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練習時間は1日14時間! 世界の切符を手に入れた完全給与制の「プロゲーマー」──DetonatioN FocusMeチーム

近年、「e-sports」と呼ばれる領域が注目を集めている。e-sportsとは、コンピュータゲームを「競技」として捉えたもので、中にはプロリーグが存在するゲームタイトルも存在する。

e-sportsでは大会も定期的に開催される。中には、海外では優勝チームに1億円以上の賞金がつく大会も存在し、プレイ中の様子は動画配信プラットフォームを通じて配信され、世界中で大勢のファンがプロゲーマーたちのプレイに熱狂している。

そう。世界にはゲームをプレイすることで生計を立てている「プロゲーマー」たちが存在しているのだ。

日本も後発でありながら、e-sportsが成長の兆しを見せ始めている。そんな日本でプロゲーミングチームの筆頭として活動しているのが「DetonatioN」だ。今回、日本を代表して、世界と戦う彼らに、チームワークの秘訣を聞いた。

複数人でプレイするのが前提のゲームタイトル

DetonatioNには競技ごとに、いくつかのチームに分かれている。中でも、今回取材させてもらった「DetonatioN FocusMe」というチームがプレイするのは、世界中に競技人口が7000万人以上存在するという人気オンラインゲーム「League of Legends(以下LoL)」だ。

ゲーム内容は、100種類以上の操作キャラクターから1つを選び、5対5に分かれて対戦する。チームメンバーと協力して相手陣地にある拠点を破壊することがゲームの目的だ。

2014年、日本でもこのゲームタイトルの国内リーグ「LJL」が誕生した。2013年3月に結成されたDetonatioN FocusMeは、2015年3月末に開催された「LJL2015 Season1」で優勝を果たしている。現在、「LJL2015 Season2」が開催されており、Season1とSeason2の成績から上位2チームがグランドファイナルへと進出する。

グランドファイナルで優勝したチームは、世界大会への切符を手にすることになる。DetonatioN FocusMeは、ちょうど先日の8月上旬、この世界大会への切符を手にしたところだ。

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ゲーミングハウスでの共同生活

DetonatioN FocusMeは2015年1月からプロチームとして「完全給料制」となっており、現在は、ゲーミングハウスと呼ばれる「専用宿舎」で共同生活を営み、日夜トレーニングを行っている。

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チーム戦はコミュニケーションが重要なので、必ず世界のどのトップチームも、必ずゲーミングハウスを持っています。DetonatioN FocusMeも同じ家に暮らし、選手は共同で生活しています。

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DetonatioNの代表を務め、監督の役割も担う梅崎氏はそう語る。チームメンバーは普段どのように1日を過ごしているのだろうか。チームリーダーのCeros選手に1日のスケジュールを教えてもらった。

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1日のスケジュールは、まず昼の12時に集まります。そこで1日のスケジュールを確認して、昼食をとります。その後は、個人練習をします。個人練習の時間は長くとっています。あとは、海外のチームと練習試合を組むこともあります。たとえば今日だと17時から練習試合が入っているので、その時間はチームで作業を行います。

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20時からは夕食なので、練習試合後は夕食までまた個人練習ですね。そのあと、さらに夜の部でまた練習試合を組むこともあります。だいたい、21時ごろから練習試合を行い、反省会を含めて終わるのが23時や24時くらい。そこから、さらに個人練習で3~4時間ほどやって、寝るのはだいたい朝の4時ごろというのが1日のスケジュールですね

朝遅くて、夜も遅い。これが世界中で確立されているゲーマーのスタイルだという。ゲーマーのスタイルに合わせて、ゲームの大会も朝ではなくて昼以降か夕方、夜などに開催されることが多く、1日の過ごし方もその時間に合わせているそうだ。

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このゲーミングハウスには、10人が生活しています。食事などはマネージャーの方が作ってくれるので、僕らが自分でやらなくてはいけないのは自分の衣類の洗濯くらいですね。

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最近は、洗濯に加えて掃除もやらせたほうがいいかもな、と迷っているところですけどね(笑)。

生活に関することの多くはサポートされており、選手は個人練習に集中することができるようになっている。LoLという競技に出場するDetonatioN FocusMeの選手だけではなく、サポートメンバーも含めてのチームワークが重要だ。

