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安保法制に劣らぬ“おにぎり”の平和力

どうも新田です。おにぎりはサケと昆布が好きでございます。

※食関連の企業が多数コラボレーション参加
おにぎり
ところで、編集長になってから初めての記者会見ということで、NPO法人「TABLE FOR TWO International」(以下TFT)さんの「100万人のいただきます!」キャンペーンを取材してまいりました。私のようなドメスティック人間は途上国の食糧問題みたいなことに関心を持つほど奇特ではないのですが、実際に話を聞いてみるとソーシャルビジネスの動向や、安全保障との関連を考えさせる機会になって非常に面白かったんですよ。

■「TABLE FOR TWO」って何?

NPO界隈では、TFTさんは2007年設立で、すでに有名らしいんですが、私のように知らない方もいるので、そもそもの話からご紹介しましょう。「食」を巡る社会課題は恐ろしいくらいの二極化でして、先進国はメタボとか「飽食」に悩み、アフリカあたりの途上国は「飢餓」に苦しんでおります。これまでの社会啓発運動で別々にアプローチをしていましたが、TFTは両方の解決を目指すところが新しいところ。

要は、先進国のメタボなおっさんのカロリーを、途上国のガリガリ少年に差し上げれば一挙解決ですが、脂肪を削って海の向こうまで差し上げるわけにもいきません。具体的には、協力先の企業や大学の食堂でカロリーを抑えた指定メニューを食べてもらい、その1食の代金に寄付金20円が含まれています。たかが10円玉2枚とはいえ、途上国の給食1食分の価値に相当し、これを現地の給食費支援に充当するというのがTFTの“メタボも飢餓も解決”するスキームなわけです。まあ、図解するとこんな感じです。
Tablefortwo-scheme
シンプルですが、なかなか思いつきそうで思いつかないのがビジネススキームの妙味。やはり、昨今流行りのビジネス経験者によるソーシャルビジネス参入でございまして、代表理事の小暮真久さんはマッキンゼー出身。記者会見に登壇した安東迪子さんは商社で食材の輸入業務を経験と、ああ、さすがだなと思います。今では、680の企業・団体が参加し、活動自体も欧米アジアなど14か国で展開しているそうです。

■“おにぎり”で世界を変える!

本日の世界食糧デーから始まる「100万人のいただきます!」は、まさに強化月間的にTFTの活動を推進するキャンペーン(11月末まで)。2012年からは目標を連続達成し、昨年は166万人が活動に参加して寄付をしました。ただ、メニューや食材は色々あったようなのですが、今年日産からTFTに転職してきたマーケ担当の大宮千絵さんが「1つに絞ったほうが(参加者に)伝わりやすい」と提案。「日本の食で世界の形を変える」をコンセプトに日本人のソウルフードである“おにぎり”を題材に選定したそうです。キャンペーンには、店頭やネット販売で「食べる」ことでも、あるいはスマホでおにぎりを食べるところを「撮って」特設サイトに投稿することでも参加することができます。

なお、この会見写真にある、いかにもこの日のため的なゆるキャラは千葉県多古町から遠路はるばるやってきた「ふっくらたまこ」さん。コメどころである町の役場も協力しているわけですが、この日は、オイシックスや大丸・松坂屋、楽天など協力企業の皆さんも駆けつけておられました。
onigiri-photo

■侮れない「食」の力

それにしても、TFTの会見を聞いていて印象的だったのは、支援先の学校では給食をきっかけに子供達が学校に来るようになるという話です。日本でも明治維新の頃の義務教育導入当初を振り返ればわかりますが、貧困を抜け出すために教育や学校は重要とは思っていても、いざ実行フェーズとなると、学のない親たちにとっては、弁当の心配はさせられるわ、畑仕事の担い手を持って行かれるわで、学校に通わせるメリットがわかりません。そもそも食事も満足に取れない地域もある中で、安定的に給食を食べられる環境が確保されることで「学校に行けば飯が食えるぞ」となって子供たちも喜んで来るし、親も弁当の心配もなくなるというわけです。

実際、タンザニアの村では、就学率や出席率において目覚ましい成果を上げているわけですが、いやはや「食」の力は侮れませんね。
食の効果
貧困から脱出するきっかけとして教育レベルの底上げが重要というだけではありません。国によっては、貧困や格差を放置し続けると、治安の悪化、政情不安を招きかねず、イスラム原理主義勢力なんかがのさばって独裁テロ国家ができたら、日本など先進国も無関係でいられません。同時多発テロの折、アルカイダが拠点にしていたアフガニスタンについて、「もっと早く支援していれば」という声がありましたね。

■「食」の視点からの安全保障

安全保障体制の構築というのは、軍備や軍事同盟などハードパワーの強化も必要ですが、外交による相互理解の促進や、国際機関やNGOによる社会問題解決などのソフトパワーの充実も車の両輪で進めていかねばなりません。日本は集団的自衛権が限定的に認められるようになったといっても、やはり後者のところでやれることはたくさんあるはずで、それこそ“おにぎり”に象徴される「食」の視点から安全保障を構築する視点がもっと重要視されてもいいのではないか、と、この日の記者会見を取材していて思いました。

それにしても、国会前で「安保反対」などと叫んでいた人たちは、ソフトパワーが大切と言っている割に政治運動ばっかりやっているわけですが、本当に日本や世界の平和を願うなら、運動に消費しているエネルギーを、NPOやNGO活動とかに使った方が実践的かつ生産的じゃないでしょうかね。マジでそう思います。ではでは。

新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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