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【AI技術者の世界争奪戦】

何かとAI=人工知能が話題ですが、大手IT企業の間でmachine learningの技術者の争奪戦が激しさを増しているそうです。高額な給与に目がくらみ大学に残って研究する若者が減り、さらに重要な研究が一部のIT企業に寡占されることに警鐘を鳴らす記事が The Economistの最新号(4/2/2016号)にあります。

アメリカや中国のIT企業がいかにカネに糸目を付けずに、必死にAIの専門家を世界中から集めているかが分かります。日本企業はいっさい登場しませんが、そうした人材獲得は日本では難しいのでしょうね。

Artificial Intelligence, Million-dollar babies(人工知能、100万ドルのたまごたち)

大手IT企業がAIの専門家の争奪戦を繰り広げている。Google, Facebook, Microsoft、それに中国のBaiduなどは、AI事業の拡大を急いでいる。去年、合計で 85億ドル(日本円で1兆円近く)を研究開発や買収、さらに採用に使ったとデータ会社Quidは言う。2010年の4倍の金額だ。

かつては、優秀なAI専門家を雇用したのは大学だった。今や、IT企業がroboticsやmachine learning(コンピューターがデータから自ら学ぶ技術)の学科をまわり、もっとも優秀な職員や学生を高額な給与で釣っている。まるでプロのスポーツ選手を採用する時のように。

去年、ライドシェアリングのUberが自動運転技術の開発のために、カーネギーメロン大学のロボット・エンジニアリング・センターのスタッフ140人のうち 40人を引き抜いた。Uberはもともと、このセンターの研究を資金支援することを約束していたにも関わらずスタッフを引き抜いたため、耳目を集めた。

ほかのIT企業はより静かに、でも同じような粘り強さでヘッドハントをしている。優秀な人材の民間への流出は、大学の研究者を不安にさせている。学生がすぐに青田買いされてしまうからだ。

Machine learningの専門家の需要がもっとも高い。スパムのふるいわけや、オンライン広告の改善といった基本的な用途から、自動運転の車やスキャンをすることで病気を発見するといった将来の用途まで、大手IT企業が必要とする技術だ。仮想秘書に日々の業務を任せたり、写真を容易に探したりするすためにも、 machine learningの進歩が欠かせないのだ。



IT企業は決して以前からAI専門家を求めてきたわけではない。「AI冬の時代(AI winter)」だった 1980年代、 1990年代は、AI研究が無視され、資金もあまり投入されなかった。それは夢物語ばかりが語られ、技術が追いつかなかったからだろう。

昨今のAIブームの火付け役はGoogleである。2014年にロンドンの研究所から Deep Mind社を買収した。これが囲碁で勝利を繰り返した人工知能の土台となった。買収金額は6億ドルとも言われる。

同じころ、やはりDeep Mindの買収を狙っていたFacebookは、AIのラボを立ち上げて、ニューヨーク大学のYann LeCunを所長として招き入れた。

中国の BaiduのAI研究所を率いるAndrew Ngは、かつてはスタンフォード大学で教鞭をとっていた。彼は、IT企業に勤めるメリットを2点挙げる。▼巨大なコンピュータティング・パワー、▼巨大なデータ集積。どちらも現代のmachine learning には必要不可欠な要素だ。

ただし、大学にとっては危機的な状況だ。高額な給与に釣られて教壇に立つ人がいなくなれば、若い研究者が育たなくなる。国家も困る。これまでAIの最先端を走ってきたカナダの技術者がそろってアメリカに行ってしまう恐れがある。

さらに、AIの技術がごく一部の企業に集中してしまうことも懸念だ。多くのIT企業は研究結果を公表したり、従業員に論文を書いても良いことを約束したりしている。とは言え、利益につながるような研究成果は現実には公表されない。フロントランナーのGoogleが一種の知的独占 (intellectual monopoly)を築くのではないかという不安の声もある。

だからこそ、非営利目的のプロジェクトOpen AIには、去年12月、 TeslaのElon Muskが10億ドルを費やすことを約束した。AI技術が将来1社に独占されることへの危機感が背景だ。

AI技術を前に進めるのに、IT企業が相応しいのか、あるいは大学が相応しいのか。その答えはまだ出ていない。大学は、将来の技術の種まきができないことを懸念している。ただ、AIに対する予算の増額は、この分野に入りたいという新規の学生を増やしてきた。IT企業は寄付口座を開くことや、研究開発にもっと資金を投じることができる。

IT企業はそのためのカネも意思も持っている。シリコンバレーでいま足りないのはカネではない。技術を持った優秀な人材である(In Silicon Valley it is talent, not money, that is the scarcest resource )。

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