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「脱毛エステ最大手」ついに「経営破たん」:刑事事件に発展も - 内木場重人

女性専門脱毛サロンで最大手の「ミュゼプラチナム」(以下「ミュゼ」)の商法に問題があり、経営も危機的状況にあることはこれまで2度報じてきた。

「『医師法違反』の声もある『脱毛エステ』疑惑の商法」(2015年5月21日)「『脱毛エステ最大手』に浮上した『経営危機説』『健康被害隠蔽』」(2015年6月19日)

その運営会社である株式会社ジンコーポレーション(以下「ジン社」)がいよいよ経営破たんに陥り、すでに事実上の「任意整理」に入った。ミュゼをはじめこの種のサロンは高額の「前受金制度」が常識であるため、融資銀行団の判断如何では、240万人という業界最大規模の会員らに前受金が返金されない事態になりかねず、社会問題化が懸念される。さらには、場合によっては刑事事件にも発展しそうな問題まで指摘されている。

巨額の未払い金

そもそもジン社の資金繰り悪化は今年4月から露見し始めていた。その煽りで全従業員の夏のボーナス支給が見送られ、毎年恒例の高額社員旅行も中止になったことは前回記事で指摘した。

が、“被害”はすでに取引先にも及んでいた。巨額の未払い金が発生していたのだ。

「7月末、大手広告代理店『電通』の経営陣からジン社の髙橋仁社長が呼び出され、未払い金の早期返済と取引停止を通告された」(ミュゼ関係者)

8月末時点での未払い金は約20億円と言われているが、その繰り延べは4月から始まっていた。まず4月末時の残債約7億円を5月末に繰り延べ。さらに5月末時の約13億円を6月末に。6月末時の約16億円のうち7月末に4億円のみ支払ったが、7月末時には残債が約24億円に膨れ上がり、8月末に返済できそうなのは4億円のみで、残り20億円は返済のメドがまったくつかない状況なのだという。

「全国の店舗に毎月末には配布されていた折り込みやポスティングのためのチラシが、8月に入っても届かない。おかしいと思っていたら、結局8月はゼロでした」(同)

折り込みだけでも5月約3600万枚、6月約3200万枚、7月2070万枚、ポスティングもほぼ同数作っていたが、8月は両方ともいきなりゼロ。すでにチラシを作る余力さえなくなっているのだ。無論、テレビCMや地下鉄車内などの広告も激減している。

「医師法違反」で「身売り計画」も不成立

ジン社のメーンバンクは創業以来の付き合いである常陽銀行だが、以下足利、三菱東京UFJ、東邦、七十七などの各銀行とも取引がある。

「今年3月、それら銀行団による4回目のシンジケートローンで13億円を調達した」(同)

が、それも火に油を注ぐ結果にしかならなかった。電通問題と同時期、髙橋社長は銀行団首脳らにも呼び出されたという。

「そこで問題とされたのが簿外債務。会員は契約時に複数回分の施術代を一括前払いするシステムで、これ自体は特定商取引法で認められた『特定継続的役務提供』で違法ではない。実際、エステや語学学校などでは一般的。ただし、クーリングオフや途中解約もできるから、その場合は残金を返金する必要がある。そのため、本来はこの前受金は売り上げに計上せず、施術回数に応じてその都度計上するのが普通。ところが同社はこれを一括売上計上している。返金=債務となるため、会計上は『簿外債務』と見なされる処理」(銀行関係者)

同社の売上は390億円(2014年8月決算)を誇るが、その多くが本来は簿外債務であり、銀行団は今回、そこを問題視したという。適正な会計処理をすれば累積簿外債務は軽く売り上げを超え、たちまち債務超過に陥るからだ。

「そこで銀行団は9月末までに再建計画と具体的な債務返済計画の提出を命じたところ、髙橋社長は返済猶予を願い出たが当然拒絶され、窮したあまり“身売り計画”まで提示したといいます」(同)

実際、M&Aに詳しい弁護士によれば、ある外資系投資会社と飲食事業会社などに打診があったという。

「が、いずれもビジネスの根幹に医師法違反の疑いがあるため、不成立に終わったようです」

すでに世界最大の会計事務所の日本法人であるPwC社が、7月からジン社内の会議室にスタッフを派遣し、常駐。これら簿外債務の実態と資金能力などを精査し、9月末までに銀行団に返済計画を提出することになっている。つまり、経営破たんした会社が不渡りなどによる倒産を事前回避するために行う「任意整理」の段階に、すでにジン社は入っているわけだ。

不透明な個人借入金

では、この「任意整理」でミュゼは生き残れるのか。状況は、かなり厳しい。

「シンジケートローンは銀行団の全行が同一条件、同一約定で融資する。つまり、1行でも反対すれば返済計画は成立しない。しかも、簿外債務が認定されれば即、約定違反になる」(企業財務に詳しい会計士)

任意整理が不成立に終われば、倒産。その場合、会員1人数十万円以上の前払い金も返済されない可能性が高い。そうなると、かつての英会話学校のような騒動に発展するだろう(「NOVA」では前払いの受講料を返金できずに訴訟沙汰になったり、従業員への給与未払いで労働基準監督署から是正勧告も受けた。さらに社員積立金の流用も発覚し、当時の社長は業務上横領で逮捕され、実刑判決が確定している。ちなみに、ジン社の場合、中止になった社員旅行費用の大半は社員の積立金である)。

そればかりではなく、不穏な指摘もある。

「髙橋社長は会社から個人で借入金があり、その額は3~4億円と言われている。その使途が分からないと財務担当部門でも頭を抱えている」(同社関係者)

髙橋社長は海外出張も多いらしいが、

「イタリアには、同社が使用している脱毛機器(DEKA社製)の本社があるので行くのも分かるが、アメリカはうちの支店もないし行く理由が分からない。カジノにはまっているからだと幹部が嘆いていました」(同)

会社からの借入金でカジノにのめり込み、挙げ句100億円以上もつぎ込んで返済できなかったため、会社に損害を与えた特別背任で摘発された大王製紙創業家3代目のケースもある。髙橋社長が十数頭の競走馬を所有していることは有名だが、現在のところ、トータルでは購入費用に対して獲得賞金が下回っており、投資としての効果は得られていないという。無論、個人資産からの捻出であれば何の問題もないのだが……。

さらに、社内で髙橋社長と特別な関係だと見られている30代前半の美人女性社員についてこんな声もある。

「社長の出張で、他の同行者は別なホテルなのに彼女は社長と同じホテルに宿泊することもある。彼女は渋谷区の高級賃貸マンションに住んでいますが、家賃は60万円以上。普通のOLが払える額ではない。こうしたこともこの際、徹底的に調べてほしい」(同)

PwC社のデユーディリジェンス(財務調査)では当然、それらも含めて徹底的な調査がなされるだろう。万が一不正な点が発覚すれば、刑事告発という動きにもならざるを得ない。ジン社は筆者からの一連の取材申し込みに対し、一貫して取材拒否。沈黙のまま、事態は最悪のときを迎えようとしている。

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