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インタビュー:今年の春闘、ベアは各社の状況考慮すべき=経団連会長

[東京 1日 ロイター] - 経団連の榊原定征会長は、ロイターなどとのインタビューで、2016年の春闘の方針について、全業種にベア実施を呼びかけた15年のような対応はせず、各社の状況を考慮すべきだと述べた。ベア引き上げは経営の重荷になり、全ての加盟企業に昨年以上の賃上げを働きかけることは困難との立場をにじませた。

中国経済の減速や米利上げ、テロの可能性などがあるものの、世界的な波乱には至らないと予測。日本企業による大型M&A(合併・買収)の動きが続くとの見通しを示した。

インタビューの詳細は以下の通り。

──2016年を経済界としてどのような年にしたいか。

「まず、デフレ脱却宣言ができるような年にしたい。さらに2020年GDP(国内総生産)600兆円に向けた初年度であり、その道筋をしっかりつけるためには、経済の好循環を実現すること。まだ好循環が順調に回っているわけではなく、原動力となる民間消費と設備投資をしっかりと行っていくことが重要だ」

――経団連としての賃上げ方針について、今年の春闘と昨年の違いは何か。

「今年はベア・定昇・諸手当・賞与を含めた年収ベースで、実質賃金を増やす形で積極的に対応してほしいという方針。ただ、ベアについては業種・業態により3年続けてできる企業と努力の必要な企業があるため、各業種ごとに考えていただきたい。昨年の場合は全ての業種共通に選択肢の1つとしてベアも前向き考えてもらいたいという方針だったが、今年は業種ごとに、また各社の収益状況を考えて対応してほしいということだ」

「ベアというのは非常に経営の重荷になるため、経営者にとっては継続的な引き上げは慎重に考えざるを得ないということは、理解しなければいけない」

「非正規雇用については、経団連参加企業には処遇改善と、色々な形での正規化も1つの選択肢として検討を促している。最低賃金の引き上げなども含め、消費拡大に向けて意味のある施策だと思っている」

――今年の株式市場の見通しは。

「15年は日経平均株価<.N225>が2万円を超えた時期もあった。今年は2万円に復帰する、あるいは状況によってその上も期待できる動きをしていくとみている」

「ただ、経済のファンダメンタルズが変化して大きく乱高下するとは思っていない。中国経済や地政学的問題もあるが、私は中国が発火点となって世界的な混乱となるとはみていない。また、米利上げも限定的な影響にとどまるとみており、テロの問題も国際社会が力を入れているので大きな問題となることはない」

――法人税率への要望は。

「今年から実効税率が20%台に引き下げられることは、非常に大きな成果だ。ただ、これで終わりではないと思っている。実効税率29.97%は、まだまだアジア諸外国と比べて高い。シンガポールや韓国は20─25%だ。前から言っているように、数年以内に25%まで引き下げてほしいと思っている」

――今年のM&Aや業界再編の行方は。日本企業のROE(株主資本利益率)の目標は。

「この2年間だけみても、日本企業の海外でのM&Aは増加した。しかも、大規模なものが進んでいる。あらゆる業種でそうした動きが進んでおり、今年もそういった動きがあるだろうと思っている」

「ROEについては、国際的な目で見た場合、10%はミニマムラインだと思っている。それに達していない日本企業も多い。ROE向上のためには、日本企業の生産性向上が不可欠であり、第4次産業革命、IoT(物のインターネット化)やAI(人工知能)などを駆使して産業構造改革を国の力を結集してやっていくことが必要。そこは是非、海外投資家の方もウォッチしてもらいたい。

――10%消費増税実施への見通しは。

「政府の16年経済見通しで示された実質1.7%・名目3.1%の成長率は絶対達成すべきであり、10%増税への条件だと思っている。リーマン・ショック並みの大きな経済変化がない限り、17年4月の10%への増税は絶対実施しなければいけないと思っている」

「そのためには今年の経済の地力をつけること、前回経験したような大きな反動減回避へ、今から色々な施策を用意することが必要。具体的には住宅や耐久消費財を購入しやすくなるような税制や支援策をしっかりやってほしいと政府に対して強く要請している」

――日米金融政策について。

「FRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長は、今後も緩やかなペースでの利上げを実施すると言っているので、日々の大きな動きはあるだろうが、ファンダメンタルズに大きな影響を及ぼす規模の利上げではないと思っている」

「日銀が2%の物価目標を維持していることは、(達成の)時期について色々あるだろうが、適切な判断だと思っている。今、旗を降ろす時ではないと思っているし、十分達成できる日本の力もあるだろうし、これを目指して色々な施策を用意していると思っている」

「12月の緩和策補完措置で、人材・設備投資を積極化する企業のETF(上場投資信託)購入を表明したのは、メッセージとしては重要だと思っているが、規模が3000億円ということで、実際の効果は限定的だろう」

*インタビューは15年12月22日に行いました。

*写真を付けて再送します。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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