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面白さをデザインする企業「面白法人カヤック」

経営とデザイン_カヤック

多くの人は会社経営や仕事を面白いものとは思っていない。そんな常識を打ち破るために数々の工夫を施しているのが面白法人カヤック(以下、カヤック)である。今回は、同社の代表取締役である柳澤大輔氏をゲストとして迎え、どうやって「面白さ」をデザインしているかを見ていこう。

●面白法人カヤックを設立するまで

柳澤氏は1974年に香港で生まれ、慶応義塾大学環境情報学部を卒業している。その後、ソニー・ミュージックエンタテイメントを経て、1998年に大学時代の友人3名と面白法人カヤックを設立している。大学時代は特にやりたいことがあったわけではないが、エンジニアとしての敬虔や広告業界での出版経験、カンヌライオンズの審査員経験を経て、最終的に会社の上場を目指して経営者を志している。

遊んでいる大学生でも就職活動を始めると真面目になり、そしてその行為や仕事は一般的には面白くないものとして捉えられている事が多い。「こうした風潮を無くして面白く働こう」という意味を込めてカヤックを起ち上げている。柳澤氏自身も、最近は面白く働きたいという企業が増えてきたと述べている。

キャッチコピー「面白法人」には3つのフェーズがある。まず第1フェーズとして「自分たちが面白がって働く」がある。そもそも自分たちが面白いと思えるような環境を作らなければならないことが意図される。次に第2フェーズとして「周囲からも面白いと言われる存在になる」が掲げ、自分たちだけでなく他人からも評価されるような制度作りを目指している。そして第3フェーズとして一連の取組みから「 人生が面白くなったという人を世の中に増やす」事が最大の目標となっている。

柳澤氏は、自身の得意技として、(1)組織づくり・面白社内制度、(2)クリエイティブディレクター、(3)ITによる地域活性化を挙げており、以下で紹介するようにカヤックでユニークな制度を多く生み出している。

●ユニークな社内環境・制度

柳澤氏は、「仕事とは評価そのものであり、評価が文化を作る」と言う。だから、面白い人を積極的に評価していけば、面白い文化が作られるという考えから、「サイコロ給」と「Net Promoter Score(NPS)」を導入している。このうち「サイコロ給」は、手当のみを毎月サイコロを振って決めるという制度で、給料に偶然の要素を持ち込むことにより、給料のみに拘る視点を無くす意図がある。

「NPS」は、半年に1回「楽しく働けていますか?」という質問を行うものである。この指標は業績次第の面もあるが、面白法人であるために人事部主導で社員が楽しく働くためにPDCAを回している。この質問に半数以上は肯定的な回答(10段階で7以上)を出しているが、9%は3以下の回答をしている。これについて柳澤氏は、自分に厳しい人や仕事で認められていない人もおり、全員が楽しいと答える企業の方が狂信的で不自然だと指摘している。

●つくる人を増やす

カヤックは、「つくる人を増やす」という経営理念を持っている。ものづくりでも街づくりでも会社づくりでも、「主体性をもった人が増えれば増えるほど、人も社会もHappyになる。面白くなる」という考えが込められている。客サイドにも作る人を増やして、サービスの向上の一旦を担ってもらい、「全員が作る人」になることを目標としている。

会社が大規模になるほど「全員が作る人」の実現は難しくなる。そこでカヤックでは「ブレスト主義」を取っている。カヤックの会議では全てブレインストーミング(ブレスト)を行い、面白コンテンツが生まれるような環境を作っている。ブレストによって社員間コミュニケーションが図れるというメリットもある。更に年2回、「ぜんいん社長合宿」というものも行っている。これは全社員がカヤックの社長になったつもりで会社の事を考える合宿で、社員が作る側の立場になることで、会社の一員としての自覚が出てくるという。ブレストを行うと良いアイデアを出せる人が明確になる上、出せない人でもルーチンワークの中で業務を工夫していく姿勢が身についているという。

ブレストの結果、「ぜんいん人事部化計画」という施策が採用されている。採用スピードを上げるために、名刺に「人事部」と記載し、書類選考免除のファストパス、雇用許可のラストパスを社員に与えるものだ。採用コストを3割減らす事に成功し、この成果を積極的に発信して世の中に広めていく工夫もしている。この施策は2014年日本の人事部「HRアワード」企業人事部門を受賞している。

●「面白い」の持続

「面白い」ものは寿命が短いので、常に面白いものを生み出し続ける必要がある。柳澤氏も40代であり感覚が古くなってきている可能性も意識しており、適切な後継者を見つける事に苦労しているようだ。カヤックはコミュニティサイトを作る事を得意としており、ART-Meter(絵画の測り売りサイト)を東急ハンズに、Koebu(音声投稿コミュニティ)をサイバーエージェントに等、売却事例もある。

また、失敗する時は出来るだけ速く失敗・撤退するようにしており、その事例(YUREX、SMILE DOG、ポケットフレンズコンチ等)は全てサイト上に公開されている。

● 経営のデザイン

柳澤氏は、経営者として一番大事な事は「伝えること」だと述べている。言葉が最重要だが、ヴィジュアルを提示する方が良い場合もあるという。かつてはエンジニアが作ったものにデザインを施していたが、現在はデザインからエンジニアが実装するケースも増えている。地域貢献をしている若者が増えており、新卒と話をしていても働く事についての考え方が変化しつつあると感じているようだ。こうした実情から、働き方のデザインも含めて考えていかなければいけないとも述べている。

坂井氏は、カヤックの方針は色々なモノを作り出すことであり、これは「自由と寛容と合理主義」であると指摘する。マザーズへの上場によってプライベートとパブリックの間で面白くなくなる危惧もあるが、柳澤氏は、「株主という仲間が増え、より楽しくなったとも言える」と述べている。

カヤックは現在も尚、多くのコンテンツを生み出し続けており、現在は得意とするGVG(多人数対人数の対戦)のスポーツ・ゲーム「ポケットフットボーラー」を提供している。これは「仲間と最高のオンラインゲームができる」事をコンセプトとしており、「面白法人」の3フェーズのように、自社だけでなく世の中を面白くする事にも積極的だ。

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