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いまのワイドショーは「熱くない感じがする」〜東海林のり子さんに聞く(前編)

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「現場から東海林がお伝えしました。」

事件現場をレポートする、あの声をご記憶の方も多いだろう。視聴者に親しまれながらも、阪神淡路大震災の取材を機にワイドショーレポーターの第一線を退いた東海林のり子さん。20年あまりが経過した今、テレビの報道番組をどう見ているのか。ことし82歳を迎える東海林さんに話を聞いた。【大谷広太、写真:野原誠治】

■ニッポン放送「立ち上げ」時のアナウンサーに

—メディアの現場を志したきっかけはなんだったのでしょうか。

「アナウンサーなりたかったんですか?」とよく聞かれるんですが、実はそんなことはなくて、「とりあえず仕事を見つけなきゃ」と応募したのがきっかけなんです。

私が大学を卒業した頃は、女性にとって就職難の時代でした。企業は募集していたのは男性ばかりで、「女性は自分でなんとかコネを使って探せ」という雰囲気だったんです。私にはそのようなあてはありませんでした。

出版社の編集部に入って、有名な作家の先生がお書きになった原稿を取りに行くのもかっこいいな、と思ったこともありますが、募集が無かったんですね(笑)。さて、どうしようかなと思っていたら、ニッポン放送が開局にあたって若干名アナウンサーを募集すると。「とりあえず喋れればいいという話だから、誰にでも権利がある、これはいいな」と。原稿読みや実況など、選考は8次くらいまであり、応募者も2,000人はいたと思います。「こんなにたくさんいるんだから、だめだろう」と思っていましたが、最終的には男性4人女性4人の一人として入社することができました。

ニッポン放送で指導して下さったNHK出身の先輩方は物凄く厳しく、私はいつもビリだったんです。他の新入社員達は、学生時代からアナウンスの勉強をしていたり、放送研究会で司会のお仕事をしたりしていましたからね。「バカヤロー!」とか散々に言われました(笑)。

でも、その頃の私はあまりこだわる方ではなかったので、なんとなく「ビリでも良いかな」「下手だと思われてもしょうがないわ」と開き直っていました。するとそのうちに番組が付かなくなってしまって、「この番組は、◯◯社の提供で…」みたいなアナウンスのお仕事ばかりに(笑)。

それでも、後輩も入ってきて、一緒に入った女性たちが結婚して退職して行っていく中、私だけが最後に残ることになりました。その頃から、「もしかしたらこれが生涯やっていく仕事なのかな」いう気持ちや、「もっと上手くなりたい」という気持ちが出てきましたね。

■アナウンサーから「レポーター」に転身

—東海林さんがアナウンサーからキャリアをスタートさせたということも、若い人には意外かもしれません。仕事の幅が広がったのは、いつからでしょうか。

3年目で結婚し、それからしばらくして長男が産まれました。多くの番組を担当させてもらっていましたが、子育てと仕事の両立はやはり難しく、「この辺で一区切りつけようか」と、入社から13年でニッポン放送を辞めました。

それから1年あまりが経った頃、フジテレビの方から「”情報番組”を作るから、レポーターをやらないか」というお話を頂きました。

今なら「情報番組」と聞けばすぐにイメージが湧くと思うんですが、それがどういうものか、最初は全くわかりませんでした。プロデューサーに会って話を聞きましたら、「野菜の値段や子育ての問題、ダイエットなど、いま世の中で起こっている、あらゆることを16時台に一遍にぶつける。つまり"新聞の折り込み広告"みたいな番組を作りたい」と言われました。面白いなと思って、仕事を受けることにしました。それが、アナウンサーからレポーターになったきっかけです。

今では当たり前の「テレビショッピング」のはしりのようなものも経験しました。それで鍛えられたのは、喋りの技術そのものよりも、10秒なら10秒、30秒なら30秒という短い時間に情報を詰め込んで、商品の魅力を伝える能力でした。原稿を読むのではなく、例えば、あらかじめ情報をインプットした目覚まし時計について、スタジオで喋ると。その頃が最も記憶力が良かったと思います(笑)。

そして、外へ出て取材ですね。「なんでも調べてこい」と。現場で他の局の取材班に「どこの放送研究会?」と言われたこともあるくらい、みんな若かったんです。何をやるかも決まっていないんですよ。黒板に「企画を出さないものは去れ!」というようなことが書いてあって、必死でアイデアを出し合いました。「16時までに帰ってくればいいから」と、男性リポーターは自分でバイクを運転してスタジオに戻ってきたり(笑)。そして、とにかく取材してきたものをスタジオに入れる。誰にも教えてもらえない、自分で取材しなければいけないという緊迫感の中で、それを7、8年やりました。

もちろん素人でしたし、手探りだったんですけれど、そういう番組に身を置いたことで、「取材する」ということを少しずつ学ぶことができたと思いますね。

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