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囲碁でコンピューターが人間に勝つ日

 米フェイスブックは近年、より根本的な科学的研究を行っている。最新の取り組みの一つは、囲碁をコンピューターに打たせるようにすることだ。この複雑な東洋のゲームは、その起源を2500年以上さかのぼる。そしてこれまでのところ、最新のコンピューターでも人間を負かすことができないでいる。

 囲碁は19×19の碁盤上で行われるゲームだ。2人のプレーヤー(1人は黒、1人は白)が碁盤の上の空いている場所に交互に石を置いていく。ゲームの目標は、自分の石でスペース(地)を囲み、可能な限り多くの碁盤上のスペースを支配することだ。囲まれた対戦相手の石は碁盤から除去され、囲んだ人の得点に加算される。

 囲碁には碁石という道具と、一握りのルールがあるだけだ。しかし、こうした見た目の簡素さは、途方もない奥深さを隠している。碁盤に何もない時、第1手は361通りあるし、手が進んだ段階でも典型的なチェスのポジションよりも多くの選択肢が存在する。

 ピアノストでチェスの名手でもあるマシュー・ベングトソン氏は28歳で囲碁を始めた。若干の専門知識を培った後、現在はフィラデルフィアで囲碁クラブの会長を務めている。同氏は囲碁が幾つかの特色を持っているのに気付いた。つまり引き分けは不可能だし、最初に碁石を置く方は(チェスないしチェッカーのように)それほど大きなアドバンテージを持っているわけではない。そして戦略的テーマが繰り返されることはめったにない。

 囲碁を征服しようと努力しているのはフェイスブックだけではない。グーグルの研究グループ「ディープマインド」は2015年11月に同様の試みを発表した。こうした取り組みは、チェスに対するIBMの関心を想起させる。IBMは1989年、チェスの世界チャンピオンに勝つことを目指した「ディープ・ブルー」プロジェクトに着手。そして実際に1997年、世界チャンピオンのガルリ・カスパロフに勝利した。同プロジェクトはIBMが売れるような製品にはつながらなかったが、たとえ事業上の報酬が計量化できないときでさえ、基礎科学の「壮大な挑戦」はやってみる価値があることを示した。

 一流のハイテク企業各社が競って自社製品にインテリジェンス(知能)を蓄積しようとしているなかで、コンピューター囲碁の研究は相当大きな象徴的価値がある。囲碁はチェスより奥深いゲームであり、マスターするには人間のような類型認識技術と直観的判断がもっと必要だとみられている。フェイスブックの囲碁プログラムは、かなり新しいコンピューター技術を2つ結合している。一つは「畳み込みニューラルネットワーク(CNN=脳のようなアルゴリズムを使って、碁盤上の大規模なパターンの重要性を学習し、認識する)」であり、もう一つは「モンテカルロ木探索(いわゆるモンテカルロ法=先を考える形態で、特定の分野で戦闘の詳細な戦術的シークエンスを考案する)」である。フェイスブックの開発者によれば、このアプローチは、最良のオープンソース囲碁プログラムを95%の確率で負かすという。

By CHRISTOPHER CHABRIS

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