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東南アジア3カ国のスタートアップピッチに出場してわかった事 - 黒川賢吾

僕が作った会社は、ベトナムで立ち上げたスタートアップ企業です。ベトナムでオンラインサービスを始めて1年。ビジネスがある程度軌道にのってきたこともあり、11月にインドネシア・タイ・ベトナム3カ国でのスタートアップのビジネスコンテストに参加してきました。「スタートアップピッチ」「ピッチバトル」などと呼ばれるもので、スタートアップ企業がそれぞれのビジネスをプレゼンして競うものです。賞金ももちろんですが、こういったコンテストに出場することで投資家との接点を作ることが出来ます。

僕が出場したのは、下記の3つのコンテストです。

■ ベトナム:Hatch Fair 2015
■ インドネシア:Tech in Asia Jakarta 2015
■ タイ:Echelon Thailand 2015

Tech in AsiaとEchelonはアジア各地で行なわれているスタートアップイベントで、Hatch Fairはベトナム国内のイベントです。全て2日間のイベントで、スタートアップ事情や投資環境に関しての有識者のセミナーや投資家とのネットワーキング等で構成されており、アジェンダの一つとしてこれらのビジネスコンテストは用意されています。

■各国から集まるスタートアップ

コンテストの流れとしては、どのコンテストも「プレゼンテーション(5分間)+質疑応答(5分間)」の構成でした。会社勤めをしていたときは、30分程かけて偉い人々に懇切丁寧に説明する事が多かったので、「5分」と聞くと物凄く短く感じていましたが、いざポイントを絞っていくと十分な時間です。それぞれイベントの主催者が事前にSkypeなどを使ってプレゼンのリハーサルに付き合ってくれたので内容は都度改善されていった気がします。

それぞれの国のスタートアップばかり集まるのかと思っていましたが、実際はアジアの様々な国からスタートアップが集まってきました。インドネシアのピッチ参加者の内訳は、インドネシア×2、フィリピン×1、日本×1、シンガポール×2、ベトナム×1(当社)の5カ国7社、タイはタイ×2、フィリピン×1、ミャンマー×1、ベトナム×1(当社)の4カ国5社です。イベント企画者の意図もあると思いますが、国を超えてのコンテストとなっていた点は非常に面白かったです。ベトナムのコンテストだけ規模が小さいこともあり、全てベトナム企業でしたが、それでも1/3ほどが外国人が経営する企業によるものでした。

■続々現れる「インドネシアの◯◯」「タイの△△」

プレゼンは英語です。ベトナム人の英語のみクセがあって聞きづらい点はありましたが、皆上手に英語を使いこなします。Linkedinなどで経歴を調べてみると、プレゼンを行ったスタートアップ経営者の多くが海外の大学を出ていたりMBAを持っていたりしていました。

ただ聴講者もほぼ全て英語を理解していたことを考えると、東南アジアの英語力は以前と比較してもかなりレベルが上がっていると感じます。一方でプレゼンの内容としては、日本の起業家の方が動画などを差し込んだりする技術的にも、大きなストーリーを伝えるプレゼン力にしても上手な様に感じました。これはこういったスタートアップイベントがまだ数少ない事も関係しているように思います。

ピッチ企業のビジネスアイディアとして圧倒的に多かったのが、売り手と買い手をネットで繋げるマーケットプレイスのアイディアです。正直目新しさや技術的な新しさを感じるものは少なく「タイの◯◯」「インドネシアの△△」といったような欧米のサービスのコピーのようなものが多い印象を持ちました。

ただその中でも、東南アジアの問題解決に特化しているサービス(例:フィリピンの乗り合いバスのUber)や、例えばSMS(ショートメール)を利用するなどローテクながら現地のニーズに合わせたサービス(例:インドネシアのSMSベースでクライアントの依頼に何でも答えてくれるサービス)等が注目を集めました。

■圧倒的注目のインドネシア、これからのベトナム

イベントの規模ではインドネシアが圧倒的に大きく、サービスの成熟度ではタイ、ベトナムはまだこれからという印象を持ちました。特にインドネシアのTech in Asiaの熱気は物凄く、日本の同イベントの倍以上の人が集まっていたようです。投資家の注目も東南アジアの中でインドネシアだけ別格のようで、世界4位の人口を背景とした市場の潜在性への注目は極めて高いものでした。逆にベトナムなどはコンテストの優勝が「可愛い形で製造できる天然ココナッツのメーカー」だったことからも、まだ競争のレベルは高くなかったように感じます(当社はこのココナッツメーカーに負けたわけですが・・)。

当社は3つのコンテスト全てで優勝を逃しました。多くの審査員や投資家の方々などからアドバイスをいただいたように、足りなかったものは多くありますが、特に足りなかったのは「サービスが大化けする潜在性」ではないかと感じています。市場が成熟していない分、東南アジアのスタートアップへの期待はその潜在性にあると感じています。当社のピッチにはこの点が欠けていました。

ただ一方でこれらのイベントに参加することで、自社サービスへの可能性を感じることもできました。アジアの熱気に揉まれながら更に一層精進していこう、というモチベーションが得られたのが一番の収穫かもしれません。アジアの中で意味のあるサービスを提供できるよう更に奮闘したいと思います。

【関連トピックス】
■知っている日本人は「安倍首相」と「小澤マリア」。日韓ドラマの差が与えるベトナムビジネスへの影響(黒川賢吾 経営者)
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黒川賢吾 株式会社Asia Plus CEO

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