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ピカソはベジタリアン、というネットの落とし穴。

ちょっと前に、ふとした拍子から「ベジタリアン」について検索してみたことがあった。そうしたら、「ピカソがベジタリアン」という話が出てくる。

え?と思ったのは、そもそもピカソのパワフルなイメージにベジタリアンというのがピンと来ないからだ。彼は、女性関係も派手だったし、いかにも「肉食系」だ。

また、以前見たドキュメンタリーで晩年のピカソを知る肉屋が語っていたのだが、その時に「牛の睾丸」が好物だったと話していた記憶がある。ああ、なるほどなと感じたのだ。その方がベジタリアンよりも、遥かにイメージ通りだし。

そっちで調べると、このようなブログ記事もある。たしかに、2011年のNHK-BSのようだ。多分、この時の記憶だろう。

そして、このネット上に出てくる「ピカソがベジタリアン」という話だがどうも怪しい。出典がなにもわからないし、そういう記事を辿っていくと「低速ジューサー」を売るための企画だったりする。

ベジタリアンになれば健康で賢くなれる、という煽りの中でいろんな人が「有名なベジタリアン」を探しているようだ。そして、「ピカソがベジタリアン」というのは、とある人のインタビューでの発言が元になっているらしい。

それは2009年の市川海老蔵のインタビューで、そこで彼はこう言ってるらしい。

報知新聞2009年1月6日のインタビューで、「ダ・ビンチとかピカソとか、尊敬する人にどうも菜食が多い」と言ってたようだ。(ウィキペディアより)で、彼もそうしていたらしい。(今は知らない)

どうも、これが根拠のようだが、これ以上わからない。「ピカソ 肉」で検索すると同名の焼肉が出てきて、英語で検索してもピカソ美術館近くのカフェのベジタリアンメニューの話とか。もう、世界どこでもどれだけ食い物好きなんだよ、グーグルは。

というわけで、この真相を知ろうと週末の夕方、暗くなっているのに図書館まで行ったのだ。

普通の伝記では私生活はあまり書かれていない。そこで頼ったのがフランソワーズ・ジローの「ピカソとの生活」(新潮社:1965)だ。彼女はピカソと長い間生活をともにして、子どもを産んでもいる。300頁を超える本をダッ~と読んで、食事にまつわる場面を見ていく。

すると、いきなりソーセージを食べる場面が出てくる。その後も、ソーセージは出て来るし、子羊のディナーに友人から呼ばれて焼き加減を気にするエピソードが書かれている。

これを読む限り、「ピカソはベジタリアン」というのは、ちょっと違うのではないか。もしかしたら、後のそういう時期があったのかもしれないが。

いずれにせよ、この話が出てきた理由は海老蔵のインタビューに理由があったと思う。海老蔵が誰から聞いたかは知らない。まあ、カン違いしてベジタリアンになって、それで好調ならまあ別にいいんだけど。で、とにかくそれがネットで拡散した。

そして、あらためて思うけどネットに書かれていることってアヤフヤだなと。特に健康関連の商品売りたい人が、自分の都合のいいように情報を集めてくる。たぶん、これからもベジタリアンにされる偉人は増えていくんだろうな。

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