記事

50歳の未婚オトコたち(前編) 第7回 人生の逆転はある?ない? - にらさわあきこ

男性の未婚者数は、女性のそれよりも多い。

 5年に一度行われる国勢調査では、50歳時点で未婚の人を“生涯未婚”としているが、2010年の調査では、男性のおよそ2割、女性のおよそ1割が“生涯未婚”となっていた。

 この数字から単純にわかるのは、男性の未婚者が「女性の倍」ということだ。

 では、ずっと未婚のまま50歳を向かえた男性たちは、何を思い、何を求めているのだろうか? 男たちに聞いてみた。

少年らしさを持つ50歳

 正岡洋二郎さん(50歳・仮名)は、大手メーカーに勤務する管理職である。

 が、私と会ったのが休日だったせいか、偉ぶった印象はまるでなく、優しいお兄さんという感じだった。

 彼のことは、婚活をしているアラフォー女性から紹介していただいた。

 「婚活で知り合った方なんだけど、話しやすいから色々教えてくれると思うよ」というので、アポを取らせていただいたのだが、なるほど、会う前のやりとりからも、とても小気味よく、話しやすい方だと感じさせられた。

 紹介者からは、「見た目も年齢よりずいぶん若く見える」と聞いていたのが、青山のイタリアンレストランで会った正岡さんは、確かに40歳そこそこと言っても通じる若い雰囲気だった。

 まだ少し暑いころだったので、白い半そでのポロシャツに薄いスラックスを合わせて、髪は高校生のように長めにカットしっぱなし。

 小柄で細身なせいもあり、パッと見は少年のように見えるのだが、クラッチバックならぬ“セカンドバック”を携えているところや、ポロシャツが流行りの“大きくブランドのロゴが出ているタイプ”のものではなく、スポーツブランドのものであるあたりに50歳という年齢を感じた。

休日はワインでリラックス

 「ワインを頼んでもいいですか?」

 店は彼の指定した場所で、ワインのラインアップが豊富とか。

 「もちろんです」と答えると、彼は手慣れた様子でウエイターを呼んで、グラスワインと私のためのホットコーヒーを注文してくれた。

 一人暮らしの正岡さんは、30代で郊外に家を買ったという。休日は、趣味のワインや車を楽しみながら、ゆったりと過ごしている。

 「家族がいれば最高です」というので、

 「結婚したいのですか?」と聞くと、「もちろんです」と言いながらも、「特に何もしていないですけれど」と恥ずかしそうに目を伏せた。

女性と縁のない青春時代

 (結婚したいのに何もしてないとは?)と不思議に思ったのが顔に出たのか、正岡さんはそのすぐあとに、

 「これでも40歳くらいまではまじめに婚活をしていたんですよ」
と言い訳をするように補足した。

 地方で生まれた正岡さんは、家庭の事情で大学を卒業するまで金銭的に苦労をした。しかも、結局は就職したものの、学生時代は国家資格の取得を目指して、勉強も頑張った。

 「就職してからも、勉強すべきことが山のようにあったので、30歳になるまでは女性と話す機会がほとんどありませんでした。30歳を迎えるころに、やっとプライベートについて考える時間ができたので、『結婚したい』と思ったんです。だけど周りに女性はいないし、女性と接するのも苦手だったので、まずはワインサークルに入って、ともだちを作るところから始めました」

ワインが広げたプライベート

 そのころはブームの影響もあって、ワインの勉強会や“楽しむ会”が各地でたくさん開かれていたという。

 「参加者の大半は、男性か既婚女性だったので、みなさん、僕を心配して、女性をかなり紹介してくれました」

 しかし、女性と2人は不慣れ。

 ファッションも、ご本人曰く、「当時は、まるでイケていませんでした」
なので、30代は、「女性と話すことができるようになった」ことに満足するだけで終わった。

 40代になるころには、ひとりで婚活パーティーに顔を出せるようになった。

 そこで知り合った一人が、私と彼を繋いでくれた女性だ。しかし、彼女と出会ったのも、「今から7,8年近く前」。つまり、彼もその女性も、7、8年前から今まで婚活をずっと続けているのだ。

結婚したいのは子供が欲しいから

 「成果はどうだったんですか?」と聞くと、

 「好きな人には振り向いてもらえず、好まない女性にばかり好かれます」と苦々しい顔をした。

 正岡さんは、婚活を始めた当時から30歳くらいの女性と知り合いたいと思っていたのだが、彼を「いい」と言ってくれるのは、アラフォー以上の女性たちばかり。

 「自分は子供が欲しいから結婚したいと思っているので、子供のことを考えると相手は30歳くらいがいいと思うんです。なのに、自分をいいというのは、アラフォー以上の方ばかり。30歳くらいの女性には、なかなか相手にしてもらえません」

 しかも年齢が上がってゆくにつれて、彼と希望する女性との“年の差”は開いていくばかり。

 45歳を超えるころからは、パーティーから足が遠のいた。

若い女性を好む男性たち

 「若い女性と結婚したい」

 「35歳以下の女性と知り合いたい」

 婚活の取材をしていると、あらゆる年代の男性から、同じ意見を聞かされる。

 その理由については、「子供が欲しいから」というのが多くを占めるが、それ以外でも、

 「自分は精神年齢が低いから、20歳くらい年下の女性がちょうど合うと思うんです」(49歳・マスコミ)

 「年齢で判断しているのではないですが、見て“いいな”と思う女性が、たいてい30代半ばくらいで、40歳以降の女性では“いいな”と思える人が少ないんです」(51歳・自由業)

 「若く見られることが多いので、一回り以上下の女性と合うんです」(52歳・専門職)

 「気持ちが若いので、20代と話していても『違和感ないですね』と言われます」(53歳・サービス業)

 ……という声などが聞かれた。

アラフォー男女は話が合わない?

