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シリコンバレーの不況は、もうそこまで来ている

僕は2016年の米国経済に関しては楽観的ですが、シリコンバレーに関しては憂慮しています。

なぜ悲観的か?

その理由は、シリコンバレーの物価、とりわけ不動産価格はバカ高くなっているにもかかわらず、そこで働く人たちの所得や、株式公開で得られるキャピタルゲインは伸びが低いからです。

またイノベーションの速度は鈍っており、IPO予備軍の企業の質は著しく低下しています。

なお「シリコンバレー」と書きましたが、今日の議論はベイエリア全般を指します。

まず住宅価格ですが、所得の伸びより住宅価格の上昇の方が激しいので、だんだん庶民には手が届かなくなっています。

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住宅ローン情報サイトのHSHが今年示したデータでは、ベイエリアの平均的な住宅を買うには年収1,856万円が必要だそうです。

ベイエリアの一人当たり所得は7万ドルですから、ダブルインカム・ノー・キッズ、つまり夫婦両方が働いていて、子供が居ないというシナリオでも平均的な住宅に手が届かないわけです。

「シリコンバレーは活気に溢れている」と勘違いしている人が多いけど、実際は元気ありません。

ハイテク・セクターの景気を測るテック・パルス・インデックス(3カ月移動平均)は、ずっとゼロ以下です。

Tech Pulse Index SF FRB
(出典:サンフランシスコ連銀)

なおテック・パルス・インデックスは:

労働省の出す雇用データのうちSIC357、366、48、737のカテゴリーに属する雇用データ
ハイテク関連の鉱工業生産データ(NAICS 3341,3342、334412-9)
コンピュータ、通信機器の出荷データ
IT設備投資のデータ
個人のコンピュータ、ソフトウェア消費


などを総合し、指数化したものです。

百歩譲って「今はフェイスブックやツイッターのようなIPOで成金が続出しているから、それが住宅価格を押し上げている」という議論に耳を傾けてみましょう。

しかし、これもウラを取ると、現実を反映していないです。

2015年のテクノロジーIPOは僅か42万ドルで、これは2009年以来、最も低い数字でした。

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テクノロジーIPOのリターンは、僅か+1%でした。

同様に、ベンチャー・キャピタルから出資を受けたスタートアップ(これはネット企業以外も含みます)の上場も激減しています。

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つまり株式市場の投資家は、儲からないIPOに辟易としており、軽いノリでIPOしてくるクソ企業のIPOに食傷しているわけです。

ユニコーンといえば聞こえがいいけど、要するにそれらの企業はいつまでたっても成長できないダダッコみたいな未熟な企業で、VC近辺ではいまだにチヤホヤされているけれど、公開市場の投資家の見る目は厳しいです。

先日、ユニコーンのひとつ、ギルト(GUILT)が、ピーク・プライベート・バリュエーションの僅か1/4で身売りし、関係者を「あっ!」と言わせました。

いい加減、目をさました方がいいですよ。

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