記事

グーグルとオバマ政権、あうんの呼吸でキューバと接触

By BRODY MULLINS and CAROL E. LEE

 2年前、オバマ米大統領はキューバとの外交・経済関係を修復する取り組みを密かに行っていた。そのとき大統領は思いもよらなかった場所から助け舟を得た。

 インターネット検索大手のグーグルのエリック・シュミット会長をはじめとする同社幹部は、ホワイトハウスの後押しを受けて2014年6月にハバナを訪れ、インターネット接続の利点についてキューバ政府と話し合った。シュミット氏は帰国後、貿易禁止措置の解除を訴えた。

 ホワイトハウスは当時、キューバと行っていた秘密協議についてグーグル(現在は持ち株会社アルファベットの子会社)に伝えなかった。しかし、オバマ大統領が同年12月にキューバとの国交を回復すると発表するまでには、グーグルは既にキューバでの足掛かりを構築していた。人気の検索エンジンの無償版や、その他のネットサービスを展開していたのだ。

 歴史的なキューバ訪問の初日となった今月21日、オバマ大統領はグーグルが契約を結んだことを明らかにした。一時的にハバナに一部のネットサービスを実演するスペースを開設する契約だ。

米国とキューバのネット格差
米国とキューバのネット格差

 今週キューバを訪問したグーグル幹部のブレット・パルマター氏は、発表後のブログへの投稿で、「将来はキューバの人々により多くのサービスを提供する機会が持てるよう望んでいる」と述べた。

 オバマ大統領の在任期間中、グーグルの海外での利害は、同政権の利害としばしば合致している。グーグルのハバナ訪問は、キューバ政府に米国企業とインターネットの利点に慣れ親しんでもらうのに役立った。オバマ大統領の禁輸措置解除に向けた取り組みは、グーグルに対し、1000万人以上の潜在的顧客がいる新市場を開き始めた。

 グーグルのライバル会社を含む多くの米国企業は、キューバで新たなチャンスをつかもうと懸命に取り組んでいる。米国企業が国務省と協力して海外で大きなディールを取り付けたり、新市場を開放するための貿易協定の締結を商務省に働きかけたりすることは、珍しくない。グーグルは、禁輸措置の解除をオバマ政権に働きかけたことはないと述べている。

 グーグルが世界中で行う取り組みが異例なのは、国務省が困難に直面する国々に同社と同社幹部が関与するためだ。例えば北朝鮮、イラクやキューバなどだ。これは、グーグルが自社の目標と称するものに起因する。同社は世界中の人々、とりわけ抑圧的な体制下にある人々に新しいアイデアや情報を提供する方法として、インターネット利用を促進することを目指している。

 国務省の報道官は、「世界中で米国の経済利益を拡張するため」、同省が必要に応じて「多くの米国企業と関わっている」と述べ、同省とグーグルとの関係も例外でないと話した。

 米政府は、人々にインターネットアクセスを提供することが、世界中で民主主義を促進するのに役立つと考えている。そうはいってもグーグルの取り組みを常に歓迎したわけでもなかった。例えば国務省は、グーグル幹部による2013年の北朝鮮訪問は「あまり素晴らしいアイデアではない」と述べた。

 オバマ大統領は長い間、キューバとの緊張関係緩和に関心を示していた。同大統領はキューバ系米国人によるキューバ渡航と送金を容易にするなどといった小さなステップを踏みながら、その取り組みを進めていった。13年、政権当局者の小さなグループが関係正常化のための秘密交渉を始めた。

 政府内でも、この交渉について知る人はほとんどいなかった。交渉は、米国側では国家安全保障担当補佐官代理のベン・ローズ氏と、キューバ人代表たち(在米キューバ利益代表部)と協力して日常業務を担当していた国務省のキャリア官僚リカルド・スニガ(R氏が中心となって行った。

 一方、グーグルはというと、キューバへの関心事項について、ホワイトハウスと国務省の当局者と接触していた。14年半ばには、シュミット氏をはじめとする同社幹部がキューバ訪問を希望していると政権当局者に伝えた。ホワイトハウスはこの計画を支持した。その後、グーグル幹部は同社サービス無償版のキューバでの提供を検討していると伝えた。ホワイトハウスはそれも承認した。

 ある政府高官によれば、ホワイトハウスのこれら当局者は当時、関係正常化に向けた秘密交渉についてグーグルに教えなかった。しかし、「多くの他の人々、企業、観測筋と同様に、彼ら(グーグル幹部)もわれわれがそれを望んでいることを知っていた」(同政府高官)という。この高官によると、ホワイトハウスは「非常に複雑な交渉を水面下にとどめようとしていた。われわれはそれと同時に、(関係正常化した場合)チャンスをつかめるであろう連中(企業関係者)にキューバに行くことを奨励していた」という。

 ホワイトハウスの当局者は、キューバで通信網とインターネット利用を拡大する企業を支援しようとしていた。そこで国務省と在ハバナ米国利益代表部が音頭を取り、グーグルなどの企業との協議を行った。

 14年6月、シュミット氏などを含むグーグル関係者の一団がハバナに到着した。彼らは数日間の間に政府や大学関係者と面会した。

 シュミット氏は帰国後のブログへの投稿で、禁輸措置は「全く無意味だ」と述べ、米国政府にそれを停止するよう求めた。同氏はキューバを近代化させる最良の方法が「スマートフォンで市民の力を向上させる」ことと、「情報ツールを直接キューバ国民の手に届けること」だと記した。

 同年11月、グーグルは、グーグル・プレイとグーグル・アナリティクスの無料版をキューバで提供する認可を米政府から得たと発表した。

 そして同年12月17日、18カ月間に及ぶ水面下の交渉の後、オバマ大統領はキューバとの国交正常化交渉を開始すると発表した。

あわせて読みたい

「キューバ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ミヤネ屋インチキ医療特集に称賛

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    定年後は蕎麦打ち職人になるな

    内藤忍

  3. 3

    海老蔵と麻耶 歌舞伎界の非常識

    NEWSポストセブン

  4. 4

    高須氏「衆院解散は正しい戦略」

    NEWSポストセブン

  5. 5

    よしのり氏 山尾氏の謝罪に苦言

    小林よしのり

  6. 6

    豊田議員あと一歩で逃げ切り逃す

    文化通信特報版

  7. 7

    今度こそ北朝鮮の崩壊は秒読みか

    自由人

  8. 8

    豊田・山尾問題は孤独が原因か

    幻冬舎plus

  9. 9

    共産の要求激化で選挙協力崩壊か

    猪野 亨

  10. 10

    金正恩氏が米国への本音を吐露か

    高英起

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。