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「安倍総理くらい、子育て問題、待機児童問題に一生懸命な総理はいない」【各党に聞く福祉・若者政策】

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BLOGOS編集部
今年7月に実施される参院選。憲法改正の争点化や18歳選挙権などに注目が集まっているが、各党は福祉・若者世代向けの政策についてどのように考えているのだろうか。

BLOGOS編集部では参院選に向け、主だった党の担当者にインタビューを実施。今回は、自由民主党所属で、前厚生労働大臣の田村憲久衆議院議員に話を聞いた。【大谷広太(編集部)】

■「自民党は働く人々の味方」

-現政権下では、アベノミクスの成果もあり、働く人も増え始めています。ただ一方で、「増えているのは非正規雇用ばかりじゃないか」という批判も一部にあります。雇用の面での現政権での成果や取り組みについて教えてください。

田村:「非正規雇用ばかりが増えている」と言われるんですが、少し勘違いがあると思います。そもそも人口構成比上、毎年200万人規模で定年退職者が出る一方で新卒者は120万人なのです。つまり、放っておいても正規雇用は減っていく構造になっている。また、今は仕事が増えているため、定年退職後、嘱託や継続雇用で働いている方も多くなっているのですが、こうした方々は非正規雇用です。女性もどちらかというとパートタイマーの方々が多い。

そうした中にあっても、最近は景気も上向きになり、正規雇用もここ2年ぐらいは良い状況になりつつあります。先ほどお話した前提の中でも正規雇用が伸びたということは、今まで不本意に非正規雇用だった方が正規雇用で働き出しているということなので、雇用状況は改善していると考えられます。

また、現在(1月)、完全失業率が3.2%です。よく3.4%程度が均衡失業率だと言われているので、ミスマッチ以外は、ほとんどの方が働いている状況に近いのではないかと言われています。実際に有効求人倍率を見ても、雇用の部分ではタイトになってきているのが現状ではないかと思います。

とはいえ、今回の春闘について安倍総理は「やはり賃金の上がり方が十分ではない」とおっしゃっています。最低賃金も私が大臣になったときに上げ始めて以来、15、16、18円と2ケタ増が続いていますが、できるだけ早い時期に加重平均で今の798円から1000円まで上げていかなければなりません。

そのためには中小零細企業が利益をあげていく必要があると考えています。なぜなら、そうした企業で働く方々が圧倒的に多いからです。最近は大企業の業績も世界的要因で難しいところもありますが、史上最高益が続き、内部留保の問題も指摘されていますので、大企業は自社の社員だけではなく、取引のある下請け、自動車産業の場合などは4次請け、5次請け、そういうところまでちゃんと発注単価が上がっていかないといけません。それによって下請けの中小企業に勤める方々の給料をあげて行く必要があるので、春闘だけではなく発注金額もしっかりと上げていっていただきながら、日本全体に良い好循環が生まれるよう、お願いしているところです。

-「働き方」も重要なテーマだと思います。最近では、「女性の社会進出」の議論の中で、男性の働き方・休み方についても議論されていると思いますが。

田村:最近は、雇用状況が非常にタイトになってきているので、いわゆる"ブラック企業"はある程度淘汰されていくと思います。大手企業でも待遇を改善したり、非正規雇用から正規雇用に切り変えていくところが出てきています。

「働き方」について言うならば、まず長時間労働を是正する必要があります。様々な働き方がある中で、女性に対して一律に「男性と同じように働け」と言うつもりはありません。しかし、意欲のある女性の方々が男性と同じようなキャリア形成をしていくにあたって、「男性はこんなに残業をしてるから出世するんだ」というのでは、それこそ女性が子どもを産み育てていると、男性と差が付いてしまう、という話になってしまいます。

そうではなくて、男性が無理な残業をしなくてもキャリアが形成できるようになれば、女性も同じ働き方でキャリア形成できますから、「じゃあ二人で協力して、家事も子育てもできるよね」という、非常に良い社会になると思います。そのために、まず男性などの長時間労働を是正するということで、厚生労働省も「かとくチーム(過重労働撲滅特別対策班)」を作って、過重労働への監督、ブラック企業対策をやっていますし、労使で話し合って「労働時間の見直しを進めて下さい」という指針のようなものを法律の中に盛り込んでいくなどしています。

現在、週の労働時間は本来40時間なのですが、「36協定」を結ぶと一定時間の範囲で残業ができるという仕組みになっています。ところが、さらに特別条項を結ぶと、「半年間にわたって上限なし」ということも可能になります。もちろん、実際に使っている企業は多くなく、何かあったときのための企業の“お守り”みたいなものですが、それでも青天井というのはさすがにひどすぎる。個人的には、こうした制度を見直すこと自体が一つのメッセージになりますから、検討していく必要があると考えています。

このように国を挙げて長時間労働を是正する。そして、それによって生産性を上げる。もちろん生産性が上がったからといって労働投入量が増えるとは限りませんから、その分を働きたい、活躍したい女性の方々に入っていただく。あるいは、「まだまだ自分は若いんだ」という高齢者の方々にも、週に2、3日と言わずに5日働いていただく。「その代わり残業はしません」ということになれば理想的ですよね。このように様々な方に社会にしっかり参加していただくのが健全なあり方なのではないかと考えています。

これは、これまでの日本型の「企業に人生を捧げます」といった働き方からの転換です。ヨーロッパは「ジョブ型」「職務型」、日本は「メンバーシップ型」「職能型」と言われています。つまり、「終身雇用・年功賃金」といったものが、これまでの日本の働き方だった。そうではなく、例えば勤務地を制限して転勤がない正社員。「ずっとこの仕事やりたいんだ」という希望に応える転属がない正社員。労働時間に制限のある正社員。こうした"限定された正社員"の形があっても良いと思います。

多様な正社員像を作っていく中で、不本意ながら非正規雇用だった方々が正規雇用になっていくことも重要です。また、あえて非正規雇用で働きたい方もおられますから、そういう方々には同一労働同一賃金を適用すべきです。もちろん、何が「同一労働」なのかを明確にする必要はありますが、日本は正規雇用と非正規雇用の賃金格差が大きいので、比較的格差の小さいヨーロッパの国々を参考にしながら、格差を縮めていくことが大事だと考えています。

このような取り組みを進めながら、働きたい方が人間らしい働き方を選択でき、ワークライフバランスを守り、本当にやりがいを持って生活できる環境をしっかり作っていきたいと考えています。よく「自民党は大企業の味方だ」などと言われることがありますが、決してそんなことはありません。我々は働く人の味方でもあります。大企業で働いていない国民の皆さんの方が圧倒的に多いのですから。

-確かに自民党には「企業の味方」「伝統的価値観重視」といった印象があると思いますが、時代の変化に合わせて制度も変革していくと。

田村:工業化社会化した高度経済成長の成功体験を元に「このままで、まだまだ行けるんじゃないか」という部分もあったかもしれませんが、この20年を見れば、「もうそれではうまく行かないよね」ということはわかっています。

例えば、若い方々に聞けば誰だって「結婚したい」と言います。漠然とでもそう思っている方々が結婚できる環境を作られなければいけない。子どもについても、理想では2.4人欲しいと多くの人が答えていますが、現状では平均1.96人ですから、結婚後、産み、育てづらい社会を改善していくことが重要だと思います。

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