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知財計画:ネットとアーカイブの政策は

知財計画2015。
コンテンツの最重点施策は海外展開ですが、国内施策として挙げられたのは「テジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」と「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」です。

「デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備」には、以下の施策が並びます。
・権利処理の円滑化に向けた集中管理の促進)
・持続的なコンテンツ再生産につなげるための環境整備
・新しい産業の創出環境の形成に向けた制度等の検討
・教育の情報化の推進
・公共データのオープン化・二次利用の促進

座長としてはどれも重要なのですが、個人として特に注目する点は2つ。

まず「新しい産業の創出環境の形成に向けた制度等の検討」として、下記が示されました。
  インターネット時代の新規ビジネスの創出、人工知能や3Dプリンティングの出現などの技術的・社会的変化やニーズを踏まえ、知財の権利保護と活用促進のバランスや国際的な動向を考慮しつつ、柔軟性の高い権利制限規定や円滑なライセンシング体制など新しい時代に対応した制度等の在り方について検討する。(短期・中期)  (内閣官房、文部科学省、関係府省)
角川歴彦さんのイニシアティブでぼくらが関わって、未来の知財問題を考える「IP2.0」という議論を続けていたものを、政府が正規に認知したのです。IoT、ウェアラブル、インテリジェントに代表される「スマート後」の潮流をとらえ、新しい枠組みの政策論が必要だということ。
ぼくが知財本部の座長を務めるようになった5年前には、コンテンツの範囲を広げることに力を入れました。エンタテイメント産業に絞られたコンテンツ政策を、「みんなのコンテンツ」に広げるということです。

個人の作るコンテンツ、UGCもあれば、教育・医療・行政など非ビジネスのパブリックなコンテンツもあります。行政の対象としては、エンタメという産業以上に、パブリックや個人を対象とする基盤整備がより重要であり、その重要性がスマート化でますます高まってきました。ここ数年、教育情報化やオープンデータなどにも知財計画の対象が広がってきたのはその結果です。
それがまたしても広がります。ネットで生み出す「モノ」もコンテンツとなり、AIが生み出す情報もコンテンツとなります。その時代の政策テーマは何か。まだ答えはありませんが、そこに踏み込む態勢を整える政府の姿勢が表れたということです。


もう一点は「教育の情報化の推進」。今年は以下の記述となりました。
  デジタル化した教材の円滑な利活用やオンデマンド講座等のインターネットを活用した教育における著作権制度上の課題について検討し、必要な措置を講ずる。(短期・中期) (文部科学省)
  デジタル教科書・教材の位置付け及びこれらに関連する教科書検定制度の在り方について、2016 年度までに導入に向けた検討を行い結論を得て、必要な措置を講ずる。当該検討を踏まえつつ、関連する著作権制度等の在り方についても併せて検討を行い、速やかに結論を得る。(短期・中期) (文部科学省)
  教育現場において ICT を利用するに当たり、学校間、学校・家庭が連携した新たな学びを推進するための指導方法の開発、端末やシステムの設置にかかるコスト、教材・学習履歴の保存・保護・活用の在り方等の課題の解決に資するため、クラウド技術等を活用した実証実験を引き続き実施する。(短期・中期) (文部科学省、総務省)
文科省がようやくデジタル教科書を正規化する検討会を始めたこともあり、より踏み込んだ施策となっています。著作権の課題と、学校教育法・検定制度の課題、そしてクラウド等の新テーマをそれぞれ解決するというもの。力強く対応願います。


「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」は以下の項目。

アーカイブ間の連携・横断の促進
・統合ポータルの構築
・関係省庁等連絡会及び実務者協議会(仮称)の設置
・分野ごとのアグリゲーターによる取組

アーカイブ利活用に資する基盤整備
・アーカイブの構築と利活用の促進のための著作権制度の整備
・利用に係る著作権者の意思表示
・目的に応じたポータル構築環境の整備
・アーカイブ関連人財の育成
・地方におけるデジタルアーカイブ構築支援

 このうち、ぼくが注目するのは、分野ごとのアグリゲーターによる取組として以下が明記されたことです。
  書籍等分野については国立国会図書館、放送コンテンツについては放送番組センター(日本放送協会(NHK)と民放局両方のコンテンツを取り扱う)及びNHK(NHK のコンテンツを取り扱う)、映画、ゲーム、アニメなどのメディア芸術分野や文化財については中核的なアーカイブ拠点がないため当面の間文化庁において、収集対象の選定やメタデータ形式の標準化などのアーカイブ構築の方針の策定等、分野内のアーカイブ機関における収蔵資料のデジタル化への協力、メタデータの集約化を行う。(短期・中期) (国立国会図書館、文部科学省、総務省)
 書籍、放送、映画、ゲーム、アニメの担当責任を明らかにしたものです。こういう文書は委員や事務局が勝手に書けるわけではありません。とりまとめるには、関係省庁及び関係機関との間で調整・説得があり、了解が得られたもののみが政府の公式文書となります。
 その背後には大変な作業があります。例えば書籍等は国立国会図書館、とありますが、国会図書館は立法府に属するものであり、行政府が勝手にあれこれ言えるものではありません。でもここに書かれているということは、政府と国会との間での調整がなされたということです。
 政府関係部局及び関係機関の努力を多としつつ、実行を促したく存じます。

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