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ジョブズ氏は無慈悲か、映画の人物像巡り議論

米アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏が死去して4年が過ぎたが、新作映画が同氏の「レガシー(遺産)」を巡る議論を再燃させている。

 ジョブズ氏の妻、ローリーン・パウエル・ジョブズ氏を中心とする一団は、新作映画「スティーブ・ジョブズ(原題)」を含む最近の描写がジョブズ氏の偉業を軽視しており、同氏を残酷で無慈悲な人間として描いていると述べた。事情に詳しい関係者によると、ローリーン氏は何度も映画を差し止めようとしてきた。同氏は特に米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)と米CATV最大手コムキャストを中心にロビー活動を展開したという。SPEは脚本を手がけたが資金不足で映画制作を手放し、コムキャスト傘下のユニバーサル・ピクチャーズは制作費3350万ドル(約40億円)を投じて制作した映画を9日にリリースする。

 この映画の制作には「スラムドッグ$ミリオネア」の監督を務めたダニー・ボイル氏、「ソーシャル・ネットワーク」の脚本家アーロン・ソーキン氏などが参加しているが、彼らはそれが創作上の特権の範囲内にあると述べた。

 映画はウォルター・アイザックソン氏が執筆し、ベストセラーとなったジョブズ氏の伝記に基づいている。ジョブズ氏はアイザックソン氏の執筆活動に協力的だったが、ジョブズ氏の友人や同僚の中には最近になって伝記を批判する人が出てきた。この批判者の中には、アップルの現最高経営責任者(CEO)であるティム・クック氏も含まれる。

 映画「スティーブ・ジョブズ」の関係者は、ローリーン氏に映画制作に関与するよう申し出たが、同氏が断ったと話した。

 プロデューサーのスコット・ルーディン氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の取材に対し、「繰り返し嘆願したにもかかわらず、彼女は自分を嫌な気持ちにさせたアーロン(ソーキン氏)の脚本について一切の議論を拒否した」と電子メールで回答した。ルーディン氏によると、ローリーン氏は「自分がどれほどその伝記を嫌っているかを繰り返し、その本に基づくどんな映画も正確でない可能性があると何度も述べた」という。

 ローリーン氏はこの記事に対してコメントしなかった。

 俳優のマイケル・ファスベンダーさんがジョブズ役を務めるこの映画では、ジョブズ氏が投入した3つの製品――1984年の「マッキントッシュ」コンピューター、1988年の「NeXT」、1998年の「iMac(アイマック)」――に焦点が当てられ、それぞれの場面で取られた行動に沿って内容が分けられている。

 映画ではジョブズ氏が才能豊かだが短気な人物として描かれているほか、同氏の生涯にとって重要な人物と時に張り詰めた関係になることに焦点が当てられている。ここでは共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏、マーケティング担当取締役のジョアンナ・ホフマン氏、ジョブズ氏追放後にアップルCEOに就任したジョン・スカリー氏、ジョブズ氏の娘であるリサ・ブレナン=ジョブズ氏などとの関係が登場する。

 ソーキン氏は映画に登場する人物に直接インタビューし、できあがった作品はアイザックソン氏の伝記とかけ離れたものとなった。例えば、伝記ではホフマン氏やリサ・ブレナン=ジョブズ氏はマイナーにしか扱われていない。ソーキン氏はインタビューで、「実在の人物について書くときには(中略)責任が大きくなる」と話した。

 映画制作会社によると、「スティーブ・ジョブズ」では現実に忠実というよりも題材を印象的に描くことを意図しているという。ボイル氏は「真実は必ずしも事実にあるのではなく、感覚に(も)ある」と述べた。

By BEN FRITZ and DAISUKE WAKABAYASHI

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