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ネット大国米国でも3千4百万人にBB回線が届いてない

インターネット発祥の国、米国では、1996年電気通信法で「全国民にブロードバンド(BB)回線を提供する」と定め、その進捗状況をFCC(連邦通信委員会)が毎年レビューすることになっています。

その2016年報告の委員長草案がまとまり、28日の委員会で報告されるという内容が一部メディアで報じられています。その核心は「国民の10%にあたる3,400万人が固定回線でのBBへのアクセスをまだ得ていない。それを解決する」ということです。

OECDのサイトにはBroadband PortalというBB回線関係のデータが網羅されていますが、ここでのBBの定義は回線速度が256Kbps以上というものです。しかし、昨年、大幅に改定された米国の基準速度は「下り25Mbps、上り3Mbps」というハイレベルなものです。(それ以前は下り4Mbps、上り1Mbpsでした)

この高い基準と広い国土を考え合わせると、「まだ10%が」というより「もう90%が」という感じもしますが、その「まだ10%」を解消するために挙げられている背景説明や多様な施策が興味深いのでまとめておきます。

まず、都市部と地方のデジタルデバイド(urban-rural digital divide)がひどいことです。地方では39%の人が固定回線によるBB接続が出来ません。都市部でのそれは4%に止まります。

ネイティブアメリカンの住むTribal Lands(部族所有地)も同様にdivide状態で、41%の人がBB接続が出来ません。地方の部族所有地ではなんと68%にも達します。

学校の41%が、FCCの短期目標である「児童/生徒/教職員1,000人当たり100Mbps」に達しておらず、これらの学校で全国の児童/生徒の47%が教育を受けているとのこと。FCCの長期目標である「児童/生徒/教職員1,000人当たり1Gbps」を達成しているのは9%にすぎないそうです。

そして、世界的に見ても、米国は他の先進国に遅れをとっており、OECD加盟国34カ国中16位に過ぎない、とハッパをかけています。(この元データは先のOECD・Broadband Portalにあります)

また、事実関係として、25Mbps/3Mbpsの高速環境にアクセスできない国民が2014年は2012年に比べて半減していることを都市部、地方、部族所有地別にまとめてあります。(2015年の数字は未確定のようです)

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こうしたデバイド状況を改善するために、ユニバーサルサービス基金を衣替えしたコネクト・アメリカ基金が2020年までに地方の360万世帯がBBアクセスの出来るようにする計画で、また、これまで学校情報化を進めてきたEレートプログラムを近代化し、2015年に28億ドルを学校、図書館への光回線とWiFiの導入に支出したということです。

このほか、低所得者にBB回線をもたらす、住宅都市開発省によるコネクトホームプログラムなど、FCC以外の取り組みも紹介されています。

なんだか、インターネットはモバイル、という空気が強まる中、この報告書では「それぞれに役割がある」として、固定回線によるBB接続の強化路線を変えていません。

そういえば、米大統領選に出馬しているヒラリー・クリントン氏は昨年11月末に2,750億ドルに及ぶインフラ構築プランを提示しましたが、その中には「すべてのアメリカ人にBB回線を」も含まれているとの報道もありました。(学校にインターネット引き込み工事をボランティアで、という1996年の「ネットディ」で、ワイシャツを捲り上げて参加するパフォーマンスをしたのは夫ビル・クリントン大統領だった!)

実は昨年1月にFCCがBBの基準速度を引き上げた際の採決は3対2だったそうです。共和党系の二人の委員が反対したのです。その意味で、クリントン氏が民主党候補に決まれば、共和党が噛み付き、争点の一つになるかもしれません。もし、共和党大統領が誕生すればFCC委員長も代わって、どうなることやら、という要素がないでもないですが。

P.S.  日本のBB環境ですが、NTTフレッツのページを見ると「フレッツ光の人口カバー率は95%」とあります。幸いなことに、この点では狭い日本が優っているようです。

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