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Facebook創業者のM・ザッカーバーグ氏の寄付は「いい話」でもなんでもないという現実

目茶苦茶なことばかり言っているようで、たまにハッとさせられるような本音が飛び出したり意外な事実が示されるので、平日の夜9時から生放送しているMXの「バラいろダンディ」は大好きな番組だ。ここまで本音でゲストたちが語り合い、言いたいことを言える番組は、今のキー局にはない。

認知科学者として世界で活躍している苫米地秀人先生。毎週木曜日のレギュラーコメンテーターを務めてくれているが、彼が昨日の放送で話した内容も他のテレビ局では全く触れられていない面白い話だった。

Facebookの創業者、若きトップリーダーであるマーク・ザッカーバーグ氏。

2人目の子供・娘が生まれ、彼は二つの宣言をした。一つはこれから2か月間、育児休業に入る、ということ。そして、自身の持っている株式99%を事実上寄付し、世界の教育に役立てたい、ということだ。彼の保有する株式の時価総額は日本円で5.5兆円あるという。

ええ!?5・5兆円もポン、と寄付するの!

すごい!さすがFacebookの創始者!

テレビやネットでは賞賛の嵐。あまりの気前の良さに、スタジオも称賛の声が吹き荒れた。

「これはすごい!」
「5・5兆円寄付しても、きっと金に困らないからだろうね!」
「娘さん、大人になったら誇らしいよね、きっと!」

最後に話を振った苫米地先生が、淡々と話し始めた。

「いえいえ、こんなの、アメリカじゃ当たり前の話で、美談でもなんでもないですよ」

あまりにあっけなく話す苫米地先生に皆が驚く。何を言い出すんだ?寄付したのよ?5兆円も!

話を聞くと、何のことはない。そう言えば、私も昔聞いていた話だった。そして、そんなことも金額の大きさに惑わされ、忘れていた自分に情けなくなった。

苫米地先生いわく、アメリカでは、相続税が40%とられるはずなので、マーク・ザッカーバーグ氏の資産を計上すると、2兆円以上を支払わなければいけないという。しかも、ほかの税ももろもろ計上されてしまい、5・5兆円の株式資産があります、と言ったところで、実は手元に残るのは2兆円ほどと試算される、と。

しかし、創業者が自身の保有する株式を全部お金に換えてしまえば、価格崩壊が起き、会社は成り立たない。

何を言ってるか分からない?

要は、たった今、もし仮にの話だが、マーク・ザッカーバーグ氏が何らかの不幸に見舞われ、死亡したとしよう。生まれたばかりの娘は大量に自動発生する相続税を「事実上」支払うことができず、何にもできないままに「破産してしまう」可能性がある、というのだ。

ではそれを回避するにはどのような方法があるのか?

その回答の一つが今回のマーク・ザッカーバーグ氏のとった行動である。要は「寄付する」という名目で「新しい団体」を設立してしまうのだ。アメリカにはドネーション(寄付)文化が根付いている、という話が所々で聞かれるが、私もアメリカで生活して実感したことだが…これは寄付だけではない。

簡単に言ってしまえば、「節税対策」なのだ。

大量の資産を保持する人間は社会貢献のために「寄付」という形で何らかの「団体」を設立する。すると、あくまで社会に対する「寄付行為」でしかないので、その金額に該当する税金が免除されるという仕組みだ。なので、アメリカの多くの富豪たちがドネーションを行うのだが、実態はただの節税対策だったりするのが実態なのだ。

話をザッカーバーグ氏の件に戻そう。

このままでは、生まれたばかりの娘に、大変な税金が発生してしまうが、創業者の株式を税金を納付するためにそこまで一気に売却などできない。しかも、その金額が、2兆円以上ときたもんだ。
そこで、「世界の教育に役立てるため」とか何とか言って「慈善団体」を設立する。そこで、なんの仕事をしなくてもいいので、ザッカーバーグ氏本人や生まれたばかりの娘を…

役員として登録する。

すると、5・5兆円は入ることはないが、5・5兆円の基金の「利子分」は自分たちでお小遣いとして自由に動かすことができるようになるというからくりだ。もし預けた銀行の利息や何らかの運用で2%のゲインがあったと仮定しよう。5・5兆円の2%だ。

1100億円だ。

なんと、生まれたばかりの彼女の手元には、毎年、利息だけで1000億円以上のお金が転がり続けてくるのだ。この利回りが4%だった場合、年間2000億円以上だ。もはや、国でも運営してくれ、の世界である。

単純に「世界の教育のための、子供たちのための団体を作ってそこに寄付します」と言われると惑わされがちになるのだが、これはアメリカでは富豪たちが意外と誰でもやっているレベルの「ただの節税対策」だったりする。

スケールがでかいというか、なんと言うか…。ただ、私もキャスターやってる以上、一方的に賞賛するのではなく、その裏側にあるものもちゃんと見なければいけないなぁ…と反省した、昨日の放送だった。
苫米地秀人、さすがである

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