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原子力と風力を比較する愚 〜 “風力の発電能力、初めて原発抜く コスト減、普及後押し”との報道について

 昨日の朝日新聞ネット記事では、世界の風力発電施設の発電能力が今年4億キロワットを超え、原発を初めて上回ることがわかったと報じている。

<記事要旨>
・風が吹く時だけ発電する風力は稼働率30%程度、80%近い原発に比べ実際の発電量は約3分の1。
・世界風力エネルギー協会(WWEA)は、風力発電能力が2030年20億キロワットと見込む。
・専門誌「ウィンドパワーマンスリー」が発表した今年末時点の見通しでは4億1496万キロワット。
・世界原子力協会によると、原発は12月1日時点で3億8225万キロワット。

 電力市場において電源ごとの優劣比較を行う際に最も重要なのことは、『発電設備容量(kW)』がいくらかではなく、安定的に『発電電力量(kWh)』を供給できるかどうかだ。

 その意味でも、安定電源(原子力・化石燃料・水力・地熱)と、不安停電源(太陽光・風力)は、互いに競合相手にはならない。尚、火力には、太陽光・風力のバックアップという重要な役割がある。

 原子力・化石燃料・水力・地熱は安定供給能力があることを基本中の基本とするベース電源。太陽光・風力のような天候に左右される不安定電源と比較することは甚だ不適格なのだ。にもかかわらず、上記の朝日新聞ネット記事のような論調が今もまだ多数ある。

 発電コスト合理性は、各国や地域ごとの資源エネルギー調達事情で異なるが、例えば、
  ①安定供給能力で優位なのは、原子力・石炭・ガス・石油・水力・地熱>>風力>太陽光
  ②発電規模で優位なのは、原子力・石炭・ガス・石油>水力>>地熱>風力・太陽光 
  ③CO2抑制機能で優位なのは、原子力・水力・地熱・風力・太陽光>>ガス>石油>石炭
  ④PA(社会的許容性)で優位なのは、ガス・石油>風力・太陽光>>原子力 
  ⑤当面の技術での可採エネルギー賦存量で有望なのは、石炭・石油・ガス>原子力・・・ 
  ⑥消費者が自宅でできるのは、太陽光>>・・・
  ⑦発電コスト単価当たりの死亡者リスクでは、水力・石炭>石油>ガス・・・
  ⑧事故時の避難者数で最多は、原子力>>他電源
といったように、それぞれ特徴がある。
 
 上記の朝日新聞ネット記事では、“風力発電コストは下がってきている。昨年は1キロワットあたり6~9セント(約7~11円)で、火力発電の4.5~14セントと並んでいる”と報じているが、発電コストは供給安定性とは何ら関係ない。こういう報道は、電力に関する知識のない多くの人々に大きな誤解を与える。現に、日本国内のみならず世界中でそうなっている。

 
 いずれにしても、先のブログ記事その他多くの拙稿でも再三申し上げている通り、蓄電システムが商用化されるまでは、風力や太陽光が原子力や火力の代替電源となることはない。もちろん、風力や太陽光など自然エネルギー100%化を目指すことに変わりはない。

 

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(出所:朝日新聞ネット記事(2015.12.29) 

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