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集団が体制に依存するリスク

歴史的な観点から国の統治体制を見ると、長く続いた独裁者による専制政治は国民によって打倒され、民主主義へと変遷していった。それが膨大な犠牲の上に成立してきたという背景からか、現代における「民主主義」とは、絶対的な正義であり、史上最も進んだ統治形式であるという風潮がある。

もちろん、私も民主主義の方がよいと思う一人である。ただし、「よい」と言うのは、「好き」か「嫌い」か、で言うところの「好き」という意味であって、それが「優れている」か「優れていない」か、と聞かれたら、「専門家ではないのでよくわからない」と答える。

もしも私が公人であって、こんなことを発言したら大変なことになりそうだが、私が言いたいのは、どのような制度にも完璧なものなどなく、どのような崇高な理念や価値観にも、絶対的なものなどないということである。

同じようなことが、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)にも当てはまる。会社の重要な意思決定は取締役会という、いかにも民主的な多数決の場で決定され、そこに社外取締役も入れることで、より広く公正な判断ができるようになるとされている。

しかし、このような一見すると理想的な統治体制を持つ会社であっても、形式基準を満たしているだけで、実態としてはまったくのザルであることは珍しくない。オリンパスは社外取締役が積極的に不正に関与していたし、東芝の社外取締役(学者や元経営者)たちは、全く仕事をしていなかった。

上場企業の中には、より高度なガバナンス体制として、執行と監督という機能を分離させる「委員会等設置会社」を選択している会社もある。業務の執行をする執行役員とは別に、社長の人事を決定する「指名委員会」や、経営の監督を行う「監査委員会」などの独立委員会を設ける場合がそれにあたる。

ただし、この場合においても、例えば「指名委員会」のメンバーが、裏で糸を引く創業家から送り込まれていたという過去の事例がある。社長が高邁な欲求を満たそうとするために会社を私物化し、明らかに歪んだ意思決定を行っていても、指名委員会は何も言わなかった。

これとは対照的に、独裁的なリーダーが、会社を隅々まで監視し、規律ある緊張感をもたらし、企業価値を高めるために最良の意思決定を行い続ける例もある。ソフトバンクは、その典型例だろう。ガバナンス体制は最低な会社だが、結果的には他のどの会社よりも成功した。

結局、人の世というのは、制度や文言だけで、意図する結果を導くことは不可能に近い。「憲法にこう書かれている」と言って、国民が不幸になっては意味がないし、「社長の命令だから」と言って、会社が粉飾をしていてはお話にならない。

集団が得体の知れないものに盲目になり、一方向へ偏り始めた時、潜在的なリスクが増大している状態になる。国も、企業も、理想的なガバナンス(統治体系)に、絶対的なものはないということを、頭の片隅にいつも置いておきたい。

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