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【全文】「わしが多くの日本人を覚醒させて、本当の独立国というものを築く」〜小林よしのり氏が安保問題で会見

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10日、日本外国特派員協会で小林よしのり氏が会見を開いた。

会見の中で小林氏は、安倍首相らを「アメリカに付いて行くだけの保守」として自身の考える「保守」とは異なると指摘、安保法制を巡る議論の中で自身が"保守から方向転換した"との指摘は間違っていると述べた。

その上で、「立憲主義と中国の脅威、この二つを天秤にかけたときに、今現在、この憲法の解釈を変えて立憲主義を崩壊させなければいけないほど、中国の脅威は迫っているのでしょうか?」とし、正面から憲法を改正し自衛隊を軍隊として位置づけ、対米従属から自主独立へ移行することの必要性を訴えた。

また、海外メディアに対し「国際連合を戦勝国体制にしておくってのを、そろそろやめませんかね。」と述べ、国連改革の議論の喚起を呼びかけた。

質疑応答では、安保法制などに反対するデモ活動を行っている学生団体「SEALDs」の幹部と面会したことについて尋ねられると、「若者が社会の問題に対して、国家に対して、ようやく目覚めたところです。わしはとくに彼らを持ち上げることもありませんし、バッシングなんか、大人としてはみっともないことだと思っています。」とコメントした。



安保法制で方向転換したというのは間違い

みなさんこんにちは、小林よしのりです。

わしは日本語を世界の公用語にしたいと思っておりますので、英語は喋りません(笑)。一流の通訳の方にお任せします。

日本の保守派の中で、小林よしのりが今回の安保法制で方向転換した、というのは実は間違っております。

わしは保守というのは基本的には日本のアイデンティティを保守しないといけないという風に思っています。だから基本的に憲法を改正して、日本の自衛隊は軍隊にするべきだと思っています。ところが、日本の保守派と言われている人はほとんどすべて、アメリカに付いて行くということを保守しているわけです。

だから、かつてイラク戦争が始まった時に、"この戦争は間違っている、侵略戦争だ、大量破壊兵器は無い"と主張したのは、まあ保守派のなかでは、わしともう一人西部邁の二人くらいしかいませんでした。あとは全部"アメリカに付いて行け、イラク戦争を支持する"ということでした。イラク戦争に反対したために、わしは保守派から徹底的にバッシングを受けました。

そして、今イラク戦争は間違いなく侵略戦争だったことが明確になりました。これはアメリカでもイギリスでも、そういう総括をされているはずです。ところが日本の保守派は、このイラク戦争に関して、間違っていたということを認めません。安倍首相も認めません。

安倍首相、自民党、これらはアメリカがまた次の戦争を始めたとき"ついていかなければいけない"と言うでしょう。日本人が独自の判断ができるのならば、"この戦争は防衛戦争としてとやらなけばならない、だがこの戦争は侵略戦争だからこれはダメだ"と、はっきり言えなければいけません。

だから憲法改正の理念そのものが、わしとアメリカに付いて行くだけの保守では異なっています。日本は今後も侵略戦争はやりません。過去侵略戦争をやったことがある。だがもう侵略戦争はやりません。専守防衛に徹するべきです。

アメリカは今後も必ず侵略戦争をやります。ベトナム戦争然り、アフガン、イラクの侵略戦争。しかもなおかつ、世界を破壊しておいて、ビルドしません。スクラップ・アンド・ビルドのビルドの方ができません、必ず撤退します。

だから日本は、かつての反省をするのならば、侵略戦争を絶対にしないと、これは憲法改正しても、条文のなかに入れなければいけません。そして専守防衛に徹する。アメリカとは個々に特別法的なものを結んでいくというやり方で、安全保障体系を組み立てなければいけないと思います。

日本の保守が今言っているのは、尖閣諸島の問題、日中中間線のガス田開発、そしてスプラトリー諸島(南沙諸島)と、中国の覇権が押し寄せている、これが怖いから集団的自衛権が必要だ、という論理の組み立て方になっています。

