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CSRの投資対効果を考える

CSRは将来の環境や社会に対する長期的投資の側面が強いため、投資対効果(ROI)が出るのに時間がかかるうえ、研究開発やマーケティングと同様に数値化が難しい分野です。

にも関わらず、アメリカでは随分前からCSRのROI測定の必要性が議論されており、これまでに多くの企業や研究機関が検証しています。これら300以上の既存の論文と独自の調査をまとめた研究結果を、バブソン大学教授らが先日発表しました。

教授らは、CSR活動はROIを創出するだけでなく、関連事業にも便益があり、競争優位にもなり得ると結論付けています。

但し、単にCSR活動を行うのではなく、適切な管理が必要としています。

適切な管理とは、環境・社会・ガバナンスにおける明確な目標を設定すること、事業戦略や企業ミッションとCSRとの統制を取ること、数値化できる管理手法を設けること、株主の確実な参与を得ること、とされています。

これらはCSR管理手法として特別なものではありませんが、このような適切な管理を実践し、十分な投資を行い、CSRに強く関与している企業は、そうでない企業と比べてROIを創出しやすいという結果が出たそうです。

つまり、CSRをマーケティングに利用しているような不誠実な企業は、投資家や消費者から見破られ、適切な効果が出せていないということでしょう。

CSRにリターンを求めることは偽善ではないかといった主張が根強くありますが、効果を出すためには誠実でなければならないのですから、この主張に反駁できそうです。そもそも、営利企業が存続するためには利益創出が不可欠ですし、財務的に健全でなければ社会のための活動は不可能です。投資家だけでなく、CFOなど経営陣を説得するにも効果の数値化は必要でしょう。

調査によると、効果が得られた領域は、株価・市場価値、売上、名声・ブランド価値、人的資源、リスク回避と多岐にわたっています。

具体的には、CSRに力を入れている企業は、株価が4~6%増加、株価の乱高下が2~10%減少、株主との関係が40~80%強化、市場リスクの影響を4%削減、危機時における株価損失3億7,800万ドル相当を回避、売上は20%増加、価格プレミアムは最大20%増加、企業価値中のブランド価値は7~11%増加、従業員の離職率は25~50%減少、生産性は最大13%増加と、各分野で様々な効果が見られたようです(Project ROI)。

2013年時点でCSRを実践する企業の40%近くがROI分析を行っているという調査結果もありますが、ROI以前にCSRに関する様々な数値を揃える必要があり、費用・時間等も掛かり容易ではないため、実績数はあまり増えていないようです。

もし自社のCSRが上手く行っていないように感じるのであれば、まずは適切な管理ができているか、十分に関与できているか、効果的に伝えられているか、検討してみるとよいかもしれません。

(レスポンスアビリティ社メールマガジン「サステナブルCSRレター」No.238 (2015/07/23発行)既出)

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