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JKなAIはセーラー服をまとう?

前エントリの関連にもなるが……

女子高生AIとして、LINEで稼働している「りんな」が、人気らしい。
その「りんな」は、中国製だと中国メディアが主張している。

サーチナ|女子高生AI「りんな」は中国育ち?・・・「人工知能サービスを日本に輸出したぞ!」と中国メディアが豪語
「りんな」について、記事はは日本メディアから「神秘的な女子高生AI」などと高い評価を得ていると伝えたうえで、多くの日本人ユーザーが「りんな」との会話を楽しんでいると紹介した。 さらに記事は、「りんな」のアルゴリズムは中国に存在するAI「小冰(シャオビン)」の技術プラットフォームに沿って造られたものだと主張、「中国産の人工知能が初めて日本市場を攻めることに成功した」と伝えた。なおAI「小冰(シャオビン)」は北京にあるマイクロソフトの研究機関・微軟亜洲研究院(MicrosoftResearch)が研究開発し、14年の5月に公開された。

(中略)

人工知能の分野においても、中国の開発力や技術力は世界有数であると主張し、中国の技術者たちが開発したAI「小冰」がもとになった「りんな」が日本で成功を収めたことは「中国が日本に人工知能サービスを輸出したと言い換えることも可能」と主張した。

そりゃまあ、中国のMicrosoft研究所が開発したから、中国製といいたくなるのはわからないでもないのだけど、それをいったら、中国で組み立てているiPhoneだって中国製なのだから、Appleは中国のメーカーだというかね?
そうじゃないだろ。
Microsoftを創業したのが中国なら、その主張は筋が通る。しかし、資本や技術はMicrosoftが投入していて、それを使って中国の技術者が開発したのであって、純中国製というわけではない。
中国の技術者が関与したことは事実だろうが、北京のMicrosoft研究所内で、どういう取り組み方をしたのかの情報はわからない。アイデアを出したのは誰なのか、主導的な立場にいたのは誰なのか、基礎技術は誰が開発したのか……など。そのへんを、もっと突き詰めて欲しいね。

りんな」に関する記事は以下。

女子高生AI「りんな」の正体が明らかに日本マイクロソフトが提供 - ねとらぼ
「りんな」は、マイクロソフトが提供する検索エンジン「Bing」で培ったディープラーニング技術と、機械学習クラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせることで生まれた人工知能。「おしゃべり好きな女子高生」という設定で、日常会話や雑談などからユーザーとの感情的なつながりを築くことができるとしている。

この記事によれば……
「Bing」で培ったディープラーニング技術と、機械学習クラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせることで生まれた人工知能。
……ということで、「Bing」は2009年6月から、「Microsoft Azure」は2010年1月から正式サービスを開始し、「Azure Machine Learning」は2014年11月からサービスが提供されている。
「小冰」の公開が2014年5月ということだが、それまでにMicrosoftが蓄積した技術が投入されているのは必然だろう。いきなり「小冰」が登場したわけでもない。また、百度(Baidu)傘下から出てこなかったところがミソでもある。

関連記事の2つ目。

話題のAI女子高生「りんな」とLINEでチャットしてみた | ITトレンド・セレクト | 現代ビジネス [講談社]
「りんな」の会話能力が今一つ冴えない理由は、彼女の出自にあるのかもしれない。りんなは実は中国生まれではないかと筆者は考えている。

(中略)

「小冰」のキャラクター設定は「聞き上手で、ユーモアのセンスに富んだ女性」で、彼女に向かって多くの若者たちが「日々の悩み」や「仕事の辛さ」などを打ち明けることによって癒されているのだという。その背後にある技術は、やはりディープ・ラーニングだ。この辺りの共通性から見て、「りんな」は恐らく中国の「小冰」をベースにして、あるいは相当参考にして作られた日本語チャット・サービスではないかと推測される。

この記事が書かれた時点では、Microsoftが「りんな」について正式表明していなかったので、推測記事になっている。
(注)記事の掲載日は8月13日だが、正式発表は8月7日。記事の執筆は、発表以前だと思われる。
あえて、出自を問うのであれば、「アメリカ生まれ中国育ち」というところだね(^_^)。
記事の著者の小林雅一氏は、続くコラムで以下のように書いている。

ディープ・ラーニングがぶつかった分厚い壁---最先端のAIでも、人間のように言葉を操ることはできない! | ITトレンド・セレクト | 現代ビジネス [講談社]
マイクロソフトが開発したAI女子高生を「りんな」を取り上げた。現在、その会話能力はお世辞にも高いとは言えないが、今後とも劇的に改善することは(少なくとも当面は)ないだろう、と述べた。

筆者がそう予想する理由は、「りんな」の基盤技術である最先端AI「ディープ・ラーニング」が今、分厚い壁にぶつかっているからだ。

(中略)

今のところディープ・ラーニングが自然言語を処理する能力は、同類の単語やセンテンスを確率的に分類することだけだ。

(中略)

現在のディープ・ラーニングはどれほど贔屓目に見ても、人間と同じように言語を理解しているとは言えない。私見だが、画像・音声認識のような単なる知覚能力と、「言語を理解して操る」といった高次の知的能力との間には、途方もなく広くて深い谷が横たわっているのではあるまいか。

その「深い谷」を「知性の谷」と呼ぼう。
りんな」との会話が成立しているように見えるのは、関連性の高い単語が返答されているからで、そこに女子高生の人格を付与しているのは、人間の想像力なんだ。センテンスの短い会話だから、足りない部分をチャットするユーザーが想像力で補っている。だから、多様な言葉を操り高度な議論をすることはできない。
逆にいうと、短いセンテンスのやりとりで女子高生らしさを出せてしまうのは、イメージとしての女子高生がいかにおバカかということでもある(^_^)。不完全な会話しかできないから、女子高生キャラに設定したのは正解だったともいえる。
キャラクター設定として、「りんな」ひとりに限定する必然性はないので、天然やツンデレなどのキャラ設定をいくつも作れば、バーチャル恋人の完成だ。女性キャラだけでなく、男性キャラだって作れる。
チャットレベルの短い会話なら、アラも目立たないのでいいのかもしれない。的外れな返答は、逆に面白いということにもなる。

しかし、「知性の谷」を超えるのは、まだまだ先だろうね。

関連記事→「人工知能は人間を超えられるか?

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