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福島原発告訴団の会見(全文2/完・質疑応答)安全アピールは東京五輪のため

 今年で5年目を迎える福島第一原発事故に絡み、訴訟を起こした被災者団体の団長らが、1日午前11時から東京の外国特派員協会で記者会見した。

 出席したのは、飯館村民救済弁護団の長谷川健一団長、福島原発告訴団の武藤類子団長、ピースボートの川崎哲(あきら)共同代表の3人。

賠償の条件について



通訳:ではマイクを通して訳させていただきます。

記者1:フランスのジャーナリストなんですけれども、原発事故によって被災された人たちの中で、いまでも賠償を受けていない人たちはどれぐらいいらっしゃるでしょうか。その賠償の条件について教えてください。

長谷川:正直言って正確な数字は分かりません。ただ、手が震えて書けない人とか、字がなかなか高齢で読めなくなっている人とか、そういう人たちに対してのケアをきちっとしなさいよということは、われわれは行政にはたくさん言っているんですけれども、まったく行政がそれに対応をしないというのが現実です。

記者1:2つ目の質問なんですけれども、飯舘村のほうの帰村、帰還の政策が来年の3月に帰村ということになっていると思うんですけれども、解除されたあとに強制的に帰村されるでしょうか。それとも飯舘のほうに戻らずに外に住むことを決めた人たちに対して、国からの無償の住宅などの支援が、もうそれで打ち切りになるっていうことで理解は正しいでしょうか。

長谷川:われわれは、先ほどから申し上げてるように来年の3月までには閣議決定ながら避難を解除ということはされています。ですが、いまの住宅、たったら、来年3月、避難解除だからそこで終わりだよということじゃなくて、その部分については約1年間ぐらいの、まだ決定ではありませんけども、1年間くらいの猶予期間は出るようになるだろうと、そういう考えはしております。

記者1:その賠償の条件についてもう1つ質問させていただきたいんですけれども、その中で1人当たりが約、月10万ぐらいというふうに聞いたことあるんですけれども、その金額は正しいでしょうか。そしてその賠償がどういうふうに決められるのかについて、例えば1人当たりという金額はあるというふうに聞いてるんですけれども、例えばビジネス、何かお店ですとか、そういうようなことをやっていた人に対して追加のものがあるかどうか。そして、やはり精神的なストレスなどに伴う被害に関しても賠償がいま、国として決められてるのか。その賠償の条件について、ぜひ教えてください。

長谷川:われわれは月10万円というまず賠償、これは受けています。ただ、これについては、あくまでの東京電力のほうでは精神的な賠償とは申し上げているんですけども、それはあくまでも生活費を含むという内容になってます。まず1点は。

 そして、あとの賠償について、例えばお店とか、私は酪農家です。その部分についての賠償も、これも受けています。ただしそれは経営をしている中でもうけの分、プラスの分に対する賠償だけです。例えば赤字、マイナスになっているお店とか、そういう部分については賠償はされません。あくまでももうけの部分だけを補いますよという賠償になってます。

武藤:私は原発から45キロのところに住んでいましたが、避難区域ではないので精神的な賠償はありません。この5年間で1回だけ12万円の賠償金を1回もらいました。そして私はカフェを経営していましたけれども、もうけていないお店だったので賠償はありません。

行政のデータ隠ぺいが避難遅れの原因

ドイツテレビ:ドイツテレビの西里です。今回、最近、つい今月ですけれども、福島に取材に行ってまいりました。それで、50キロ圏の汚染が非常にひどい汚染があるということを確認しました。武藤さんは45キロとおっしゃってたんですけど、50、60キロの人たちはなんの補償もないまま、多くはそのまま暮らしている。子どもたちもそこにずっと暮らしているという現状にがくぜんとしました。

 それで、20キロ、30キロの人たちとの連携っていうんですか、今度の被団協の中にはいろいろな距離の人が一緒になっているんでしょうか。非常にそこのところは結構連携が難しいという事態も起こっているように思うんですけれども、その辺のところをお聞きしたいのと、それから同心円のこの線っていうの、飯舘だけがちょっと例外になりましたけれど、その辺2つのことをお聞きしたいんです。

武藤:この5年間の間に福島県民は非常に分断をされてきました。それは避難区域の問題や賠償金の違いによって、それぞれが不信感に陥るという、そして対立するという現象も起きてきていました。しかし、それぞれの被害というものをお互いが知らないということが問題だと思ったんですね。それで、お互いに、今回、ひだんれんを結成したのは、本当に立場の違う人たち、状況の違う人たちが一緒になる、そしてその被害がそれぞれ違うんだということをお互いに理解するためという理由もありました。分断を越えて、みんなつながることによって大きな力になっていきたいと思っています。あと、同心円の。

長谷川:じゃあ私のほうからは同心円について、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。私は非常にナンセンスなやり方だと思ってます。国では当初から同心円というものを出してはきました。しかし、実際的にはSPEEDIというものがありますよね、スーパーコンピュータ。あれのデータでは、すでにもう北西部に流れているということは分かっていたんですね。にもかかわらず、そのデータを国では隠してしまったということなんです。それによって、私の住む飯舘村は30キロ外という表現によって、取り残されていったわけですね。

 しかしながら汚染が非常にひどいということが隠し切れなくなり、そして1カ月後にようやく計画的避難というものが設定されたんだと思います。その結果、やはり今回の福島第一原発の事故によって、福島県内でこの飯舘村の人たちが最も被曝をしてしまったわけです。それは国からの避難指示の遅れ、そして行政のふるさとを捨てたくないという強い思いから避難がどんどん遅れていった、その結果、最大の被曝をしていったということが言えます。

なぜ行政がうそをついていると思うのか?