 回答をくれた男性の中で、「過去5年以内に女性と付き合った経験のある人」は、ほぼいなかった。また、「いる」と答えた人たちもよく聞くと、「仲良くなった女性はいる」とか、「数回食事に行った」程度で、男女として真剣に付き合った“実態”は感じられなかった。

 しかし彼らは、「お互いのタイミングが合わなかったので、結婚に至らなかった」ととらえていた。

 こうした意見を結婚相談所の人に伝えると、「同世代の女性に目を向けたら」とアドバイスされると言う。

 しかし、現実に同世代女性に目を向けようとする男性は少ない。

同世代女性と年下女性の声は……

 では、もう一方の、30歳前後の女性たちは、50歳前後の男性たちをどう思っているのだろうか。広く声を拾ってみると、

 「同世代の男性の方が、話が合う」(30歳・広報)

 「お見合いで50歳手前の男性を紹介されたが、おじさんにしか見えなかった」(34歳・サービス業)

 という人たちがいる一方で、「20歳年上の人と婚約しました」(28歳・バイト)「イケている人なら、全然ありです」(33歳・医療)「社長さんとかお金がある方なら……」(30歳・IT)という女性たちも、ちらほらといた。

50歳で子供を持てるのか?

 子供問題に関しては、「女性は35歳を過ぎると妊娠の可能性が低くなる」とは、よく言われる。

 ただ、最近は「男性にも不妊はある」「男性も年齢によって妊娠可能性は低くなる」ということも知られ始めている。

 また、経済的な面で考えれば、会社員なら定年があるから、心配にはならないのだろうか。

 私が取材した未婚男性たちは50歳前後でも、女性たちよりは気軽に「子供が欲しい」と口にする人が多かったのだが、彼らには経済的な不安や体力的な心配はないのだろうか?

 正岡さんに聞いてみると、

 「妊娠の可能性などについては、考えたこともありません。それと、定年が近いということについては、定年後も子育てに問題がないように、一生懸命働いてきて、それなりの資産がありますからあまり心配してません」とのことだった。

「持てるか」の観点では考えない

つまり、

 「子供が欲しいが、“できる・できない”で考えることはなく、また、急いで婚活をするよりも生活をする中で自然に素敵なアラサーと出会えたらいい」という認識を持っているのだろう。

 こうした考えをする50歳前後の男性は、正岡さんだけではない。

 「結婚したい」という男女を取材していると、女性は「婚活をして、“いい人”を探したい」と言って、実際にさまざまな挑戦をしている人たちが多い一方、50前後の男性たちからは、こんな声ばかり聞かされる。

恋に憧れる男たち

 「特に何もしていない」(正岡さん)

 「いい人が現れたらいいとは思っている」(51歳・メーカー)

 「コンビニの店員さんが可愛いから、仲良くなりたい」(49歳・自由業)

 「素敵な女の子が声をかけてくれないかな」(47歳・SE)

 いずれも「結婚したい」と言っている男性たちなのである。

 ……この中で、「ある日突然可愛い子が自分に恋をしてくれたら……」と言ったのは、先日50歳の誕生日を迎えたフリーランスの男性だ。

 彼は仕事柄、「一人でいることを優先して」生きてきた。

 傍らに女性がいると、「邪魔で集中できないから」である。

可愛い子が自分に恋をする?

 だから30代の最初まではつきあった女性が2人いたのだが、距離が近づくとストレスになって、短い時間で別れてきた。

 その後、30代の半ば以降は、異性関係がなにもなく、今日までの10年以上をひとりで変わりなく過ごしてきた。

 その彼から、こんなメールをもらった。

 「もっと行動的にならなくては。今のままでは生きている意味がなさ過ぎる!」

 ……どんな変化があったのだろう?

⇒第7回後編(12月15日配信)に続く。

*プライバシー保護のため、個人に関する事実については一部内容を変更しています。

あわせて読みたい

「結婚」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    慰安婦の日が騒がれなかった理由

    WEDGE Infinity

  2. 2

    若者の性交離れ 女子に顕著傾向

    NEWSポストセブン

  3. 3

    ポケモン声優死去 哀悼の声続々

    キャリコネニュース

  4. 4

    NHK委託業者の悲惨な労働実態

    しんぶん赤旗

  5. 5

    人体標本が物議 遺体はどこから?

    木村正人

  6. 6

    QBハウス1200円に 客離れの危機?

    MAG2 NEWS

  7. 7

    石破氏 本質見失う曖昧な日本語

    石破茂

  8. 8

    税金垂れ流しJR北海道は合併せよ

    中田宏

  9. 9

    翁長氏の県民葬延期 自民思惑か

    天木直人

  10. 10

    バタージュワッ人気の極厚食パン

    メシコレ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。