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ナチスを髣髴とさせる茨城県教育委員の問題発言。障害者は生まれてはいけないのか?

これは問題発言だろう。

茨城県教育委員会の長谷川智恵子氏の発言だ。

障害を持った子供が産まれてくる前に、事前に中絶、要するに殺してしまえという発言だ。中絶は殺人なのかという問題は、重要な問題で、今、考察を深めている最中だから、ここでは詳しく論じない。だが、この発言は看過できない。

「妊娠初期にもっと(障害の有無が)わかるようにできないのか。(教職員も)すごい人数が従事しており、大変な予算だろうと思う」

「意識改革しないと。技術で(障害の有無が)わかれば一番いい。生まれてきてからじゃ本当に大変」

「茨城県では減らしていける方向になったらいい」

金のかかる障害者は存在そのものが負担だ。だから、茨城県ではこういう人が減ればいい。生まれてきてからでは「処分」出来ないから、生まれる前に「処分」してしまえ、ということだ。

恐ろしい発言だ。よく、リベラルの人々が、他人を「ナチス」呼ばわりするが、この人物こそ、まさにナチス的な発想に基づいた危険思想の持主だろう。

ナチスは、ユダヤ人殺害に先駆けて、障害者、LGBTの人々を殺害した。

生きている価値がない劣った人間だというのが、その根拠だ。

「優生学」を信奉する多くの科学者たちも、ナチスの政策を支持した。

この問題は『逆説の政治哲学』で論じたから、詳しくは、そちらをご覧頂きたい。

 障害者殺害作戦は本部がティーアガルテン通4番地に置かれたことから、T4作戦と名付けられた。全国の病院にリストを提出させ、「生きている価値のない人間」を国家が決定し、ガス室で殺戮した。無邪気な子供たちにも例外はなく「灰色のトラック」が全国の病院をまわり、「生きる価値の無い人々」を無慈悲に連れ出し、殺戮した。

私が最も衝撃を受けたのは、一枚の写真に付されたコメントだ。

車椅子に乗った障害者と一人の健康的でハンサムな青年が映っている写真だ。

この写真自体は、別に驚くような写真ではない。

だが、そこに付された言葉が衝撃的なのだ。
 

「この立派な人間が、こんな、われわれの社会を脅かす気違いの世話に専念している。われわれはこの図を恥ずべきではないか」

恥ずべきなのは、こうした言葉を平然と使う側の人間であって、障害者に罪はない。

ナチスとは、本当に恥ずべき存在だったのだが、現在の日本でも、ナチスを髣髴とさせるような発言を平然とする人間が、「教育委員」として堂々としている。

過去への反省をいうならば、こうした問題発言を許容すべきではないだろう。

個人的な話で恐縮だが、障害者の問題は、小さいころから、よく考えていた。

私の叔父には重度の障害がある。自分で話すことも、歩くことも、食べることも出来ない。

小さい頃、疑問だった。何が楽しいのだろう?生きていて苦痛だけがあるのではないか?本当に小さい頃、色々考えた。

自分は将来、高校、大学に進み、友人と遊び、綺麗な女の子と恋愛し、いずれは結婚するだろう。美味しいものも食べるだろうし、美しい場所にも訪れるだろう。

だが、叔父は自分の意思で何も出来ない。小さい子供には、周りに世話ばかりかける存在としか思えなかった。

いっそのこと死んでしまった方が本人にも楽なのではないか?

今、考えると非常に残酷だった。この残酷な思想に基づいて、障害者を次々に抹殺したのがナチスだ。

今思えば、叔父の存在があるから、家族がひとつになれている部分が大きい。叔父は家族に世話になることによって、家族を家族足らしめている。平和で豊かな日本だから、そう悠長なことを言ってられると思うかもしれないが、それこそが日本のよさではないだろうか。

在日朝鮮人でも、障害者でも、LGBTでも、どんなマイノリティであれ、縁あって、この世に生を受け、日本に育ったわけだ。当然、生きる権利があるし、幸せになる義務がある。存在そのものが否定されてよいはずがない。全ての人が輝く日本こそが、私の誇る日本だ。決してナチスのように「生きる価値」を国家が決めるような国家であってほしくない。

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