参院選直前の6月22日、菅内閣が国家公務員の「退職管理基本方針」を閣議決定したことは案外知られていない。しかし、これを許せば、表向き「天下りの根絶」を訴える民主党が、逆に「天下りし放題」を公認することになり、到底許されるものではない。
みんなの党は、先月、政調会長、国対委員長レベルでその「撤回」を申し入れたが、回答はなしのつぶてだ。それもそうだろう、この問題は政府の閣議決定に関わるものであり、党ではなく内閣の問題だからだ。にもかかわらず、私が幹事長として仙谷官房長官に面会を求めても「党とやってくれ」との拒否回答、この「霞が関とともに歩む政権」は、撤回などまったく考えていないらしい。
この「方針」の最大の問題は、独立行政法人の役員ポストなどへの現役出向の拡大にある。要は、「退職して再就職」なら、あっせんがあれば天下りとなるが、「退職せずに現役で出向」という形をとれば、天下り規制はすり抜けられる。いわば「現役の天下り」の容認ということだ。そして、定年間際で役所に一旦戻し、そして退職させる。民主党のいう「定年まで勤務できる環境条件の整備」がこれで実現できるということだろう。
この「現役出向」は、実は天下りへの風当たりが強まった2004〜5年頃以降、役所が目立たないように自主的に進めていたやり方で、今回の方針は、それを白昼堂々、政権がお墨付きを出して進めていこうというものなのだ。
おまけに、鳩山政権時、独法役員は公募するという方針を決めたが、この「現役出向」の場合は、その例外扱いにするという。しかも、対象は、公益法人や特殊会社(JR、NTT、道路会社、日本郵政等)にも拡大された。何をかいわんや、である。
この「現役出向」は、今夏の役所の定例人事異動等で、今後、どんどん「玉込め」されていく。一日も早く「撤回」「凍結」しなければ、「既得権益」として固定化し、数年間は変えられないものだ。早急な対応が求められるのである。
さらに、この方針では「高給窓際ポスト」の創設まで認めた。すなわち「新たな専門スタッフ職の創設」だ。局長・部長級の職員が、そのポストを離れた後座れる「上位の職制上の段階を創設」とされており、本来退職すべき局長・部長級の定年までの処遇ポストである。年収千数百万円が想定されているという。
天下りの大きな弊害は、天下り先と役所との癒着や、そのポストを確保するための無駄な補助金や許認可、団体の維持であった。その意味では、高位のポストにある官僚の現役出向は、天下りと同等かそれ以上の弊害が懸念されるし、「高給窓際ポスト」を増やしていけば、民主党が約束した「国家公務員総人件費の2割減」など「夢のまた夢」に終わるだろう。
これに対しては、新規採用の4割減とあいまって、辞めないお年寄りの官僚が滞留する「頭でっかちのいびつな組織構造」になると、同じ霞が関、若手官僚からも怨嗟の声があがっている。当然であろう。
すべては、民主党政権が、公務員への労働基本権付与による民間並みの人員整理と、給与法の抜本改正による「能力実績主義」による給与体系を導入しようとしないことに問題があるのだ。
この記事を筆者のブログで読む