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全員が集まるリビングにあったホワイトボードには1日のスケジュールが書いてある

「言いたいことは言う」のがチームワークの秘訣

今、チームとして活動しているDetonatioN FocusMeのメンバーたちは、プロになる前からの付き合いだという。

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メンバーは多少入れ替わってますけど、プロになる前からオンラインでチーム活動をしていました。それからプロになって、ここに住むようになりました。以前までは、オンラインで会話しながら、チームでゲームをしていました。そのときからの付き合いということもあって、今もお互いゲーム内の名前で呼び合っていますね。

スポーツでも、同じチームのメンバーを愛称で呼ぶ習慣は珍しくない。慣れ親しんだゲーム内での呼び名で互いを呼ぶというのも、チームワークを良くしている要因なのかもしれない。他にも、チームで意識していることはあるのだろうか。

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反省会のときに、メンバーの気になったところ、改善点などは全部言うようにしていますね。言われた側もそれを受け入れる。あとは、個人練習の時間などに何か思いついたりしたら、立ち歩いて会話をしたりとか。コミュニケーションをしっかり、こまめにとるようにしています。本当に基本的なことなんですけど、それぐらいですかね。

ゲームでもスポーツでも、勝負に真剣になればなるほど熱くなってしまうもの。メンバー同士での衝突などはないのだろうか。

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衝突することもけっこうありますね。基本的にはゲーマーって負けず嫌いなので。ただ、熱くなってしまうことはマイナスには捉えていなくて、熱くなるだけの思いがあるなら伝えたほうがいいし、それを受け取った側も受け入れるのが大事だと思います。

共同で生活して、真剣にプレイもして。かなり密度の濃い時間を過ごしている彼らの仲は良好だとCeros選手は教えてくれた。それはゲームにも影響を与える。

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やっぱり仲の悪いメンバーとゲームをするよりは、仲の良いメンバーとゲームをしたほうが絶対に強くなると僕は思います。チームゲームなので、それは当たり前というか。

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日本を背負って戦うプレッシャー

DetonatioN FocusMeは今年の4月に、公式の世界大会の出場権利を獲得し、日本代表として戦った。そこでの結果は残念ながら奮わないものだったそうだが、彼らはその雪辱を果たすチャンスを虎視眈々と狙っている。

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今シーズンの優勝も狙える範囲にきています。4月に世界大会に出場して、やっぱり日本はまだ世界と比べると、かなり弱いということを体感しました。まだまだ世界とは互角に戦えないレベル。でも、僕たちは世界と戦うことを目標に掲げているので、国内の大会では負けていられないなっていう気持ちはありますね。

DetonatioN FocusMeは日本での優勝や、その先の世界を見据えながら日々トレーニングに励んでいるが、ライバルとなるようなプロゲーマーチームの登場を待ち望んでいる。

「自分たちのレベルを上げていくためにも、国内でe-sportsがどれだけ盛り上がるかが重要だと思ってます。国内にたくさん強いチームがあることによって、切磋琢磨することができ、全体のレベルが上がり、世界と戦えるようになると思います。」とCeros選手は話す。

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日本でライバルになるチームがいないのであれば、他のチームのマネジメントの指導をすることでレベルを上げたり、今後は幅広く活動していきたいなと考えています。それも、DetonatioN FocusMeが世界で上に登っていくために必要なことです。もちろん、ウチが一番をとることが大前提ですけどね。

DetonatioN FocusMeは、"彼ら自身がどこまで勝ち上がることができるのか"、というチャレンジと同時に、日本のe-sportsという環境がどれだけ盛り上げることができるのかということにもチャレンジしている。

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チームには、勝ち続けてほしいっていうのがありますね。さすがに、1年や2年で世界の頂点に立ってくれということは言えないですが、そのレベルに近づいていくため、チームのブランド価値を上げるため、選手の給料や生活をさらに充実させていくために、やはり勝っていってほしい。そういうことも、僕はたまに言います。たまにですけどね。

そう語る梅崎氏の目には選手たちへの期待が現れていた。


(執筆:モリジュンヤ/撮影:尾木司)

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