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"元鈴木宗男私設秘書"ムルアカ氏「日本人は諦めやすくなっている」

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12月1日、中国の習近平国家主席がジンバブエを訪問。さらに南アフリカのヨハネスブルグで開かれた「中国アフリカ協力フォーラム」では、アフリカへの7兆円を超える投資を約束したと報じられている。

こうした中国の動きに警鐘を鳴らすのは、鈴木宗男・元衆議院議員の私設秘書として知られるジョン・ムウェテ・ムルアカ氏。約30年前にコンゴ民主共和国出身から来日、ジャーナリスト、研究者・大学教員などの経験も持つ同氏は、アフリカにおける中国の強引な開発を批判すると同時に、アフリカ市場のポテンシャルを日本政府や企業に対し訴え続けている。

こうした実態を赤裸々に描いた「中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う 200兆円市場のラストフロンティアで儲ける」 (講談社+α新書)を先月上梓したばかりの同氏に話を聞いた。

"正直言ってまともじゃない"中国のやり方

-ムルアカさんといえば、「鈴木宗男さんの私設秘書」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、現在はどのような活動をされているのでしょうか?

ムウェテ・ムルアカ氏(以下、ムルアカ):現在は、主に千葉科学大学と神奈川工科大学などで教員の仕事をしています。その他、任期付きですが、文部科学省では教育や人材育成、経済産業省であれば資源外交といった分野について、参与の仕事をしています。具体的には、あるプロジェクトでアフリカ大陸に進出する際に、戦略や切り口を役所のみなさんと相談しながら、現地での働きかけをするといったイメージです。

例えば日本の情報・通信技術は世界一と言っても過言ではありません。まだアフリカには読み書きが出来ない人たちもいますが、日本の技術を取り入れることで、農業や医療など、様々な分野の学習もしやすくなります。また、物理的な距離と関係なく、医者が田舎の患者を診察するといったこともできるかもしれません。このように、日本の技術は、今後のアフリカの発展にとって非常に有効なので、それを活かそうというわけです。

-著書を拝読すると、アフリカ各国のロイヤルファミリーなど、様々なコネクションをお持ちのようですね。

ムルアカ:そもそも私はアフリカ出身ですし、これまでも鈴木宗男先生と一緒にアフリカ各国との議員連盟を作ってきました。その数は30カ国近くになります。他にも「アフリカ開発会議」といった国際会議に参加する中で、各国の首脳とお会いする機会を持つことができました。

こうした人々から見れば、私は兄弟みたいなものです。私にとって人脈は財産であり、日本政府にとっても役に立つものではないでしょうか。

-著書の中でも指摘されていますが、「未開」「貧困」「サバンナ」といった、ステレオタイプなイメージをアフリカに対して持っている日本人もまだ多いと思います。

ムルアカ:アフリカには54の国がありますが、これは世界の国の4分の1以上の数になります。それほど大きな大陸の中に、様々な民族、文化、価値観が存在しているのです。かなり発展してきている国もあれば、これからの国もたくさんあります。そもそも我々人類というのは、元々アフリカから始まっています。ですから、日本人であっても、元々をたどればアフリカ出身とも言えるでしょう。そういうことをもっと知るべきだと思います。

また、アフリカは今後日本が発展していくために必要な要素を持っています。日本には資源がありませんが、高度な科学技術があります。一方で、残念ながらアフリカはまだまだ技術は持っていませんが、資源や成長のポテンシャルを持っている。日本の技術とアフリカのポテンシャルが一緒になれば、平和な世の中を作ることができるんじゃないかと思うのです。

-アフリカへの進出については、「日本は中国に比べて遅れている」と報じられています。しかし、ムルアカさんは先行してアフリカに進出している中国の問題点を指摘していますね。

ムルアカ:ご存知のように、中国は世界一を目指しています。アメリカ、日本を追い抜いて、世界のリーダーの座を奪おうとしています。そうした動きの中で、非常に残念なことがあります。アフリカの文化と中国の文化が異なっていることです。

「騙すより騙される方が悪い」と考えるような中国の文化は、アフリカ各国の文化とは全然違います。結局彼らは、世界一の経済力、リーダーになるために手段を選ばない。そういう姿勢が非常に残念な結果を生んでいます。

本に詳しく書いていますが、民主主義のプロセスが成り立っていないので、様々な弊害が起きています。正直言ってまともなやり方じゃありません。これはアフリカにとってはもちろん、中国にとっても不幸だと思います。一時の利益に目がくらんで、長期的な利益を台無しにしているのですから。

アフリカも当初は、「中国は良い国だろう」と思って付き合っていました。「日本とアメリカの動きは遅い、EUには騙される。だから、中国が来てくれてよかったな」と考えていたわけです。しかし、蓋を開けたら、もうとんでもない。中国が作った建物や道路には多くの問題がありました。中国の方々のためにも、こうした現状を理解して反省し、尊敬されるようになってほしい、という思いがあり、この本を書いたのです。

-現地の雇用に貢献しないような形で事業を進めるなど、いわゆる国際常識に反するようなやり方をすることが多いのでしょうか?

ムルアカ:多いですね。彼らの目的は自分たちがボロ儲けをすることで、そのためには手段を選びません。

アフリカ各国で、市民の反中感情も高まってきているように思います。メディアの報道も、「日本を見習いなさい」というような論調が多くなってきています。現地の人々から大きな反感を受けるようでは、中国の将来のためにもなりません。

偽ブランドばかり作って販売するなど、お金のためには手段を選ばない。これだけ環境保護が叫ばれているにもかかわらず、環境破壊をする。中国の経済は大きく成長しているのに、まだ発展途上国のようなつもりでいるのです。

また、中国が7兆円というお金をアフリカに投資するという報道がありますが、まだ自国では、教育も受けられない方々がたくさんいるわけです。本来であれば、世界一になって世の中をコントロールするという目的を明確にして、そのために自国の教育をしっかりするべきでしょう。まず自分たちの国の問題を整理してから海外に打って出るべきなのに、そうではない。そういう部分についても我々は疑問を感じますね。

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