尖閣諸島が危ないと言うのならば、だったら尖閣諸島に日本の軍港を作ればいい。それで、ガス田開発しているものと対決すればいい。だが、おそらく尖閣諸島に軍港を作ると言ったら、それに反対するのはアメリカでしょう。アメリカは絶対に中国とは戦争をしません。

そうなると、日本は完全に利用されるだけ。それこそ将来は中東の戦争に出ていかなければいけなくなるでしょう。アラブの人たちというのは、日本が日露戦争を戦ったことに対して敬意を表してくれています。日本はアラブの人たちを敵にしてはいけません。

立憲主義を崩壊させなければいけないほど、中国の脅威は迫っているのでしょうか?

そこでもうひとつ問題点があります、憲法の問題です。

わしは憲法9条を守れということは言いません。ただ、立憲主義は守らなければならない。立憲主義というのは、国民が権力を縛るためのものです。

戦前、日本では軍部が暴走しました。軍部という権力を抑える規律が明治憲法の中になかった。戦後の日本国憲法は、アメリカから押し付けられたものであるにせよ、シビリアン・コントロールがあります。そのシビリアンの方が暴走すれば、これはどうにもなりません。

さてここで、立憲主義と中国の脅威、この二つを天秤にかけたときに、今現在、この憲法の解釈を変えて立憲主義を崩壊させなければいけないほど、中国の脅威は迫っているのでしょうか?

憲法を改正するには、1年か2年あれば足りる。この1年か2年の間に、中国が日本に侵略してくるでしょうか。真正面から憲法改正を国民に問えばいいのです。これをやらない。やらないのはなぜか。アメリカに付いていくことだけが安倍政権の最大の目的だからです。

今回の安倍政権の解釈改憲のやりかたで、国民はつくづく警戒してしまいました。このままでいくと、憲法改正そのものを発議しても、国民投票で勝てません。

ただアメリカについていけというのが、どこが保守なんですか

この犠牲になるのは自衛隊です。 自衛隊というのは、ポジティブ・リストでしか戦えません。普通、軍隊というのは、国際法だけを守ればいい。だからネガティブ・リストなんです。"これならやってもいい、これならやってもいい、これならやってもいい"というポジティブ・リストばっかりに縛られた自衛隊が、国際法に縛られてること以外だったらなんでもやれるという米軍と一体になっていくというのは非常に危険です。

軍隊だったら軍法会議がなければいけない。軍法会議がなければどうなるかというと、戦場で起こったことについて、もし人を殺めたら殺人罪として裁かれる。刑務所に入らなければいけない。

自衛隊員を守るため、そして日本という国が二度と侵略戦争に巻き込まれないために、安保法制には反対しなければいけないという議論なんです。

アメリカは、今はイラク戦争で懲りているから、今後10年の間に軍縮していって、その部分を日本の戦力で賄おう、補填しようとしているわけです。アメリカという国は、必ずまた戦争しますよ。これは軍産複合体の問題もあって、古くなった兵器は在庫一掃しなければいけない。だから必ず戦争をします。こんな危険な国はないんですよ。

従って、わしが言っている安保法制反対っていうのは、陳腐な平和主義者とは違うんです。 わしはフランスとかドイツが羨ましいですよ。アメリカのイラク戦争の時に堂々と反対が出来る。フランスなんか、アメリカからずいぶんバッシングされていましたよね。けれども間違っていなかった、正しかった。日本がそのように行動できるかどうかは、安倍首相が"イラク戦争は間違っていた"と認めるということから始めるしかないんです。

本来、保守って言うのなら、みんなわしのような考え方をしなきゃおかしいんですよ。ただひたすらアメリカについていけというのが、どこが保守なんですか。こういうことを、わしのような漫画家が言っているという事自体、世の中すべてギャグですよ(笑)。

わしが言いたいことの核心はこのくらいです。あとは質問を受けます。

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