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Abema TVは当たるかもしれないと思った件

サイバーエージェントの非ゲームサービスに関しては、正直ここ数年ピンと来たものがありませんでした。

☆755
施策レベルの鍵は「著名人のアクティブ率」と見ます。スタートアップ界隈の経営者も使い始めていますが、彼らはすぐ飽きていなくなるでしょう。(本誌2015.1.6の記事から引用)

著名人も大して使わなかったですし、スタートアップ経営者は3ヶ月しないで離脱していたかと。2016年2月に「個人対個人」用にリニューアルしたそうですが、最早サイバーエージェント関係者からも「触れちゃダメなやつや」的サービスと化しており、iOSのソーシャルネットワーキングランキングでは無料84位(2016.4.4時点)です。

サンクコストバイアスに目を瞑って、755は大人しく撤退したほうが良いと思います。必要性も中毒性も感じないサービスでした。ぜひサイバーエージェントプロデューサー陣は下記の記事をご覧ください。ちょうど4年前の記事ですが。

インフラとなるWebサービスは「中毒性」か「必要性」が高い

☆AWA
AWAはコスト構造的にかなり不利に思えて、無謀な戦いに思えるのだが、結末やいかに。(本誌2015.8.4の記事から引用)

2016年1Qの決算資料の下記の説明がひどいと話題になっていました。

スクリーンショット 2016-04-04 23.49.55

「Android端末の」App Anie調べだという。Android端末だとAppleが不利に決まっている。さすがにこれを決算資料に載せるのは如何なものかと。そんなに自社を有利に見せたいのかと。iOSのトップセールスランキングを見ると、1位AWA、2位LINE MUSICでした(2016.4.4時点)なので、AWAは失敗したとは現時点では判断できないでしょう。

何かの記事で見ましたが、AWAでのマネタイズは見越しておらず、「スタイリッシュなサービスやってるんだぜ感」で採用ブランディングの位置付け説もありました。収益モデルからして、どうみてもApple Musicに分がある。私も今はApple Musicユーザーです。おそらくスイッチしないだろうな。AWAが筆者の想定以上?にユーザーを獲得したのは、TVCMの効果かなと思います。

最近の大きなメディア新規事業は755とAWAの二つだったかなと。なので、動画事業もあまり期待していなかったんです。

筆者と同じような思いの書き手が多かったのか、サイバーエージェントの動画事業にメディアはほとんど反応をしましませんでした。「Abema TV」で検索しても、Abema TVを語る記事はほとんど見つかりません。2月にβ版ローンチした時も「あっそう」くらいにしか思いませんでした。

Abema

Abema TVをダウンロードしたのは、いかにも筆者が視聴したそうな「CA女子と芸能人が3月18日(サイバーの日)にコンパする様子を放送する」という情報をタイムラインで見かけたのがきっかけでした。その番組は期待値をものすごく下回るつまらなさでした。

番組がつまらなかったので、Abema TV内の他局をザッピングしていたんです。アニメチャンネルがある。そこにはなんと…….スラムダンクが!しかも三井の「安西先生…(以下略」の名場面の回やないか!ということで、スラムダンクをたしか1時間ほど視聴しました。それが私のAbema TVのユーザー体験でした。

その後はついにCA女子自体を商品化してきた感が否めないふれさんぽという番組をチラ見したりもしました。正直、あまり面白くはありませんでしたが、2012年11月の本誌の主張が具現化しているかのようで、隔世の感を覚えた。
希少な自社の事業資産であるCA女子を活かしたサービスやプロモーション展開をすべきだ(本誌2012.11.15の記事より要約)

しかしながら、ふれさんぽのような番組をリリースしても、少なくとも筆者界隈のインターネット業界の人間からの反応は薄い。というか皆無だ。それは既にCA女子が旬を過ぎたプロダクトであり、BCGのプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)でいうと、キャッシュカウから負け犬へとシフトしたフェーズであるといえる。インターネット業界でCA女子ブランドが印籠の役割を果たした時代は終わりつつある。

ここ数年を振り返ると、CA女子のピークは「第1弾AKBコピー(恋するフォーチュンクッキー)」の2013年頃であったといえます。第2弾AKBコピーはちょっと滑っていた感がありましたよね。なので、CA女子をプロダクト化するのは2013年であるべきであった。というのが筆者の見解です。

