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「レジどこですか」は遠からず死語に-携帯端末での支払い増加

「すみません、レジはどこですか」

 これは最近、簡単な質問ではなくなっている。レジを目に付かない場所に移動したり、完全になくしている高級ブティックや百貨店が増えているからだ。

 その代わり、店員が携帯型の決済端末を持って売り場を歩くか、人目に付かない店舗の隅で支払いを処理するかしている。各小売店は支払い経験を一層洗練させようと努めている。そして、一部の買い物客が購入を最終的に思いとどまるような「痛み」を取り除こうと取り組んでいる。つまり、長い列に並んで待たなければならないことだ。また、レジを隠すことで、買い物客は店員とやり取りせざるを得なくなり、購入が増えることにつながる可能性もある。

バーニーズニューヨークのマンハッタン・チェルシー地区の新旗艦店ではレジの大半は目立たない場所にある
バーニーズニューヨークのマンハッタン・チェルシー地区の新旗艦店ではレジの大半は目立たない場所にある
Photo: Scott Frances/Barneys New York


 バーニーズニューヨークの広報担当者アシュレー・キャランドラ氏によると、マンハッタンのチェルシー地区に開設した新旗艦店では、支払いをする場所は「客がほとんど気づかないような店舗の奥のほうの少数のエリア」にほぼ隠れている。同氏は「レジを減らすというアイデアはわれわれの美的感覚とも大いに一致する」と話す。

 レジの代わりに、店員が「iPad(アイパッド)」などの携帯端末を持ち運ぶ。こうした端末で顧客はクレジット(あるいはデビット)カードかモバイル決済サービス「アップルペイ」を使って支払いができる。そして店員は商品をすばやく目立たないエリアに移し、包装する。それを待つ間、顧客は店舗に置かれた豪華なソファーや椅子にゆったりと腰を下ろすか、店舗を見て回ることができる。

 ニューヨーク市在住の教師、ジャッキー・キムさんはある週末、バーニーズで化粧パレットを購入した際、列に並ばなくて済むことが気に入った。購入した商品の支払いが済むまで店内を見て回り、「買い物経験は一層心地いいものになった」と語った。他に最近買い物をした中では、セリーヌやプラダ、トリーバーチといったブランド店も、客が列に並ばなくて済むように「支払いプロセスを一段とスムーズにしていた」という。

レベッカミンコフの店舗にはレジは置かれていない。アイパッドを持った店員が支払いを処理する
レベッカミンコフの店舗にはレジは置かれていない。アイパッドを持った店員が支払いを処理する
Photo: REBECCA MINKOFF


 レベッカミンコフの店舗では、買い物客は店員の携帯式決済端末で支払いをするか、試着室で決済大手ペイパルのシステムを使って支払いをすることもできる。ウリ・ミンコフ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は「支払いがプライベートに行われ、客は特別扱いされているような気分になる」とし、「当店では牛の群れのようなレジ待ち行列を経験させることはない」と話す。

 一部の買い物客にとっては、店舗でのこうした動きはほっとするものだ。並んで待たなければならないと考えるだけで及び腰になる買い物客もいる。欧州とアジア、中東にキャンパスを持つビジネススクール、INSEAD(インシアード)のジブ・カーモン教授(マーケティング)は、研究者たちはこの概念を「支払いの苦痛」として認識していると説明。「列やレジまでもなくすことで、迫り来る支払いの苦痛が幾分和らぐ」と続けた。

バーバリーの米国店舗では客は店内のどこでも、アイパッドを持った店員に対して支払いが可能
バーバリーの米国店舗では客は店内のどこでも、アイパッドを持った店員に対して支払いが可能
Photo: BURBERRY


 各店舗では、ネットショッピングの気軽さを経験した顧客の期待度が上がり、列で待つことが時代遅れに見えているとの声も聞かれる。英高級品ブランド、バーバリーの米店舗では、客は店内のどこでも、アイパッドを持った店員に対して支払いできるようにしている。

 バーバリーの広報担当者は、「顧客はネットと実店舗の間を行き来することが多い。われわれはこの2つのリンクができるだけ中断されず、贅沢な経験になるよう努めている」と話した。バーバリーでは最近、米店舗および英国の一部店舗でアップルペイを本格的に導入し始めた。品物は店舗の片隅で目立たないように包装され、顧客に渡される場合もある。

 最先端のデザインを誇る店舗にとって、レジカウンターを無くすのは美的感覚の問題でもある。レジカウンターは場所をとるし、特に支払いを待つ客の列が店舗スペースの邪魔になる。ビクトリア・ベッカム氏が手掛けるロンドンの店舗は全ての決済がアイパッド上で行われる。同氏は2年ほど前にレジを「醜い」と呼び、話題になった。レジを取り除くことで、より多くの商品を展示できるスペースも生まれる。

 しかし、レジを目立たなくし、買い物中にずっと店員と向き合うよう促されることで、いごこちが悪いと感じる客もいるだろう。慣れないやり方が最初は奇妙に感じられるかもしれない。

 店舗側は、客が支払いしようとする時を感じ取るよう店員に期待している。ただ、バーニーズのキャランドラ氏はマンハッタン・チェルシー地区の新店舗にも引き続き少数ながら目に付くレジがあると話す。従来のやり方のほうが心地良いと感じる顧客のためだ。

 米建築家協会(AIA)の小売・娯楽知識に関する委員会の委員長を務める建築家のロネット・ライリー氏は、レジがなくなると「同じ店員による一貫した顧客サービスが受けられる。そのほうが顧客サービスの基本により近い」と話す。

By RAY A. SMITH

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