取材してみると、記事とは全く違う話だった、ということもるんですよ。

こんなことがありました。

死産の子を宅配便でお寺に送ったという事件。新聞は「なんて非常識な母親だろう」という論調で書いたんですね。箱の中に入れてあった手紙の内容について、実に頭に来るようなものだった、という書き方にしていたんです。

私たちは、他局が取材に行かなかったこともあり、「もしかしたら真相は違うかもしれないな」とお寺に出かけていきました。門には「取材お断り」と書いてありました。それを見ながら「ごめんください」と入っていくと、奥さんが出ていらっしゃって、「今、その子の供養をしているところなんです」と言ったんですよ。

私が「是非、私たちも供養に参加させて下さい」とお願いすると、「良いですよ」と。お堂には小さなお骨の入った箱があって、お坊さんが読経をしていました。私たちと奥さんの他に、誰もいませんでした。

終わった後、お坊さんに「すみません」と切り出しましたが、「いやいや、取材はお断りだから、やめてくれ」と言われました。それでも、私はしばらく粘ったんです。「手紙が入っていたそうですね」と。すると、「新聞に書いてあるような内容じゃないんだよ」とお話を始めました。手紙には、お子さんに対する哀れみの気持ちが書いてあって、最後に「ごめんなさい、ごめんなさい。私は立ち会うことはできませんが、このお金でなんとか、この子を供養してやってください」と、お金が入っていたそうです。

確かに事実だけを見ればとても非常識な母親だけれども、そこには色々な事情があったんだということをスタジオで説明でできたんです。ですから、いつも「本当にそうなのか?行ってみなきゃわからないじゃないか」という思いは持ち続けていましたね。

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