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民進党は、立憲民主党への進化をめざせ - 南部義典

憲法によって国家を縛り、その憲法に基づいて政治を行う。
民主主義国家の基盤ともいえるその原則が、近年、大きく揺らぎつつあります。
憲法違反の発言を繰り返す政治家、憲法を無視して暴走する国会…。
「日本の立憲政治は、崩壊の危機にある!」
そう警鐘を鳴らす南部義典さんが、現在進行形のさまざまな具体的事例を、
「憲法」の観点から検証していきます。



民主党「憲法提言」(2005年10月31日)
“憲法を国民の手に取り戻す”とうたって、10年が過ぎたが…。


 いよいよ27日、民主党と維新の党が合流し、民進党が誕生します。
 意固地になって、一致結束しているフリをする関係者の方々には申し訳ないのですが、私はこの間の流れを、とても冷めた眼で見ています。何の感情も湧きません。GW明けには早速、党運営をめぐって路線対立が表面化するでしょうし、最初の国政選挙が終わったあとには、最初の分裂劇が幕開けになることと思います。他力本願、相互不信という二重の仮面をかぶったままで、安定した歩み出しになるはずがありません。

 新党は、「立憲」をキーワードに、市民とつながるはずではなかったのでしょうか。党名は「立憲民主党」と「民進党」の二つに絞られ、“客観的な世論調査”の結果に従い、民進党に決定したようですが、そのプロセスの一切合切につき、外部からは何も知る由もありません。両党の合流が確定してからは、平成期の本格的な立憲新党の登場に、多くの市民が期待を寄せていました。しかし、党名が民進党と決定した瞬間、その期待は一気に、落胆と脱力に変わってしまったのです。

キーマンでない人たちは、どう考えているのか?

 新党名の決定から、10日が経ちました。この間、民主党と維新の党の、いわゆるキーマンと称される議員数名が、いくつかの報道番組で発言する姿を垣間見ました。他方で、キーマンとは扱われない議員は(と言っては失礼ですが)、新党名を含む、合流問題についてどのように考えているのか(心の底から納得しているのかどうか)、ホンネの発信がほとんどなかったことから、私はじつに怪訝(けげん)に思っていました。

 つい2カ月前には、「民主党のことは嫌いでも、民主主義を守りたい」というポスターの標語をめぐってあれだけ騒いでいたのに、新党名をめぐってはなぜ、これほど発言を自制し、沈黙を続けるのでしょうか。ポスターの標語と党名と、どちらが重要な問題なのでしょう。民進党という名称に、言葉にならないほど心酔しきっているのでしょうか。

 3月19日から21日にかけて、民主党の看板下では最後となる都道府県連大会、総支部単位の党員・サポーター集会が各地で開催されたようです。新党合流の高揚感も何もない、呆気ない幕引きだったようですが、主催側として参加する国会議員、自治体議員は最後の最後まで、何をそこまで耐え忍んでいるのか、私にはまったく理解できないのです。

 民主党幹部が、改革結集の会(衆議院議員5名)に対して、民進党に参加するよう要請したとの報道があります。きのうまでのところ、5名のうち3名が、民進党に参加する意向を固めたようです。しかし、唐突、性急に、単純な足し算に走る論理というのも、私にはわかりません。別の政党であっても、政治活動を共にしようと考えるのであれば、民進党との「統一会派」の結成を打診することが、話の正しい順番であると思います。同会は与党でも野党でもない、いわゆる「ゆ党」の一つであって、これまでの野党協議には何も絡んでいません。いきなりの変身劇は、有権者の眼にどう映るでしょうか。今回の参加要請は、同じ「ゆ党」であるおおさか維新の会に対する当てつけにはなっても、自民党、公明党に対して、選挙直前の“野合”だと批判してくれと、公然と誘っているに等しいと思います。

民進党は、「憲法」をどう考えるのか?

 先日、ある報道番組の中で、新党のキーマンと称される議員の一人が、「衆議院と参議院が対等に合併して、一院制の国会をつくる」と発言していました。合流前、今のうちに好き勝手な事を言い残しておこうという判断なのかもしれませんが、私はこの点でも、民進党の危うさを感じます。

 一院制国会は、法案・予算審議の合理化、経費の大幅削減といった、国会運営の合理性を追求する観点でのみ主張されがちです。一院制を採用する国も少なからずあります。しかし、ご承知のとおり、二院制は、先議の議院の暴走(⇔憲法破壊)を後議の議院がくい止め、是正する役割が期待されています。いつも見落とされてしまうのですが、二院制は、立憲主義ないし憲法保障が、国会制度に反映されたものなのです。参議院が衆議院のカーボンコピーと言われたのは、せいぜい平成初期までの話であって、参議院の機能、運用の工夫をどうするかということが現在の関心事です。一院制国会にすれば、単純計算で、立憲主義が半分以下に減衰してしまいます。民進党の綱領には「立憲主義を守る」の一言が挿入されましたが、立憲主義を正面から削ぎ落とす議論がいきなり持ち出されている状況をどう考えるべきでしょうか。

 冒頭、民主党「憲法提言」の表紙写真を載せました。
 思えば、代表だった鳩山由紀夫氏が、党内の議論を踏まえないまま、憲法改正論議を各党に呼びかけつつ、「新憲法試案」なる改憲構想を突発的にぶちまけたという一大事件があったため(2000年)、代表の言動に対し、党として歯止めをかける必要が急きょ生じたことが、民主党憲法調査会の発足の背景でした。民主党「憲法提言」も数日後には失効します。民進党でも早速、党内論議の幅を広げないよう、その限界を設けることを念頭に、新たな憲法提言づくりに着手すべきでしょう。今は、針の向きがどちらを指すかもわからない状態です。見ている方がヒヤヒヤします。

「立憲民主党」への進化をめざせ

 あえて、民進党への注文です。諦めることなく、「立憲民主党」への進化をめざせ、と。
 今でも多くの市民は、“客観的な世論調査”の結果とは真逆の受け止めをしています。心の底では、結果に納得していません。“立憲”をキーワードに、新党とつながりたいと切望しています。このつながりを維持することができるかが、政党としての余命を決すると思います。また、立憲民主党に進化させられるかどうかは、市民の意思と力の見せ所でもあります。

 民主党とは一体、何だったのか。来週以降、メディアを中心に様々な検証が始まることでしょう。民主党という組織体に対して、直接的、間接的に関わってきたすべての人々は、政権交代が実現するまでの間、いつまでもその検証を続行するべきです。関係者でなければできない議論があるわけですから。

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