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デジタル教科書を正規教科書にするには?



 デジタル教科書教材協議会DiTTシンポジウム「デジタル教科書を正規教科書にするには?」
 遠藤利明衆議院議員、光村図書黒川弘一さん、東京書籍川瀬徹さんらに登壇いただき、慶應義塾大学で開催しました。

 法律上、教科書は紙とされていて、デジタルはどうがんばっても正規の教科書にされません。3年前の2012年春、DiTTは当時タブーとされていたこの問題に切り込み、制度改正を求める提言を発出。政府も検討することを知財計画で約束しました。

 ぼくらはそのための法案の試案も作るなどして、措置を求め続けましたが、結局、検討はなされないまま3年が過ぎました。本年4月になり、ようやく文科省初等中等局で検討会が始まり、DiTTも改めて議論の場を設けた次第です。スピード感を高める。措置を早める。これがぼくらの狙いです。

 リセマムがその模様を記事にしてくれています。

「未来の教科書をみんなで考えよう… DiTT5/25<前編>」
 http://bit.ly/1BqOX3l

「やるべきことはわかっている、後はスピード… DiTT5/25<後編>」
 http://bit.ly/1BqQcj7

 検討のポイントはコスト、著作権、検定、配信です。
 最大課題はコスト。
 紙の教科書を無償配布する現予算は400億円。デジタル+紙の併存に伴い、これを増やすのか。財源はどうする。端末やネットのコストはどう考えるか。全てこれに左右されます。

 遠藤利明衆議院議員は、「400億円に1000億円程度上乗せ」と発言。驚きました。遠藤さんは教育情報化を推進する超党派の議員連盟の会長であり、自民党の教育再生実行本部長です。非常に重い立場の政治リーダー。そこから、具体的な数字を伴った増額案が出てくるとは。

 でも、それぐらいは必要だと考えます。問題はどう財源を捻出するか。遠藤議員は、財源として1)控除見直し、2)寄付税制活用、3)目的税、4)消費税を挙げました。1)2)は世代間移転、3)4)は新たな徴収を意味します。これを実現するのはとてもとてもとても大変ですが、期待しましょう。

 さらなる財源として電波利用料(年800億円)があるのではという議論になりました。みんなが使うケータイなどデジタル機器から徴収した資金をデジタル教育に移転するのは、スジは悪く無いと考えます。総務省はいやがるかもしれませんが。

 1000億円はムチャか?でも、学校の耐震化には年1000億円が使われているといいます。必要性が認められれば、教育分野でも予算は出てきます。教育問題は教育関係者の内部で閉じることが多いのですが、この件は内部で議論していても解は見出せず、財務省を含む外部に対し、必要性をどう実証するか、でしょう。

 端末にもおカネがかかります。そのコストは地方交付税1700億円/年が措置されているので、自治体がちゃんと使えばかなり進む。ヒモつきじゃないから、道路などに流用されてるんですよね。ちゃんと使いましょう。民間サイドも、一人一年一万円メニューなど使いやすくなるサービスを用意すべし。まずこれを進めましょう。

 その次に、自分の端末を使うBYODが視野に入ってきます。端末は自治体/学校の貸与か、自己負担か、という議論にもなってくるでしょうね。安価な端末を貸与する仕組みを整える政策も必要でしょう。

 より大きな課題は著作権。紙の本に適用される特例がデジタルには適用されないので、デジタル化するための許諾など、処理のコストがかかる。デジタル化に伴うコスト増の半分は著作権とのことです。
 
 でもこれは、通常の書籍、映像、音楽の分野でも行われていることです。その処理を円滑化するための努力が各業界で払われてきました。これらを参考に、教科書の処理を円滑化する仕組み・機構を民間で考えることが必要。同時に、政府には、著作権法の制度でクリアできないか、場の設定を求めること。その両にらみでしょう。

 どこまで検定にかけるのか、という点も議論になりました。紙の範囲に留めるのか。映像や音声、さらにはリンク先も含めるのか。1つのコンテンツの中に、検定済み教科書の部分と、非検定の教材部分とが混在するのか。

 教科書関係者にとっては、これが最も悩ましい課題なのかもしれません。ただ、ぼくは現実問題として、検定もコストで決まるのではないかと感じます。デジタル化された教材のうち、検定に要するコストがどれだけ措置できるのかによって、検定の範囲が規定されるのではないかと。

 こうした議論は、文科省が開催している会議で整理すべき内容です。そちらでの議論を促すとともに、文科省・政府及び国会の取組に期待致します。

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