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遅きに失した“太陽光への適確な批判” 〜 『急増メガソーラー、摩擦も 「災害を懸念」「景観悪化」反対運動』との報道について

 今日の朝日新聞ネット記事は、自然エネルギー(再生可能エネルギー)の一つである太陽光発電施設について、住民による建設反対運動が目立ってきていると報じている。この記事に掲載されている3枚の写真・図表(資料1〜3参照)が、太陽光発電に関して今後特に留意すべき点を端的に現している。

 2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後、原子力反対・再エネ推進の強い論調を醸し出してきた朝日新聞社でも、こうした報道をせざるを得ないほど、再エネについて冷静かつ適切な見方が広がってきた ーーー と私は思いたい。

 2012年7月に施行された
再エネ固定価格買取制度(FIT)が太陽光発電ビジネスへの意欲を高めたことは間違いない。しかし、太陽光発電を巡る課題も、他の電源と同様、相応に顕在化している。

 先ずは、認定済未稼働案件数が2012~13年度認定案件で約36万件もあること。記事では、「大規模太陽光発電施設(メガソーラー)は、FIT導入前の274倍にあたる3291件が運転開始(昨年8月時点)。国から認定を受けた後、まだ建設されていない計画も多数。使われていない土地を活用できることもあり、地域振興策として普及」とあるが、未稼働なので儲けはなく、地域振興策にはなっていない。

 次に、この記事の主旨でもあって、「住民と地域外の事業者との間で摩擦が起こるケースも出ている」という話。以下は、記事でのケース。

◎長野県上田市:山林傾斜地約20ヘクタールの樹木を伐採し、4万4千枚のパネルを設置する計画に対し、住民らは「豪雨に伴う土砂崩れなどが起こる可能性が高まる」、「太陽光発電自体には反対しない。建てる場所を考えてほしい」とし、事業者は「住民に丁寧に説明をしたい」と。

◎大分県由布市:高原斜面に3万2千枚のパネルを置く計画に対し、住民グループは災害時の危険に加えて景観悪化を懸念。

◎佐賀県吉野ケ里遺跡のすぐ北の県有地:約5万枚のパネル設置。住民団体は、一帯から遺跡や出土品が多く見つかっているとして移転を強く求めている。

◎仙台市太白区:昨年9月の豪雨で、約400枚のパネルが設置された市道わきののり面が崩れた。〔註:この件については、先のブログ記事(☆1☆2)などを参照されたい。〕

 これらを克服していく手法の一つは、所要の安全対策や地元合意形成に係るルールの設定である。現時点では、記事に書いてあるように、自治体レベルでは「独自ルールを定めた所もある」が、国レベルでの「住民との合意を形成する仕組み」はない。

 以上の懸念点の解消も含めた再エネFIT制度改革のための関連法案が、今国会に提出される予定となっている。それに係るポイントと、それに関する私なりの解説については、先のブログ記事を参照されたい。
 
 太陽光など再エネの普及促進を強力に進めるためのFITではあるが、事の経緯を考えると、あまりにも無節操に再エネが賞賛されてきた。それは、原子力への批判を強める一方で、再エネへの適切な批判が皆無に近かったことにも由来していると思われる。

 無批判は結果として無節操を生み出す。政策は、適切な批判を浴びながらの推進が必須である。再エネも然りだ。もちろん、原子力も然りである。今後、短期的にも長期的にも化石燃料消費への制約が強くなると見込まれる中、国産エネルギー扱いでもある再エネと原子力は、当面の日本のエネルギー政策の基軸になる。

 それしか道がないのだから、仕方がない。

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