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鳴動する為替相場

先日の「協調介入」という言葉にはインパクトがあった。

昨年、「単独」か「協調」かで雲泥の差がある、といった予備知識が世間に植え付けられたせいもあって、効果は覿面(即効性)だった。 がしかしその後失速、結局のところ円買い圧力にのまれる形となり、NYでは80円台半ばまで落ち込んだ。

今回は状況が状況だけに、G7各国も日本の「懇願」を飲まざるを得ない形となった模様。緊急事態に付け込んだ野田財務相はよくやったと言えるが、ただ各国に温度差があるとの声もさっそく聞こえてきた。その中でも特にアメリカ政府は、大幅な円高是正を認めない方針なのではないだろうか。

アメリカは先月、ドル安効果のお陰で輸出額は過去最高を記録。 雇用情勢は依然として先の見えない状態だが、「数値的」には回復傾向となってきた。 そのシナリオを頓挫させるような大幅な円高是正に、FRBが、というか米財務省が積極的に協力するとは思えない。 冷静に考えると、95年4-9月 に見せた日米協調介入と今回とでは、利害関係が明らかに異なっているからだ。

なので、昨晩はECBやカナダ中銀も参加した協調介入ですが、今後は連続介入があったとしても日銀単独での介入となるかも知れない。ドル円市場が50兆円前後(BIS)の規模だと考えると、昨晩の各国中銀の介入規模では円高トレンドを転換させるのは難しいようにも思えてきた。 なので実質的には、日銀の単独介入を容認する、といった形なのではないだろうか? 他中銀の連続介入があったとしても、小規模なものになるように思える。 当面の防衛ラインは、みなさんお感じの通り80円、といったところだろうか。

で、介入と同様、日銀の金融緩和が円安に働く、といった意見も見掛ける。 「不胎化」か「非不胎化」か、みたいな議論が「協調」という言葉に続いて為替市場で話題になりそうだ。

そんな日銀の連続緩和によって、先日18日には、銀行の準備預金残高が32兆7000億になっている。週明けには40兆を超え、過去最大規模となる見通しだ。

ただ、昨年もしつこく言ったように、日銀がマネーを吸収(不胎化)しようがしまいが、結局のところ資金運用するのは銀行なので、日銀の金融緩和が円安効果をもたらすかどうか、最終的には民間銀行に掛かっている事になる。 なので、(中銀による)不胎化か非不胎化か、みたいな議論がこの先出てきたとしても、為替市場には実質関係ない。

政府がこの先、建設国債あるいは震災復興債みたいなものを発行したのち、銀行がそれを購入したとすれば、その後政府が、公共投資を行った時点で初めてマネーサプライが増加する事になるので、その時に緩和効果というか実際の通貨価値の希薄化が発生する事になる。 ただ、為替市場がそれに呼応するかといえば、どうだか分からない。(しないと思われる)

ちなみに今回の事故を受けて、日本の輸出品に対する検疫強化の動きが各国で長期化するような事にでもなれば、貿易収支も赤字が続くかも知れない。そうなった場合の円安転換シナリオは、ネガティブなものだと言える。

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