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VIX指数が示唆する「この先、まだまだ荒れるぞ~」 チャイナショック下の荒れ相場

今回の世界的な株価急落はチャイナ・ショックと呼ぶのが良いだろう。

中国経済の失速というじわじわ続いていたトレンドの上で起こったことであるが、直近のニュースとしては8月21日に報道された8月の中国PMIが6年半ぶりの低さという報道だろう。

引用:

「【北京】中国の経済メディア「財新」と調査会社マークイットが21日発表した8月の中国製造業景況指数(PMI)速報値は47.1と6年5カ月ぶりの低水準となり、7月確報値の47.8から低下した。」

http://jp.wsj.com/articles/SB11231315501785473630904581183492033564746?mod=WSJJP_Economy_LeadStory

中国の第2四半期の実質GDP成長率、政府公表の7.0%(前年同期比)を額面通りに信じる人はエコノミストを含めて少なかったと思うが、このデータを見て「やっぱり政府公表より相当に悪い」と悲観的なシナリオに舵を切る投資家が増えたようだ。

私はさらにVIX指数のNY市場での21日引け値が28%に急騰したのを見て(前週末は12.8%だった)、今週は(8月24日の週)市場参加者のロスカットが炸裂するような週になると、そしてさらに大波乱相場は最低数週間続くだろうなと思った。

VIX指数は、このブログでも過去に紹介してきた指数であるが、S&P500株価指数をベースにした株オプションのインプライド・ボラティリティーを指数化したものだ。投資家のリスク回避姿勢が強まればオプションは買われ、オプション料算出の主要な変数となるボラティリティは上昇する。逆は逆である。

http://finance.yahoo.com/echarts?s=%5EVIX#{"range":"ytd","allowChartStacking":true}

(VIX指数推移  ↑)

このVIX指数は株価の短期的な変動と非常に高い負の相関関係がある。

上段の図は、S&P500株価指数の変化(前週末比%)とVIX指数の変化(対前週末差分)の相関関係を示している。

相関係数(R)はマイナス0.765、決定係数(R2)は0.586、これは株価指数の変化の60%近くはVIXの変化(その背景にある投資家のリスク許容度の変化)で説明できることを意味している。

近似線の傾きから、VIXの10ポイントの上昇は、株価指数の6.2%下落(週間変化)をもたらすことを意味している。赤い点が8月21日時点のものだ。近似線の上に位置しており、株価指数は「下げ足りない」ことを示唆している。

このVIX指数はS&P500を対象にしたものだが、それ以外の株価とも高い負の相関度を示している。

2番目の図は、途上国の合成株価指数であるMSCI-Emergingの週間の変化とVIXの変化の関係を示したものだ。

http://finance.yahoo.com/echarts?s=EEM+Interactive#{"allowChartStacking":true}

(MSCI-E  ↑)

相関係数はマイナス0.723、決定係数0.523と高い。また近似線の傾きはS&P500よりも傾斜が強く、VIX指数10ポイントの上昇は株価指数8.3%(週間変化)の下落に対応している。やはり8月21日時点の位置(赤い点)が近似線の上方にあり、このVIXの水準を前提とする限り、株価は下げ足りていない。

VIXは日本株、日経平均の変化とも負の相関関係が見られる(3番目の図)。1990年から相関係数の変化を測ると、局面により相関係数はかなり変動するものの、その相関係数の近似線はきれいにマイナス1に向けて下がってきており、関係性のすう勢的な上昇が見られる(4番目の図)。

要するに、グローバル投資が活発化するにつれて、各国の株式相場は連動性を高めて来たということだろう。

またVIXの特徴として、①長期では一定の平均値に収束する、②株価の上昇時には低下し、株価の下落時には上昇する、③一度跳ね上がる(相場は荒れる)としばらく(平均で数週間は)高い状態が持続する(相場は荒れ続ける)、という特徴がある。やはり相場はランダムではなく、変動性の低い時期と変動性の高い時期を繰り返す傾向があるようだ。

というわけで、投資家のリスク許容度を反映していると考えられるVIXに注目すると、目先数週間は続落を含む荒れた相場となる。

関連してドル円相場の通貨オプションのインプライド・ボラティリティは、多くの場合は、ドル上昇(円安)局面では下落し、ドル下落(円高)局面では上昇する強い傾向がある。これはドル資産・円負債の持高(含むオフバランス取引)を保有している市場参加者が多数だからそうなるのだ。つまりドル下落(円高)→損失発生→リスク回避(リスク許容度低下)→オプション買いニーズ増加(オプション売り供給減少)→ボラティリティ上昇となるわけだ。 逆は逆である。

また、今回のような全般的な株価下落の局面で、円高になる説明として、あいかわらずメディアは「消去法で円が買われている」という陳腐な解説をしているが、意味のない講釈だ。 上記同様にドル資産・円負債(日本の多くの投資家はこのサイドである)の持高を保有する市場参加者が多数の場合は、ドル下落→損失発生→リスク回避(リスク許容度低下)→既存のリスク持高の縮小→ドル売り・円買いとなるのが実情である。

より中長期的に、これが株価の上昇トレンドの終焉、下げトレンドの始まりなるかどうかは、実体経済の動向、つまり景気回復が頓挫するかどうかに依存している。米国について、私は景気後退への転換リスクは非常に低いと思っている。 日本についても景気回復シナリオを維持しているが、今回のチャイナ・ショックの影響度次第の面もあり、米国ほどには楽観的にはなれない。

投資方針は、日本株についてはかねてより売り上がり、日経平均2万円台でもかなり売って軽くしたので、買戻し余力は大いにあるが様子見である。利食った資金はマンション投資のローン返済に充てることにしよう。

米国株についてはNYダウベアETN(東証上場)を買って20%ほどヘッジ持高(一部ポジションを回転売買させて持値を改善しながら昨年より引っ張ってきた持高)を維持してきたので、本日ヘッジ10%分のETNを売って解消した。残り10%も様子を見ながら売る予定だ(ETNの利食い)。

ドル資産の為替リスクについては、ほぼ100%近くFXのドル売りでヘッジしているので目立って操作することはないが、120円を大きく割れこんだら、少しだけヘッジ率を下げて(ドルを買い戻して)トレーディング的な回転(上がったらまた売る)をするかもしれない。

皆様のご好運をお祈りします(^^)/

追記:本件記載(24日午後10時)後、24日のNY市場ではVIXは40を超えた。これはリーマンショック時ほどではないが、リーマンショック後の相場では2011年の欧州債務危機時に匹敵する水準であり、今回のチャイナ・ショックは本格的な危機局面になってきたと言えるだろう。

近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日
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