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深夜2時:ソーシャルメディア広告の最前線

 

モバイル広告やソーシャルメディア広告では新たな領域が試されている。深夜という時間帯だ。

 広告主は就寝時間後の真夜中過ぎに交流サイトをチェックするほどのスマートフォン利用者向けに作られた動画、写真、メッセージをフェイスブック、ユーチューブ、ツイッター、インスタグラムに投稿している。これらの広告には奇抜なものが多く、企業にとって多額の予算をかけずに独創性を発揮する機会となっている。そして、うとうとした「囚われの聴衆」は少しひねくれたユーモアを楽しむこともできるという考え方も背後にはある。

 米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで、顧客戦略とマーケティングを担当しているローラ・ボウディン氏は「昔、深夜にテレビで見て興味を引かれた多くのコマーシャルを彷彿とさせる」と話す。「午前2時に眠れずに起きているということは、スマホを見ることだけに集中していることになる。子供の面倒を見たり、夕食を作ったりしながらではないので、少し囚われの聴衆になりやすい」。

 米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の胃腸薬「ペプトビスモル」はそのフェイスブックページに投稿された17秒の動画に「ペプトコプター」を登場させている。エレベーターから飛び出してきたペプトコプターは、企業の会議室へと入っていく。そして胃のむかつきに苦しむビジネスマンにパラシュートを使って胃腸薬を届けるというものだ。深夜に投稿される他の多くの動画と同様、そのプロットはばかげているが、交流サイト上で友人とシェアしたくなる顧客もいるかもしれない。その直近の投稿は午前12時1分(東部標準時)だった。

胃腸薬「ペプトビスモル」がフェイスブックに投稿した17秒の動画には「ペプトコプター」が登場する
胃腸薬「ペプトビスモル」がフェイスブックに投稿した17秒の動画には「ペプトコプター」が登場する Photo: Pepto-Bismol/Facebook

 広告主は従来、昼間の時間帯に消費者への売り込みを行う。オンラインでも多くの企業は典型的な販売促進のパターンに従い、午前中や正午、人々が職場から家路に就く夜などに交流サイトに投稿する傾向がある。電子メール技術会社センドグリッドの最高マーケティング責任者(CMO)、スコット・ハイメス氏によると、顧客向けの販売促進用メールの70%は通常の時間帯に、30%がオフピークの時間帯に送信されているという。

 ロンドン在住、24歳のメーラ・パテルさんは今や夜間のデジタル広告に包囲されている状態だという。カナダのトロントに住むボーイフレンドと遠距離恋愛中のパテルさんは、1日の終わりにその彼と電話するために夜更かしすることが多い。ある晩遅く、パテルさんはマクドナルドのツイート広告を見た。その投稿の効果は絶大で、12月だったにもかかわらず、パテルさんはその夜に近所の24時間営業のマクドナルドに向かってしまったという。

マクドナルドは早朝にソーシャルメディアにメニューについて投稿することで知られる マクドナルドは早朝にソーシャルメディアにメニューについて投稿することで知られる Photo: McDonalds/Twitter

 他の飲食関連企業も同じような戦略を採用してきた。2013年にはコーヒーブランド「フォルジャーズ」がデジタルの起床ラッパの役割を果たすほか、ユーザーに交流サイトでシェアできるインスピレーションを与えるようなメッセージも届けてくれる目覚まし時計アプリを公表した。タコベルは昨年12月、フェイスブックページに同社のアプリの使用を促すタコスと絵文字を組み合わせた写真を午前1時ごろに投稿した。タコベルによるその他の早朝の投稿では、数時間後のイベント、朝食が焦点となっている。

 パテルさんは最近、化粧品、格安フライト、手頃な価格の洋服のタイムセールを知らせるデジタル広告もよく見かけるという。

 オラクル・マーケティング・クラウドのゼネラルマネジャー兼シニアバイスプレジデント、ケビン・エイクロイド氏によると、広告主は深夜のスイートスポットを単なる時間帯として捉えるのではなく、消費者が各時間帯にどういった役目を果たしているかについても考えているという。企業は人々がどのようにスマホや交流サイト、ゲーム機、ウェブブラウザーを使っているかを見極めることで消費者の「デジタル・ボディランゲージ」を把握できるとエイクロイド氏は言う。こうして企業はその人が果たしている役目により関連している可能性のあるメッセージを送ることができる。「正午にはサッカーマム、午後5時には職場でCEOの役目を果たしている消費者も、夜中の12時には何もせず、自分の時間を過ごしているかもしれない」と同氏は指摘する。

 夜遅くのそうした「自分だけの時間」を過ごしている女性は深夜の広告主にとって重要なターゲット層となっているようだ。消費者調査会社インフルエンス・セントラルが2016年に500人の女性を対象に行ったオンライン調査によると、夜にベッドのそばに携帯電話を置いている人の割合は81%で、2012年の62%から拡大しているという。

 P&Gの女性向け商品の多くは交流サイトへの深夜の投稿を始めた。スキンケアブランド、オレイのフェイスブックページには1月21日の午前12時18分(東部標準時)に投稿された再生回数6000回以上の動画がある。ヨガのクラスを終えた女性2人が週末の予定について話している。その動画は「付き合いの予定には年齢が反映されるかもしれない。オレイを使えば、あなたの肌に年齢が出ることはない」というナレーションで締めくくられている。

 女性用カミソリ、ジレット・ヴィーナスはよく午前12時(東部標準時)にそのフェイスブックページに広告を投稿する。女性の脚とひらめくスカートが印象的な極めて短い動画の再生回数は800万回以上となっている。ジレットの男性用商品のフェイスブックページには深夜に投稿された動画はない。

 フロリダ大学ウォリントン経営大学院の助教で深夜の仕事関係の電子メールが睡眠の質と時間に及ぼす影響について研究したクロディアナ・ラナジ氏は深夜のオンライン広告について、消費者がより購入しがちなタイミングで届いているかもしれないと話す。

 「夜中に企業にアプローチされると、何を買おうか、それを買うべきか否かと考えることになるので、睡眠の妨げになる可能性がある」とラナジ助教は指摘する。「一方、お金を使ってはいけないという抑制が利かなくなるので、商品を買う可能性はより高くなる」。

 ラナジ助教によると、われわれが決断をするための心的資源の量は、1日を通じて使われた結果、夜中には縮小しているという。

By CHARLIE WELLS

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