かなり雑談が長くなってしまったというか雑談でしかない記事ですが、率直にAbema TVは755やAWAと違って、当たるかもしれないと感じた。理由を箇条書きにするとこんな感じだ。

①:スマホの中にTVを作った。スマホ最適化TVは実はまだ存在しない

②:ユーザーのTV視聴リズムを、そのままスマホにシフトすれば良い

③:フロー型コンテンツとしてセレンディピティーを誘発しやすい

この手の動画メディアといえばCGMではYouTubeとニコニコ動画が巨人。プロコンテンツ配信としてはNetflixとHuluが巨人。Amazonもオリジナルコンテンツ参入の兆しがある。

その中では私はユーザーとしてYouTubeとNetflixを使っている。今日もこの記事を書き終えたら最新のテラスハウスを視聴する。YouTubeは実はリテラシーが高い人じゃないと使いこなせないと感じており、ユーザーの検索能力に利用が大きく依存すると感じる。一度面白い動画に当たれば、関連動画を回遊して視聴時間が伸びていくが、「自分が見たい動画」にどうしても辿り着きにくいというのが、ユーザーとして日頃使っている感想。

NetflixのようなSODは最初はお目当の番組を見て、その後関連動画の回遊率が高いという話を聞く。YouTubeと異なるのはプロ動画のため、関連動画で他の作品にハマったらそこからイッキ見するなど、その後の満足度が高い。

YouTubeもNeflixもストック型の性質が高いサービスであると感じる。逆にAbema TVはフロー型の性質が強い。TVユーザー本来の「受動視聴スタイル」でも楽しめそうな設計で、横スワイプでチャンネルを徘徊し、興味があるのがあれば見てみる。YouTubeやNetflixより回遊した結果「なんか面白いかも」というのに当たる確率が高いように思えるのだ。これは実際にDLして使ってみないと、テキストのみではうまく伝えにくい感覚だ。

実際にユーザーに利用されるシチュエーションとしては、夜寝る前にFacebookやtwitter、Instagram、LINEなどのSNSを一通り回遊した後、まだ眠れないという時に、グノシーやスマニューを開くか、Abema TVを開くかという選択になる。ユーザーが利用するアプリのファーストチョイスにはならないが(ファーストチョイス、頻繁に利用するアプリ上位3つはSNS系が来る場合がほとんどだと思う)、ユーザーによっては上位4,5位にランクインできる可能性があるのがAbema TVだ。

しかも、この手の受動型TVは田舎の暇なユーザーと相性が良く、直接的な競合はYouTubeやニコニコ動画だが、間接的な競合はグノシーといえるかもしれない。暇な地方ユーザーの可処分時間を奪い合うという意味合いで。

暇な時はうっかりAbema TVをつけてしまうという「中毒性」が誘発されやすいサービスな気がする。「うっかり」というのは、「20秒程度スワイプするだけで見たいコンテンツがあるかも」という程度の動作で楽しめるからであり、少しでも何かしらのアクション(検索とか)を必要とするサービスよりも「楽だから」という理由で、無意識下でAbema TVが選ばれる気がするのだ。

総視聴時間をしっかり伸ばせば、後は広告でマネタイズすれば良いだけである。代理店事業に売らせれば良いので、Abema TVはスケールすれば、DAUがやばそうな755、課金だけど薄利のAWA、悪くはない収益性だけどCAの規模からすると柱にはならないキュレーションメディア事業より、ポテンシャルがあるサービスといえます。

動画に振り切るというのは大きな賭けに出た気がしましたが、スマホの未来を考えると、全く違和感はありません。参入タイミングとしては、今回もCA流の「少し市場が温まってから」フルスピードで猛追するという伝統的お家芸でした。アプリのサービス設計自体はマスユーザーに上手くハマりそうな気がします。おもしろうそうなコンテンツが少ないのが気がかりですが、コンテンツの質を議論すると袋小路逝きですので、そこは割愛します。

珍しく「当たりそう」と言ってしまいましたが、来年あたりの検証で「やっぱり外れた」とならないよう、Abema TVのヒットを祈願しております。

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