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サイバー対策を強化するオバマの狙い - 岡崎研究所

岡崎研究所

米国のバラク・オバマ大統領がウォール・ストリート・ジャーナル紙に投稿し、米国のサイバーセキュリティの大幅強化のための「サイバーセキュリティ国家行動計画」を発表しました。要旨は以下の通りです。

オバマにとって最優先事項はサイバーインフラ保護

 米国の政府、民間に対するサイバー攻撃の脅威に対抗するため、これまでの予算の35%増の、190億ドル強の予算を提案する。すべての国民にオンラインの安全を提供するためである。

 具体的提案は以下のとおりである。

 1)連邦政府の老朽化したコンピューターシステムの近代化のため、30億ドルを支出する。

 2)シリコンバレーなどから最優秀人材を集め、政府全体のサイバー専門家集団を作る。

 3)2月8日発足させたサイバーセキュリティの「中核的研究拠点」で官民の専門家が最新のサイバー技術の研究開発を行う。

 4)国民がサイバーの脅威をより自覚するような運動を行う。

 5)超党派の「国家サイバーセキュリティ強化委員会」を設立し、今後10年間にわたり、官民によるサイバーセキュリティの自覚と強化を図る。

 インターネット時代が始まってから未だ30年足らずであり、米国民が重視するイノベーションと個人情報の保護が確保できれば、今後の可能性は無限である。

 大統領にとって米国のサイバーインフラを保護することは国家安全保障上の最優先事項である。すべての課題を1年で解決することはできないが、将来のための強い素地を作ろうとするものである。諸措置をとることにより、米国のイノベーションの可能性を最大限発揮し、長きにわたり米国の繁栄とサイバーの安全を確保できると確信する。

出 典:Barack Obama‘Protecting U.S. Innovation From Cyberthreats’(Wall Street Journal, February 9, 2016)
http://www.wsj.com/articles/protecting-u-s-innovation-from-cyberthreats-1455012003

*   *   *

オバマ大統領がここで述べているサイバーセキュリティ大幅強化策は、オバマ大統領が2月9日に議会に提出した2017年会計年度の予算教書で、目玉の一つとして提案されています。

 中国やロシアなどからとみられるサイバー攻撃は、米国にとって現実の脅威となっています。米企業に対する企業機密窃取のためのサイバー攻撃に加え、国防総省や人事管理局などがすでに大規模なサイバー攻撃を受けています。

 ホワイトハウスのサイバーセキュリティ調整官のMichael Danielは記者会見で、「サイバーセキュリティ国家行動計画」(以下「計画」)は、個々のサイバー攻撃ではなく、サイバーの脅威の基本的課題に対処しようとするものである、と述べたと報じられています。

 基本的課題の一つは人材です。サイバーセキュリティには高度の知識を持った専門家が必要ですが、現在連邦政府には専門家が不足していて、養成が急務と言われています。今回の「計画」で、政府全体のサイバー専門家集団を作る、とされているのは、そのニーズに応えるものでしょう。

サイバーセキュリティ強化は超党派の課題

 「計画」は、オバマ大統領らしく国民の目線でのサイバーセキュリティ強化が謳われている印象がありますが、サイバーインフラの保護が国家安全保障上の最優先事項であるという時、最も重要なのは、言うまでもなく軍事関連です。その意味で国防総省のサイバー司令部や国家安全保障局、CIAといった機関のサイバーセキュリティの強化は、喫緊の課題であります。ただし、これらは当然のことながら、あまり公には論じられるものではありません。

 予算教書を踏まえての来年度予算案の議会審議は、共和党の姿勢に加えて、大統領選挙を控えていることもあり、容易には進まないでしょうが、サイバーセキュリティの大幅強化は超党派の課題です。関連予算については、共和党はさして抵抗しないのではないかと思われます。

 サイバーセキュリティは、日本にとっても重要な課題です。日本も、この際思い切って予算を増やすなど、一層本格的に取り組むべきでしょう。

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