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病児保育を使う、ということ

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もうすぐ4ヶ月になる娘が、おとといの晩から風邪をひいた。
熱は37度程度と低いが、鼻をズビズビしており、咳も多くてかなりつらそうだ。
昨日は保健所の3-4ヶ月検診に行く予定で夫も有給を取っていたのだが、検診は延期して、朝から二人して娘を連れてかかりつけの小児科に行ってきた。

帰ってからお薬を飲ませ、暖かくして寝かせてあげるが、30分に一度はゲホッゲホッと咳をして、泣きだしてしまう。
抱っこをしてあげると少し落ち着いて、人の顔をみてはニコニコするが、また苦しそうにゲホゲホ。
調子が悪いんだから、そんなに愛想を振りまかなくても良いのに・・・
咳が苦しそうなのが、余りに可哀想で、一日中、二人つきっきりで看病していた。

こんなんで、二人とも仕事に復帰して、子供が病気になった時は、どうするのか。
当然、病児保育などのサービスを使うことになるだろう、と私は思っているのだが、夫は「こんなひどい病気の時に他人に預けるなんて可哀想すぎる。自分が休むか、実家の親を呼び出す」という。


■ 子供が風邪のとき、他人に預けることに抵抗があると、夫婦のどちらかが犠牲になる

その気持ちは痛いほどわかるが、子供の風邪ってそんなに簡単には治らない。
風邪が治って熱が引くまでは数日かかるわけで、そんなに長く会社を休む訳にもいかないし。
病児保育の施設も、埋まっていて使えないことがあるから、そんな時には実家を呼び出すか、どちらかが休むのは仕方がないとは思うが、最初から「子供が可哀想だから他人に預けられない」がデフォルトの発想は良くないんじゃないの、と私は思う。

おじいちゃんおばあちゃんだって、自分の仕事や生活があり、そんなに融通がきくとは限らない。
37.5℃の熱が出ればすぐ呼び出しがかかる日本の保育園に預けている以上、他人に預けることに抵抗があると、結局、夫婦のどちらかが責任をもつことになってしまう。
そうすると夫婦のうち休みやすい方、または収入が低いほう-多くの場合は、妻の方が、子供の風邪で仕事を休み、保育園に呼び出されて早退することになる。
病弱な子供の場合は、頻繁に仕事に穴を開け、そのうち職場に居づらくなり、仕事を辞めることになることも。

うちの場合、私が仕事を大切にしているのを夫も理解しているから、彼自身が休む、と言っているのかもしれないけれど、若い彼がキャリアを犠牲にしていく状態は如何なものか、と思う。

子供は大切だけど、仕事やキャリアも大切にしたほうが良い。
病気のたびにシッターを雇うのはお金もかかるけれど、たとえ「保育費=自分の給料」になったとしても、仕事は辞めずに働き続けたほうが生涯年収は圧倒的に高くなるのは明らかだ。
仕事を続けるのは、お金のことだけじゃない。
そうやって生き生き働き続けるお父さんお母さんを見て育つほうが、女の子は将来仕事を持ちたいと思うようになるし、男の子は家庭を大事にするようになるといわれている。
だから、子供が風邪をひいていても、ちゃんと病児保育や病児シッターを利用して、持続可能な子育てと仕事の両立をしようよ。

■ 不安なら、病児保育やシッターを事前に試し、信頼できるところを探しておく

病児保育には今のところ正式な国家資格はなく、ベビーシッターと同様、誰でも出来る。
ましてや、今の時代、病児保育が不足しており、経験の少ない人も入れて拡充されているところだ。
病状が悪化した時に、病院に行くなどの適切な判断をちゃんと下してくれるのか、など不安になる人は多いだろうが、ちゃんとシッター教育を施し、シッターと本部との連絡を密に行っている会社では、事故は過去には起こっていないようだ。

実は、世の中の保育事故の殆どは事故であり、病気の悪化によるものは殆ど無い。
考えてみれば、病気の時は、死に至る前からずっと何らかの症状が出ているはずであり、働いているお父さん、お母さんであっても、もっと前に病院で何度か診察を受けに行っている。
保育時に死に至るほどひどいなら、その前に入院などの処置を施されているからだ。

そういうわけで、きちんとした組織で運営されている病児保育であれば、問題はないはずだが、もし不安であれば、事前に試しておけば良いと思う。

チェックポイントとしては、保育士やシッター自身の質もあるが、
・新人への教育、マニュアルはどのように行っているか
・病状のチェックの仕方や頻度(体温をどの程度はかるか、病状のチェック項目に何が有るか)
・病状が変化した時の判断をどのように行うか
・保育士どうしや本部との連携はどのように取られているか(朝礼などで何がシェアされてるか、こまめに連絡をとっているか、一人で判断せず、組織として判断しているか)
というところ。
このご時世、病児保育は保育士やシッターが足りず、新人がどんどん募集されているところ。新人が送られてくることだってあるだろう。
だから、仮に担当の保育士やシッターの経験が浅かったとしても、組織の経験が活かせる仕組みかどうかをチェックするほうが大切だ。

