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2016年メディア展望に関する所感のようなもの

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 年末年始は、初詣行ったりお雑煮作ったり新日本プロレスの東京ドーム大会のネット配信を見たり、それなりに満喫しつつも、お仕事の方も通常運転。ネットにしろリアルにしろ、365日何かしらの出来事が起きているわけで、ネットメディアはそれに対応しなければいけない。ただ、毎年年始になると「テレビは強いなぁ」と実感させられますね……。

 それはそうと、年末年始にはネットメディアに関してさまざまな言説が飛び交っていた。主だったところでは、朝日新聞の平和博氏が欧米のトレンドとなっている「分散化メディア」に関する論考を紹介していたり、SmartNewsの藤村厚夫氏が「事象を知る」「事象を深く理解する」のがニュースの価値の根本理由として考察を展開されていたりした。『BLOGOS』では、元切込隊長ことやまもといちろう氏がネットニュースの展望を寄稿している。

 「分散型メディア」本格化の年か? 2016年、ジャーナリズムの行方(新聞紙学的)
 ニュースメディアの原理/ビジネスを構想するための視座として(藤村厚夫 Media Disruption)
 2016年ネットメディア展望 ウェブ媒体がただの出版社になっていくまで - 山本一郎(BLOGOS)

 また、『WIRED』がPV至上主義から脱却し、新たな指標の導入を模索する提言(?)を年初からぶつけてきて、こちらも関係者の間で話題になっていた。

 ウェブ関係者よ、PVの話をするのはもう止めよう(WIRED.jp)

 私もネットメディアの隅っこにいる身として、それぞれの「2016年現在のネットメディア像」には頷ける部分が多かった。というより、現状では既に「そうなっている」ことも多く、「すべてのニュースが賞味期限切れである」というタイトルをつけた『cakes』はさすがだなぁ、と妙に感心してしまったりしていた。
 平氏が紹介している「分散型メディア」というのは、要するに各サイトのトップページ(ホームページ)が機能を失いつつあり、トップからよりも記事単位でソーシャルメディアなどから読者が流入してくるため、そこに対策なり適応しましょう、ということだと思うのだけど、日本においては既に多くのメディアはポータルサイトやTwitter、Facebook、それにニュースアプリからの流入の方がよほど多くなっている。また、PCとモバイル(スマホ)からのアクセスでは、3対7になってきており、こと日本のメディアに関しては「スマホファースト」にほぼ適応されているといえるのではないか。

 そんな中、コンテンツ(記事・画像・動画)の価値が上がるという話になっているが、各メディアにとってはユーザーに「どういったメディアなのか」といったブランディングをトップページに頼らずにどのように設計していくのか、といった課題に直面することになる。
 これは、藤村氏が指摘する“一次情報メディア”から、“ゼロ次情報メディア”へと向かって幅広く情報をカバーしていくのか、より専門性を高めていくのかによっても変わってくるだろう。前者は物量で露出を増やすといった作戦でもいいが、後者の場合はアクセスのあったコンテンツとユーザーの関心がマッチする別のコンテンツへの誘導をスムーズにして滞留時間を長くする工夫がより求められることになるだろう。……って、これもどこも試行錯誤しているよ、って話になりますが。
 また、ブランディングということならば書き手にもそれが求められるだろう。ひとりの書き手が一つのメディアで書くという時代から、複数のメディアでさまざまなジャンルを書いている場合、その専門性なりユーティリティ性なり、読者にとって書き手が入り口になる、といったモデルもあり得るだろう。そういった意味では、これまで「メディア>書き手」という図式だったものが「メディア<書き手」と長い目で見れば逆転していく可能性も見据えていきたい。

 また、どの関係者も指摘しているのが動画の重要性で、中には「動画元年」になるという声もチラホラ聞こえる。これも「何回目だよ」と正直いいたくなるが、iPhoneで簡単に撮影できる時代でもあり、より「現場感」を生み出すための重要なコンテンツとしても有効なのは分かりきっている。また、動画を軸に、関連のテキストや画像を紹介していくという形態のコンテンツも日本では2013年ごろより急速に増えている。
 逆にいえば、動画の制作能力があるだけでも十分でなく、それを補足・補強するテキストや画像も合わせて見せれるような「記事」にすることではじめて、ユーザーフレンドリーなコンテンツになる。このあたり、「これからは動画だ!」と声高に叫ぶひとほど理解していない印象があるのだけど……。いずれにしても、ここも前述したユーザーの関心とマッチしたコンテンツへスムーズに移行できるようなUIを構築できるかどうか、という話だと思う。

 さて、PV史上主義からの脱却に関しては……これも数年前から何度も出ている話題で、特にニュースアプリの登場によって状況はだいぶ変化している。昨年にメディア関係者最大の関心事と言ってもいいだろう「ステマ」問題も、いかにポータルサイトやニュースアプリに情報を露出させるか、という「抜け道」を皆が探っていたことが顕在化したと捉えるべきだろう(個人的には、ユーザーファーストな議論でなかったと思うが)。
 これは、メディアというよりも本質的には広告代理店・PR会社・各クライアント担当者が「どのように考えるか」「どのように出稿するのが効果的か」という話で、読者にとってはあまり影響のない、もしくは「見たくもない広告を見せられる可能性が上がるか下がるか」といった話題だ。とはいえ、私もメディア上で売文することでごはんを食べているので、無視することのできないトピックでもある。
 メディアあるいは書き手の側からしてみれば、ユーザーにとって有益な情報を提供することに存在価値がある。そのためには、まず「存続」あるいは「生存」していく戦略が求められる。そういった意味では、PVが莫大なポータルサイトにとってはPVが今後も指標として機能するだろうし、PVが少なくてもユニークなユーザーを抱えている小規模サイトにとってみれば、そのユーザーこそが財産となるはずだ。PV以外の指標、「インプレッション」でも「回遊率」でも「「エンゲージメント」でも何でもいいけれど、そういった濃いユーザーが「増えた」ことをどこで見るか、といった分析力が問われていくのではないだろうか。

 そろそろPCの電源が切れそうなのでこのくらいにして。個人的には今年も良質なコンテンツをより多くのひとに読んでもらえるよう、昨年以上に努力していきたい。重ね重ね、本年も当ブログを何卒よしなにお願いいたします。

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