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年金・貯金ゼロ 下流老人、数千万人が日本を席巻する日 

座り込み初日は、凍てつく雨と北風が控訴人やユニオンメンバーの体温を奪った。それでも抗議を続けた。=15日、霞ヶ関 撮影:筆者=

座り込み初日は、凍てつく雨と北風が控訴人やユニオンメンバーの体温を奪った。それでも抗議を続けた。=15日、霞ヶ関 撮影:筆者=

 

 「定年はありません、体の続く限り働いて下さい」。採用時にこう言われて、「いい所に入ったな」と思いながら働いていたら、突如として「65歳定年制」が導入されて、有無を言わさず解雇される。

 退職金ゼロで月収は10数万円。退職金もないため貯金はない。仕事を奪われた元非正規社員たちは、どうして暮して行けばよいのか ―

 私たちの生活に身近な郵便局で実際に起きている話だ。日本郵政は2011年、就業規則を変更し、65歳を超えた非正規社員を一斉に解雇した。その数1万3千人。

 うち9人が「解雇の無効」などを求めて東京地裁に提訴したが、原告の訴えは棄却された。原告全員が控訴して、現在も裁判闘争を続けている。

 控訴人やユニオンのメンバーたちが、15日から霞が関の日本郵政本社前で座り込みを始めた。65歳定年制の撤廃を求めて、だ。

控訴人の女性(70歳)は栃木県内の郵便局に勤務していた。「人間として扱われたい」と話す。=15日、日本郵政本社前 撮影:筆者=

控訴人の女性(70歳)は栃木県内の郵便局に勤務していた。「人間として扱われたい」と話す。=15日、日本郵政本社前 撮影:筆者=

 座り込みに参加した元非正規社員は、日本郵政に入社する前に勤めていた会社で正社員だったため、年金もあって、なんとか暮らしてゆける。

 だが日本郵政入社前も非正規労働者だった人たちは、年金もない、貯金もない。もちろん退職金もない。警備員やドライバーなどをしながら食いつないでいる。彼らの姿は座り込みの現場にはなかった。仕事をしなければならないからだ。
  
 今や労働者の4割(1962万人・平成26年度、厚労省調べ)が非正規労働者。労働法制の緩和で派遣が常用代替となったため、安価な派遣社員(非正規労働者)は今後、急速に増えるものと見られている。

 「1億総非正規労働者」となる社会が訪れても、何らおかしくない労働法制だ。将来、数千万人にも上る下流老人が日本を席巻するのだろうか。

  ~終わり~

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