病児保育には、子供を連れて行く「託児型」とシッターが来てくれる「シッター訪問型」がある。
託児型には医療機関併設型と保育園併設型、単独型の3つがある。

託児型については、こちらのサイトが参考になる。
子供が病気だけど会社を休めない方へ!病児保育室の比較と全国の施設一覧

医療機関併設型の場合は、その医療機関で事前に診療を受けることで、病気で預けるとどのような対応を受けられるのか、調べておくことが可能だ。
保育園併設型は、通常の保育園を併設しているので、空きが有るなら子供が元気なときに試しに預けて、状況をチェックすることが出来る。
単独型は、NPOなどが単独で病児保育を行っているところであるが、事前チェックできるかどうかは施設によるだろう。

シッター訪問型は、東京近郊だとフローレンスが圧倒的に有名だが、他にも色々な組織がある。
(追記:フローレンスは申し込み殺到のため、現在新規入会停止中だそうです。)
ここでは、子供が病気で、自分が休める時に敢えてシッターを頼み、その保育状況を観察し、上記のチェックポイントを確認すると良い。

最も信頼できるところを探せても、いざというときは埋まっていたりで、そこに頼めるかわからないのが病児保育なのであるが、候補となりそうなところは全て試しておけば、不安は軽減されるだろう。
私自身、安心して仕事に復帰出来るように、こんなことも復帰前にやっておこう、と思っている。

■他人は無責任なことしか言わない。周囲に何を言われても、自分の方針を貫いて

なお、私のように「病児保育を使ってでも、仕事を続けるべき」という考え方の人は、周囲の人達にこんな風に叩かれるらしい。

「病気のこどもがいるのに、そんなに仕事をしたいんですか?お金がそんなに大切ですか?」
「何でお母さんは、子供が何回も病気になっているのに、仕事を辞めないんですか?」
「子供に愛情があるんですか?」
中には、病児保育の保育士さんに言われるケースも有るというから驚きだ。

病気の子供のために会社を休めば、職場に「迷惑だ」と言われて煙たがられる。
かと言って、迷惑をかけないよう、病気の子供を預けて出勤すれば、「子供に愛情がないのか」と畳み掛けられる。
どっちに転んでも批判され、非難されるのが、仕事と育児を両立するママだ。

小学校の道徳の教科書にこんな話があった。
昔、父と子供が一匹のロバを連れて旅をしていた。最初、子供がロバに乗り、父が引いていたところ、「子供が楽をして、親にロバを引かせてるなんて何て子供だ」と街道からケチを付ける人がいたので、父がロバに乗り、子供がひくことにした。

すると「あの親は自分が楽して、子供に働かせて、子供が可哀想に。ひどい親だ」というひそひそ話が聞こえてきたので、二人とも降りてロバを引くことにした。

今度は「あの父子はせっかくロバを引いてるのに、誰も乗らないなんて、バカなんじゃないか」と野次を飛ばしてくる人々がいた。それで、父子は二人でロバにのることにした。

しばらくするうちに、ロバは疲労で動けなくなり、ついに死んでしまった。
要するに、他人とは無責任に勝手なことばかり言うものなので、そんなことを気にして行動していては、大切なものを失ってしまう。
(家庭によっては夫が他人並である、というケースも有るだろう)

だから、自分が迷わずに方針を決めたら、あとは何を言われてもニコッと微笑んで、低姿勢で他人にお願いできる鉄の心臓と、何にせよ周囲に迷惑はかけるのだから、最大限の気配りをもって続けるしかない。
病児保育を使って仕事を続けるなら、「子供が可哀想」と言われても、「可哀想だから、しっかり看てあげて下さい、お願いします」と低姿勢でお願いすること。
使わないで休みつつ仕事を続けるなら、仕事のサポートを職場の周囲の人にお願いし、迷惑をお詫びしつつ、気配りしつつ、辞めずに続けること。

そういえば、病児保育のシッターが主人公で、訪問する家庭の様々な人間模様を描いた人気漫画「37.5℃の涙」がTBSでドラマ化されるらしいですね。
育児をしていなければ知らない人も多い病児保育シッターも、これでかなり色んな人の知るところになるんだろう。 
ドラマもだけど、その反応が楽しみです。 

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椎名チカ
小学館
2014-07-07




(追記) 日本で「病児保育」という、海外では聞かない特殊な保育システムが有るのは、恐らく日本の保育園が「37.5℃以上の熱がある場合、子供が元気だろうが預けられない、親に呼出がかかる」という事情、そして、一般にベビーシッター・乳母などがほとんど普及していないという事情が背景にあるかと思います。

37.5℃以上の熱が出たら、誰かがすぐに迎えに行かないとならない、すぐには行けないなどと言おうものなら、保育園には居づらくなる。そんな時に病児保育シッターは代わりに迎えに行き、自宅待機してくれる、という使い方をしている人も多いようです。

また、ワーキングマザーがまだ少ない職場では「37.5℃問題」が余り知られておらず、「何で子供が熱を出したくらいで休むんだ・・・」と思っている人が少なくない、というのも有るかもしれません。
そういう意味で、こういったマンガが読まれて、そういった事情を広く知られることはとても大切なことだと思います

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