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危険ドラッグ対策は次の局面へ

昨年末、危険ドラッグ販売店をほぼ壊滅状態に追い込んだという発表があって半年あまり、最後まで残った東京新宿の2店舗が閉鎖され、国内の危険ドラッグ販売店舗は、これでゼロになりました。

<ニュースから>*****
危険ドラッグの街頭店舗ゼロ=最後の2店、経営者ら逮捕―東京

新宿・歌舞伎町の店舗で危険ドラッグを販売したとして、関東信越厚生局麻薬取締部と警視庁は10日までに、医薬品医療機器法違反(販売)容疑で店舗の実質経営者T容疑者(42)=東京都新宿区歌舞伎町=ら3人を逮捕した。全国で歌舞伎町に2店舗のみとなっていた危険ドラッグ販売店は、両店関係者の逮捕でゼロとなった。(以下省略)
時事通信 7月10日(金)9時51分配信
*****

10日午前、記者会見した厚生労働大臣は「実質閉鎖に追い込んだ。昨年3月には215の店舗があったが、これで全滅したことになる」と述べたそうです。

国内の主要な流通ルートが壊滅したということは、大きな一歩です。

しかし、これで幕引きと油断することは、まだできそうにありません。今次の危険ドラッグ禍は、ピーク時にはかなりの規模に達し、多くの業者と無数のユーザーを巻き込みました。

この市場がほんとうに鎮静化するには、まだ時間が必要です。その間、新たな火の手が上がることのないよう、監視し続けることを忘れるわけにはいきません。

危険ドラッグ対策は次の局面へと移ることになります。

●販売ルートのアングラ化

追い詰められた危険ドラッグは、すでにアングラ領域へ移行しています。インターネット販売やデリバリー販売の分野でも、広域で稼働していた大グループはすでに摘発されて姿を消しました。

しかし、彼らの最大の財産である顧客リストは、関係者に引き継がれ、これからも生き続けることでしょう。小規模なグループや個人で活動する販売業者が、新たな薬物密売グループとして、地下で活動していくという、新しい流れがすでに見え始めています。

その売り方は、覚せい剤の密売人と大差はありません。じっさい、小規模な密売人を摘発すると、その手元から、危険ドラッグとともに、覚せい剤や大麻などが押収される例も目につきます。

街頭店舗で販売していた時点では、「合法」が大きなセールスポイントになっていましたが、地下に潜った密売人にとって、もはや「合法」であるかどうかは、たいした問題ではなくなることでしょう。彼らが販売する品物は、さらに危険度の高いものになる恐れもあります。

これまでは、表社会で活動する販売業者が相手でしたが、これからは、地下に潜った零細な密売人を相手にしなければなりません。息の長い攻防になりそうです。

●インターネットの攻防

集中的な削除要請によって、一時は目に見えて減少したインターネット販売サイトが、そろそろ復活し始めました。これは、モグラ叩きゲームのようなもの。しかも、削除要請の通りにくい小国に籍を置くプロバイダーもあり、次第にハンマーで叩くことも難しくなっていきます。

さらに、売り手が零細化するにつれ、広告に使うメディアも小型化する傾向があります。掲示板サイトや、アクセス間口を絞ったSNSなどを使って、簡単な広告を掲示し、コンタクトしてきた相手と売買の交渉をするという、覚せい剤密売人並みのやり方も出てきました。

●個人輸入への対策

国内では、主要な危険ドラッグ販売ルートは姿を消しましたが、日本を一歩離れれば、まだまだ危険ドラッグの世界市場は活動を続けています。インターネットを通じて、外国から直接危険ドラッグを購入しようとする人は、しばらくは増加するかもしれません。

危険ドラッグ対策のフロントラインは、輸入の水際へ移ることになるでしょう。

税関は、改正関税法の施行を受けて、危険ドラッグの検査体制を強化しているといい、指定薬物の個人輸入が続々と摘発されています。当面は、税関検査を拡充し、また指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品に対する検査命令と合わせて、水際対策に力をいれる必要があるでしょう。

ところで、世界市場では、3日に1種の割合で、新種の薬物が市場に登場しています。その動向を探り、わが国への流入を食い止めるという、新たな戦略が必要になりそうです。

指定薬物への新規指定は、より予防的な役割を追うことになりますが、さて、世界市場を相手にどこまで予防するか、その見極めは難しいところです。

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