BBC Brasil:BBC Brasilの者です。長谷川さんに対して質問したいんですけれども、先ほどお話にあった土壌の汚染のその分析というのは、どういったところでその分析が行われた、ということについてまずお聞きしたいです。そして政府がうそをついているというような話があったんですけれども、その根拠、そしてなぜそういったような状況になっているのかについて、ぜひご意見聞かせてください。

 私のこの土壌分析については、日本大学の糸長教授、糸長浩司研究室のほうに依頼をして行いました。それで、その内容については土壌分析ならず、大きなスギの木の汚染度、そういうものも行っております。そしてあとは、土壌分析については、コア抜きで、30センチまでのコア抜きでも行っておりました。あとなんでしたっけ。

男性:なぜ政府が。

通訳:政府のうそについて。

男性:そのデータについてうそをついているというふうに言えるか、なぜそういうふうになってしまったか。

長谷川:国の対応なんですけども、これについてはやはり、今度の東京で行われる予定のオリンピックに向けての発信だと思います。われわれは、この福島第一原発の事故の当事者、われわれが、このオリンピックについては邪魔なわけですよ。だから国としては早く幕を引きたい、早く終わったよ、もう日本の国は大丈夫なんだよ、安全だよということをアピールをしたいと。そういう意図が非常に多く働いているんではないのかなと。そういう思いが強く感じます。

除染の状況がいまどのくらい進んでいるのか?

記者2:フランスのソトクワイナと申します。今日はありがとうございました。

 除染についてお伺いしたいんですけれども、私自身も10日前ほど福島第一のほうも取材に行ったわけなんですけれども、そのときやはり原発の中ではまだ5~7シーベルトぐらいの線量のあるところが、いまでも残っているという状況がありました。いま、実際そのそこに行く道でも、やはり何千もの黒い袋がまだたまっている状況も目撃したんですけれども、その袋が3~5年ぐらい保証されているというふうに私たちは聞かされたんですけれども、やはり時間がたってその袋が古くなってたりですとか、状況が悪くなっているというようなこともあると思います。

 そのいま、除染の状況をどういうふうにいま、進んでいるというふうに評価されているでしょうか。そして袋の状況、そして今、特に懸念することがあればぜひ教えてください。

長谷川:除染についての質問を受けました。それで、私の村、飯舘村もいまの除染の進捗率は、除染を3年後に終えまして、それで進捗率が約50%、約半分までしか進んでいないわけです。そして国では、今年の12月までに飯舘村の除染を終えますよと言っているわけですね。私としてはそんなことはあり得ないと思ってます。申し訳ない。今、私は飯舘村という表現をしましたけども、今年の12月までに除染を終えるというのは、今の避難指示区域、帰還困難区域を除いた避難指示区域、全てでございます。

 そしてフレコンについては、2年~3年くらいが限度だろうという話がたくさん聞こえます。そういう中で今現在は大きなシート、今、私のところでもフレコンがだいたい5段くらいに積み重ねられております。そしてそれは、積み重ね終わったところから大きなシートに覆われています。

 そのために、いま現在は中の状況が見えないようになっています。しかし、2年くらい前にテレビ局なんかで報道された、私も見ましたけども、まだそういう覆いがされていないところでは草木がはみ出して、そして出ているところもたくさんありました。

 そして、大きな覆いシートにかぶされたその形を見ますと、当初積み上げられた当時はきれいな形になっています。ところが今は、もうでこぼこになっていると、そういう状況です。ということは、中がもうどういう状況になっているのか、ちょっと分からないんですけども、ただ中はもうつぶされて、そういう状況にはなっているということが思われます。

低線量放射線は避難をするほどリスクはなかったのでは?

夕刊フジ:My name is Hiroyuki Fujita, Independent, write for『夕刊フジ』。私、これは悲劇だと思うのです。なぜ悲劇かと言いますと、そもそも私はイバキュエーション、避難、強制避難、必要なかったと思ってるんです。なぜか。今、1ミリシーベルトっていう話が出ましたけど、私、Scientists for Accurate Radiation Information. SARIという科学者の国際組織のメンバーのアソシエイトメンバーですけども、その方々もそうなんですが、例えば国立がんセンターで、100ミリシーベルト、年。というのは、野菜を取らなかったとき、もしかしたらがんになるかもしれない。1000ミリシーベルトっていうのは、ビールを2本ぐらい毎日飲んだらがんになるかもしれない。2000ミリシーベルトっていったらたばこ吸ったらがんになるかもしれない。そういう基準なんですね。あまりにも基準が低すぎた。

 低線量放射線はその避難をするほどリスクはなかったんじゃないかと。そもそも避難は必要じゃなかった、除染も必要ない、汚染水って言いますけど、あの水を福島にためる必要もないという、海に流したらいいというそういう意見もあるんですよ。それ、どう思われますか。私、悲劇だと思いますよ、本当に。

長谷川:これについては、いろいろな考え方の人たちがいると思うんです。これで、10マイクロでも危ないよという人もいる。1ミリでも大丈夫だよという人もいる。いろいろな考え方の相違によってだと思いますけども、われわれやっぱり、低線量の被曝についてもよく解明されていないというのがこれ、現実だと思うんですね。そういうことをやっぱり踏まえた場合は、万一のこと、万が一のことを考えた場合の対応というものは、やっぱり必要ではないのかなと、そういうふうに思ってます。まだよく分からないというのが、われわれの現実じゃないのかなと、そういうような考えを私はしています。

武藤:子どもたちの甲状腺がんの検査の結果、いままでに166人の子どもたちががんと、がんの疑いになっています。そのことが原発の事故が原因かどうかはまだ分かりませんけれども、私たちはやはり子どもや未来の世代を守る義務があると思うんですね。だから予防原則に立って私たちは避難すべきであったと思っています。(完)

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