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FBザッカーバーグの野望

 ローマ時代の皇帝のような姿のザッカーバーグ氏。左手にFacebookのロゴを持ち(しかもその下に地球儀)、右手は象徴となった「いいね」の親指を立てているのは、最新のThe Economistの表紙です。

 

 ローマ時代、敗北したグラディエーターに対して観客がthumbs up(いいね)をすれば命は温存され、親指を下に向ければ死を意味したそうです。ということで、この表紙に。AI(人工知能)関連の企業を買いまくって投資を進めるザッカーバーグ氏の野心がよく分かりました。

 Facebook – Imperial ambitions(帝国のような野望)~Mark Zuckerberg prepares to fight for dominance of the next era of computing(ザッカーバーグは次世代のコンピューター技術の独占をめぐる戦いに挑む)と関連の記事はざくっとこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。

 親指を立てたthumbs upがここまで権力の象徴として影響力を持つのは、ローマ時代以来であろう。創業からわずか12年。Facebookは、膨大な数の利用者、莫大な資産、カリスマ性のあるリーダー、それに信じられないほどに広範囲な影響力を持った偉大な帝国となった。 

 世界16億人の利用者のうち、10億人は毎日、平均20分以上使っている。時価総額は3250億ドルで、世界で6番目だ。 

 それでも、会社を率いる31歳のザッカーバーグ氏は、さらなる野望を抱いている。▼太陽光を電源としたドローンを使って発展途上国にインターネットを普及して人々をコネクトし、▼AI関連の企業を買収しまくり、▼chatbots(AIを活用したアシスタント的な役割)、▼VR(仮想現実)に賭けている。

 Facebookは、多くの利用者を引き付ける魅力的なサービスを編み出し、長く滞在させることで広告に結びつてきた。それはGoogleもそうである。 

 ただし、生活の中で2社の役割は異なる。Googleは世界に関する膨大なデータを蓄積している一方で、Facebookはあなたやあなたの友人に関するデータを保有している。何か調べ物をするときに開くのがGoogleの一方で、時間をつぶすときに利用するのがFacebookだ。

 ただし、両社の独占的な地位や戦略は至極似てきている。多くのデータを蓄積した結果、2社とも他社を寄せ付けず、利益も確保できている。その結果、大きな賭けをする資金を持ち、今後伸びてきそうなライバルを買収することができる。

 目的はデータを活用して新たなサービスを作りだし、新たな方法で利益を得ることだ。FacebookはAIに賭けていて、深層学習(machine learning)が決め手の1つだとにらんでいる。独自にプログラミングをするのではなく、ソフトウェアがデータを学習する方法だ。すでに写真の顔の認識や、どの広告を誰に示すかといったことはAI技術を使って進めている。

 さらにFacebookは、AI主導のデジタル・アシスタントやショート・メッセージを通じてやりとりできるchatbotプログラムを推し進めている。 

 今月12日には、chatbotの幅を広げるため、Messenger serviceについてより広く使える方法を発表すると見られる。すでにUberの車を呼ぶことはできる。VRのOculuを買収しており、今後、スマホのあとのコンピューティングやコミュニケーションの行き先を示唆しているともいえる。 

   

 Facebookは、ソーシャルネットワークというよりは、今では、人気プラットフォームを傘下にもつ持ち株会のようなものだ。ザッカーバーグ氏曰く、Facebookは「目的が明確なテクノロジーの会社(a mission-focused technology company)」である。

 ただし、あらゆる局面でライバルがいる。Googleは、インターネットサービスを向上させ、自動運転の車の開発のためにAIを使っている。 

 多くのITの巨人がAIに激しく投資しているが、もっとも有利なのはFacebookとGoogleだろう。潤沢な資金と分析に必要なデータを大量に保有しているからだ。 

 音声による個人アシスタント業務では、Amazon, Apple, Google, Microsoftが進んでいる。Chatbotでは、Microsoftがライバルであるだけでなく、botsこそアプリの次のヒットだと踏んで新規企業も続々と出ている。ザッカーバーグ氏がAR=augmented reality(拡張現実感)に向けての階段だと見ているVR(仮想現実)もライバルが多い。 

 Facebookの野望と立ち向かうライバルの顔ぶれを見れば、こうした技術が将来人間が互いに、あるいはデータと、さらに周囲とどう接するかをいかに変える化を物語っている。 

 10年先、コンピューターとは、AIが介在してAR(拡張現実感)の形となり、入力はジェスチャーや会話、ディスプレイは世界となりそうだ。 

 これがFacebook, Google, Microsoftなどテクノロジーの巨人が目指している野心的な目標だ。 

 問題は▼市場独占と、▼プライバシー対する懸念だ。MicrosoftとGoogleの成長は、成功すれば規制当局の目が厳しくなることを示してきた。 

 多くの人たちの生活に密着しておおくの利益をあげる一方で、世論の批判を受けないというのは、企業にとって今世紀最大の課題だろう。 

 昔のローマでも、皇帝に対して世論が突然反旗を翻すことはあった。是非ザッカーバーグ氏を評価すると同時に、彼の行く末を心配しよう。 

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