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ネットニュース編集者の仕事はどこまでか?

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最近、お世話になっている編集部の方と語り合ったこと。ネットニュース編集者の役割について。主に書き手と編集者の関わりについて。

ネットの時代は編集者が大事と言うけれど、どこまで記事に関わるのかというのはサイト、人によって全然違う。

この1年と2ヶ月、「東洋経済オンライン」の連載で学んだことを共有しよう。釈迦に説法なことが多いかもしれないので、別にいいやと思う人、私が嫌いな人はここで読むのを辞めてほしい。

数々のネットニュースで仕事をしてきたが、私にとっては「東洋経済オンライン」の仕事が一番、楽しいし勉強になる。担当編集者のアドバイスはぶれないし、プロとして参考になるし、人間として信頼できる。彼がいるから、自分の記事も読まれるのだと思う。まあ、「東洋経済オンライン」という場自体が力があるというのもあるのだけど。こういう、書き手が「書きたくなる」サイトっていいなって思う。ここで書いていることは誇りだし。

彼はテーマに関する嗅覚がすごい。「東洋経済オンライン」の連載で書く内容は、私が書きたいものを担当編集者に提案する他、編集者からも依頼がある。世の中の変化を見極めつつ、このテーマが当たるという編集者の嗅覚のもと、書くテーマが決まる。たいてい、私がミーハーな気持ちで書きたいと思ったものはダメだ。もっとも、こういう書き手の「書きたい」「伝えたい」という想い、衝動は大事なので、どうしても書きたい場合は、切り口を考える。

別に最新のテーマに飛びつけばいいというわけではない。このサイトの特性でもあるのだが、単に速報性が高いだけの記事というのは、瞬間的にPV数を稼ぐことができるのだが、すぐにPVは伸びなくなってしまう。これに対して、逆に速報性はなくても解説を加えた深い記事は何度でも読まれる。

彼はこれを、ネットニュースの「イカ理論」と呼んでいる。いかそうめんは、新鮮で味も爽快だがあっという間に賞味期限がやってくる。スルメは新鮮さはないけれど、日持ちするし、噛めば噛むほど味がでる。どちらのタイプのニュースを目指すかということを考えるのである。私はスルメ型が多いかな。

タイトルについては記事公開前は夜の0時から1時まで、Facebookのメッセンジャー機能を使ってチャットをする。タイトルとサブタイトルのワーディングについて詰めるのである。編集者には長年の経験から、ヒットするワードのノウハウが蓄積されている。例えば、「売れまくり」と「売れまくる」では、後者の方が圧倒的にPV数を稼ぐことができるという。「売れまくり」はやや軽薄で、サイトの特性には合わないことと、「売れまくる」の方が力強いといえるからである。

その後、記事が公開されたら、早朝に自動投稿ではなく、個別にSNSに発信をし、感想なども拡散する。もちろん、どこまでPVが伸びたかを確認し、反省する。私はこの連載では1記事最低10万PVをとることを自分に課している。そうじゃないと、私に仕事を出した意味がないと思うので。

なお、対談ものは別にライターを立て、書き起こしてもらった内容を私が再構成をしている。この記事などは1年かけた。

博報堂を辞め、プロレスに挑む男が見た現実 「好きなことで、生きていく」のは甘くない
http://toyokeizai.net/articles/-/98711

というわけで、これが東洋経済オンラインで連載を始め1年2ヶ月で私が学んだというか、体験したこと。いや、当たり前のようなことの積み重ねだけど。本当は藤代さんがやっている「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」に応募したかったのだけど、この日に新潟出張があり。断念せざるを得ず。当日、ブースで話したかった内容をおすそわけ。

他の編集部は基本、放置だ。まあ、この手の話をすると、「勝手に書かせろ」と言い出す人がいるわけなんだけど、そういう人も、少しだけプロの意見に耳を傾けると変わると思うのだ。

現在PVをとっている人、大御所、古参の人も、編集者が関わればもっとPVが伸びるのではとないかと思ったりする。それこそ、炎上商法みたいなものもあるわけだけど、変な話だが、編集者が関わるともっと燃えるような。この人が関わることによって新しい世界に連れていってもらえるというのは、編集者と組むメリットである。いや、この点は編集者か著者のどちらかか両方がガンバレという話なのだが、あまりに片方に依存しているのはバランスが悪いというわけだ。

あと、著者の開拓と言うけど、「開拓」という言葉自体に丸投げ感を感じる。開拓もいいけど「育成」も大事だと思うのだ。まあ、大学の先生にもNPOやベンチャー起業家にも面白い人はいくらでもいるのだけど「書ける」わけではないので。そして、その著者が少しでも長生きするように、一緒に栄えるように、付き合わなくてはならない。



それこそ、連載はいきなりは面白くならないし、人気も出ない。佐渡島さんのこの本を読んで、それこそ『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』も面白くなるまで、人気が出るまで時間が必要だったということがわかる。

というわけで、編集者の時代と言われるけど、いま必要なネット編集者っぽい仕事をしている人ってあまりいないんじゃないかと思った41歳の昼。

もともとFacebookに備忘録的に書いた内容なのだが、ついカーっとなってブログにも載せた。ここまで読んでくれてありがとう。学ぶこと、少なかっただろう。でも、これを毎回やり切るのが、大事なんだぜ。

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