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米大手企業のCEO、社内昇格組が増加

米国の最大手企業の最高経営責任者(CEO)に社内昇格組が占める割合が、過去最高水準に達している。

 エグゼクティブ人材紹介会社スペンサー・スチュアートのリポートによると、S&P500種構成企業のうち、昨年に新たなCEOを選任した会社の約8割は社内からの昇格だった。同リポートからは、昨今のCEOには何が必要とされているかについても見て取れる。同社は2004年に大企業のトップ人事について調査を開始したが、昨年は社内の人材がCEOに就任する割合が最高水準に達し、12年以降では20ポイントの上昇となった。

 スペンサー・スチュアートの北米CEO担当責任者、ジェームズ・シトリン氏は、この変化は「取締役会によるCEO後継者育成が格段に上手になった」事実を反映していると指摘する。

 ホームセンター大手ホーム・デポの社外取締役グレッグ・ブレネマン氏は、「社内で候補者を育成し選任するほうがより良い結果につながっているようだ」と話す。同社はベテランン幹部のクレイグ・メニア氏を14年にCEOに指名した。前任のCEOも社内出身者だった。

 しかし、上場企業のトップに就くには現在、社内外を問わず候補者には一層多彩な経験が求められている。

 12年に家電量販店大手ベスト・バイのCEOに起用されたヒューバート・ジョリー氏は「唯一にして最善の道筋があるわけではない」と警告する。当時の同社は経営難に陥っていたが、「これまでの全人生をかけて、この職のために準備してきたかのように感じる」と話すジョリー氏の下、見事な業績回復を果たした。同氏はベスト・バイ入りする前、ホテルやレストランチェーンを傘下に持つ米カールソンでCEOを務めていた。

 大規模な事業を運営し、従業員にやる気を起こさせるだけではもはや十分ではない。取締役会は現在、広範な経験を有するリーダーを求めている。それには、海外での勤務経験や部門を超えた役割、株式公開企業の取締役経験などが含まれる。こうした傾向は、12年~15年9月30日にCEOが交代したS&P500種構成企業183社についてスペンサー・スチュアートが行った分析で明らかになっている。

 また、ウォール・ストリート・ジャーナルの依頼による調査では、CEOの特定の経験と投資家の利益に関連があることも明らかになった。

 海外事業についての知識が豊富なリーダーには特にそのことが当てはまる。CEOのうち4分の3近くが海外で働いた経験があるか、海外業務を監督した経験があったが、スペンサー・スチュアートの調査によると、こうしたCEOの在職中の株主利益は平均的に、海外経験のないCEOよりはるかに高かった。

 フォード・モーターのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は米国以外の3カ国で9年間にわたり経験を積んだが、そのことが14年のCEO就任への重要な足掛かりとなったことが分かっている。同氏は、国際的な仕事によって「急速に変化する事業環境を経験する」と説明する。同氏は1989年フォードに入社した後、海外勤務を自ら希望した。

社内出身のCEO就任が増加している
社内出身のCEO就任が増加している

 CEOポストへのもう一つの一般的なルートとしては、専門的な特殊分野にとどまらず、複数の「困難な課題」を順にこなすことも含まれる。ピツニーボウズのマーク・B・ローテンバックCEOは、IBMに勤務していた数十年間にまさにそれを実践した。

 ローテンバック氏は、「強みを積み上げ、社内で異なる管理職ポストを求めて同じような一つの領域を出る」よう助言する。同氏は2000年、IBMで経験した2つの海外職のうち最初のポストを受け入れた。中小企業向けサービス部門の責任者だ。

 同氏は既に中小企業については理解しており、これはIBM内では貴重な資質だったが、「サービスについてはあまり知らなかった」と認める。

 ローテンバック氏は1985年にマーケティング担当者としてIBMに入社。最終的には、同社の北米顧客向けグローバル事業サービスを担当する業務執行社員に昇進した。12年に退社し、ピツニーボウズ初の社外出身CEOに就任した。

 社内外の出身を問わず、社外取締役経験がある人が上場企業のCEOに初めて就任した場合、その会社の投資家リターンが高いこともスペンサー・スチュアートの分析で明らかになった。ディスカウントストア大手ターゲットのブライアン・コーネルCEOは14年に同社初の社外出身CEOに就任する前、約10年間にわたって企業の取締役を務めていた。

 コーネル氏はホーム・デポなどの取締役を務めた際に、取締役会と信頼関係を築くCEOから多くのことを学んだと話す。「(CEO就任から)最初の数カ月間に取締役会とすばやく関係を築くことが重要なのは分かっていた」と振り返る。

By JOANN S. LUBLIN

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