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マイナス金利

 1月29日、日本銀行がマイナス金利を導入しました。中国経済の減速感、原油安による資源国の先行きに対する不透明感、米国経済の後退リスクなどにより、年初から国際金融市場は不安定な動きが続いていました。アベノミクスが掲げる設備投資の増大も賃上げも難しくなりつつある中、デフレ脱却を確実にすべく金融緩和政策をさらに強化したのでしょう。

  マイナス金利は欧州で採用され始めていますが、その効果や副作用についての評価はまだ定まっていません。治験も終わっていない劇薬に手を出すほど、日銀は手詰まり感に陥っているのでしょうか。

  黒田総裁の下、異次元の金融緩和が始まったのは、2013年4月でした。あれから3年近く経ちます。2%物価上昇を2年で実現すると高らかに宣言しましたが、いまだに実現できていません。そして、達成時期の先送りが繰り返されています。

  日銀が長期国債を80兆円も購入し、市中にジャブジャブとマネーを供給しようとしても、その9割が当座預金として日銀に戻っています。民間の資金需要が乏しく、銀行が貸し出し先を見つけられないからでしょう。円安株高を誘導する心理的効果はありましたが、実体経済における政策効果はなかったと総括すべきです。

  異次元緩和の限界を内心は感じている日銀は、なり振り構わずマイナス金利という新たな冒険主義的政策に踏み込みました。しかし、2%というインフレ目標は何が何でも達成しなければならないのでしょうか。私は、疑問に思います。そもそも景気回復とデフレ脱却を金融政策のみに依存してきた安倍政権が、過度に日銀を追い詰めてしまったような気がしてなりません。

  そして、私が最も憂慮していることは、日銀の中央銀行としての信頼です。信頼が大きく揺らいでは、市場との対話が成り立ちません。「2年で2%の物価上昇を実現できなかったら、責任を取って辞める。言い訳はしない」と、大言壮語した日銀副総裁などは即刻辞めるべきです。彼のような人物が居残れば、亡国の破れかぶれ路線が続き、冷静な軌道修正などできないでしょう。

  黒田総裁もマイナス金利の導入可能性を、つい先日まで否定していたはずです。マーケットや国民の理解を得ておこうという準備を怠ったといわざるを得ません。為替や株価への短期的なサプライズ効果を狙ったのかもしれません。しかし、その思惑は外れ、為替、株式、債券のいずれの市場も大荒れです。

  金融機関をはじめ民間企業、そして国民が混乱しているだけではなく、金融庁、財務省理財局なども右往左往しています。おそらく、関係当局との腹合わせもなかったのでしょう。中央銀行の独立性は担保されなければなりませんが、独断専行の勝手主義とはき違えてはなりません。

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